ドイツの逆自動販売機:ペットボトル を「捨てる」ことにお金がかかるように。「面倒な手続き」が作るサステナビリティ。(CASE: 41/100)
▲「ドイツの逆自動販売機」とサステナビリティ
自動販売機といえば、「お金を入れてボタンを押したらペットボトル飲料が出てくるもの」ですよね。私が住むドイツでは、これを逆にした、“逆自動販売機”とも呼ぶべき機械がスーパーなどに設置されています。これは、飲み終わった後の空の缶・ペットボトルを吸い込み、1本あたり25セントのお金を返してくれる機械です。戻ってくる25セントは、購入した時に飲料の代金に上乗せして支払っていたデポジットです。
ドイツでは、2003年からこのデポジット制度が開始されました。缶・ペットボトルの飲料を1本買うたび、必ず25セント支払わなければなりません。逆自動販売機は、空の容器を回収するためのものです。25セントを「人質に取る」ことで、回収率、またその後のリサイクル率を向上させるのに役立っています。
しかし、空の容器を溜めておいて逆自動販売機の設置されているスーパーまで持っていくのは、生活者からすれば面倒な作業でもあります。それに、ペットボトルの回収率は、日本においても年々向上しており、2020年には96%に達しました。これはドイツの98%に迫るものであり、私は回収率を上げるために日本でも安易にこれを導入すべきだ、とは思いません。
この逆自動販売機を伴ったデポジット制度から学べることはそれではなく、別にあります。これは見方を変えると、缶・ペットボトル飲料を買ったのち、リサイクルに出さずに捨ててしまえば、そのたびに25セント支払っている、とも言える点です。25セントの損という痛手を伴うことで、使い捨て容器を捨てることや使うことへの抵抗感を肌で覚えるようになるのではないか、と私は考えています。日本では水筒を持つというのは子供が学校に行くことと結びつけて考えられがちなような気がしますが、ドイツでは誰でもマイボトルを持ち歩く習慣が常識化しています。私自身、日本では気軽にペットボトルを買っていましたが、ドイツに来てからはマイボトルを必ず持ち歩くようになり、ペットボトルを買ったのはこの9か月で5回未満です。あえて手続きを面倒にすることで、生活者の習慣を変革させる一助になっている。その点において、この制度はイノベーティブであり、かつサステナブルとも言えるのではないかと考えます。
▲参照資料
▲キュレーション企画について
イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。
▲今回のキュレーション担当者
i.labインターン 柳川悠香
▲i.labについて
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