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山焼き:「山の焼却」という壮大な営みが思い出させる、人と自然の持続可能な共生のあり方。 (CASE: 62/100)

▲「山焼き」とサステナビリティ

私の生まれ育った伊豆には、大室山という木が全く生えていない、草原で覆われた山があります。なぜ木が全く生えていないかというと、年に1回山焼きと呼ばれる、山を丸ごと焼き上げる行事があるからです。山焼きの風景は非常に壮大で、一大イベントとして観光客も多く見に来ます。

大室山の山焼きは700年の歴史があると言われており、昔は住民が「茅」を得るための採草地として維持・活用するために行われていました。現在は採草地としての役割は終えている訳ですが、大室山のように人の手で草原を維持している場所(半自然草原)は放っておくといずれ森に戻ってしまうので、それを防ぐために山焼きを続けています

ではなぜ森に戻さないのか。それは、草原の生態系を保護するためです。森には森の生態系、草原には草原の生態系があり、草原の生態系は森の中では維持できません。しかも草原の生態系は絶滅危惧種が多いため、生物多様性の観点からも保護が必要とされています。大室山は山焼きという人為的な操作が加えられることで、草原としての自然を保っているのです。

人と自然との共生を考える上で、自然は人が介在する(人に使われる)ことで持続可能な関係性を保ってきたという視点もあることを忘れてはいけないと思います。それは今回の「山焼き」だけでなく、農業、林業、狩猟などあらゆる営みが該当します。自然や生物多様性を守っていくためには、長い年月をかけて人の営みが自然の中で果たしてきた役割をあらためて自覚し、責任をもって自然との関係性を保ち続ける意識が必要になります。

記事を書いていて、私の実家の山では毎年タケノコが採れることを思い出しました。竹の生命力は凄まじく、タケノコ採りをサボってしまうとあっという間に竹が増殖し、竹害を引き起こしかねません。今回の記事を踏まえ(若干めんどくさいですが)重い腰を上げ、来年春にはタケノコを掘りに地元に帰るのもいいのかなと、そう思いました。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab ビジネスデザイナー 鈴木斉

▲i.labについて

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