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無印良品のアルミ缶:循環のループを”どう終わらせないか”に着目する「水平リサイクル率」の話。(CASE: 78/100)

▲「無印良品のアルミ缶」とサステナビリティ

無印良品では昨年、店舗内で販売する飲料の容器をペットボトルからアルミ缶へ変更しました。無印の店舗に陳列された、ラベルだけが異なるアルミ缶たちをご覧になったことのある方は多いかと思います。

統一されたデザインのアルミ缶が陳列された列を改めて眺めてみると、中身の飲料が見えないことも相まってなんとも言えない無機質さを感じさせます。売上にもなんらか影響がありそうだな…と考えつつ(今回は置いておいて)、その変更の背景を調べてみると、ペットボトルから缶という、シンプルだがパワフルな変化が持つ、サステナビリティに対する示唆が見えてきます。

一つ目は「水平リサイクル率」。アルミ缶は「水平リサイクル率」という、元の製品から同じ製品へリサイクルする率が約70%と高いです。ペットボトルは水平リサイクル率が低く、リサイクル先の多くが捨てられる食品トレイや衣類などの布製品であり、結局すぐに捨てられるものにリサイクルするのはどうなのか、という指摘があります。

サステナビリティ実現に向けた施策を見る時、1周目の循環で満足するのではなく、循環のループをどう終わらせないか?という側面を考慮する必要がありそうです。(循環を最後までデザインするという意味では、どう終わらせるか?という視点も同じことかもしれません。)

もう一つはあくまでも個人の所感ですが、素材、形状、感触といった、モノのイメージがリサイクル行動に与える影響は結構大きそうだなということです。アルミ缶の方がペットボトルよりリサイクル率が高いそうですが、よくよく思うと「よく燃えそう、形が変わりそう」なペットボトルより、「硬いし、銀色だし、燃やしたら有害な何かが出てきそう」なアルミ缶の方が、リサイクル率が高いのは納得だし、自然だと思いました。環境にまつわる人の行動変容を考える際、対象物に対して人がどのような印象を持つかという視点は実は重要かなと、無印良品の事例を見て思いました。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab ビジネスデザイナー 鈴木 斉

▲i.labについて

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