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息子が3針縫った時&ブラックミラー「アークエンジェル」についての話。

こんにちは!

高原羊です。


去年の夏に、息子が3針縫う怪我をしましたのでその話を。

夏休みの体験レッスンを機に、娘がスイミングを始めました。まだ5歳なので親の付き添いが必要です。
なので必然的に3歳の息子も連れていくことになるのですが、レッスンが終わったロッカールームで悲劇は起きました。

プールから上がった子達が続々と出てきて濡れた床に滑り、顔面から転倒。

濡れて引っ付いた娘の水着を脱がせようと一瞬目を離した隙の事故でした。

下唇の中がざっくり切れ、外側から見ても下唇の下に横長の傷があり血が垂れて止まりません。

前歯が下唇の下を貫通した可能性もあり、パニックを起こしかけながら大慌てで息子を担ぎ、髪が濡れたままの娘をつれてとりあえず消毒液を借りようと受付へ。

階段を降りながら、

『これは何科にかかるべきか』

『一番近い病院はどこだ?』

『今保険証持ってない』

『そもそもお盆に病院が空いているのか』

『骨は大丈夫なのか』

と、色んなことが頭の中をぐるぐると巡りどんどん不安になっていきました。

親切な受付の方が救急に連絡してくださり、
今緊急でかかることのできる口腔外科を探してくれました。

その間夜勤明けで家に戻っていた夫に連絡を取り、保険証を持ってきてもらいそのまま車で病院へ。

息子が泣き止んでいたのが救いでしたが、気が気でありませんでした。

無事口腔外科のある歯医者さんに到着し、急いで診てもらったところ、
顎の下の傷は擦り傷で、貫通はしていないとのこと。

下唇内側が歯で切れているので、綺麗に治すため3針縫う処置をしていただきました。

歯も問題ないそう。

泣き叫びながらも無事縫い終わり、抗生物質を頂いて帰りました。

3針縫う痛ましい怪我を負いましたが、本人もケロッとしているのもあって心配はなさそうです。

しかし、瞼を閉じるたびにわたしの脳裏をよぎる怪我の瞬間。

後悔しても仕方ありませんが、後悔せずにはいられません。

もちろん子供達には濡れた床で走らないよう何度も注意していました。

しかし、恐れを知らない3歳男児。

母の目を盗んで調子に乗っていたのだと思います。

完全に自業自得ですが、怪我直後の息子の鳴き声と顔は忘れられません。

どうして一瞬でも目を離してしまったのか?

もっときつく言い聞かせていたら防げた怪我ではないのか?

そんな起こってしまったことに対して何度も後悔する車中で、あるドラマをふと思い出しました。

Netflix限定で配信されている『ブラックミラー』という海外ドラマで『アークエンジェル』というエピソードがあります。

『ブラック・ミラー』は、いつ来てもおかしくない近未来を描いた一話完結のSFドラマで、最新テクノロジーやシステムが出てきます。

『アークエンジェル』というエピソードは、
公園で幼い娘と遊ぶシングルマザーが、知り合いとちょっと世間話していた隙に娘を見失ってしまいます。

必死の捜索の甲斐あって、数時間後に娘は無事で見つかりますが、発見者から「線路で猫を追いかけていた」と聞き戦慄します。

その後、アークエンジェルという子供の安全を確認できるシステムがあると知り、無料モニターとしてシステムを導入します。

アークエンジェルとは、脳にチップを埋め込んだ子供の現在位置や栄養状況が正確に分かるだけでなく、子供がストレスを感知した対象に対しフィルターをかけて見えないようにしたり、聞こえないようにしたりすることができます。

また、専用タブレットでリアルタイムの子供の視界まで遠隔で確認することができるので、

導入することで子供の体調管理や安全管理を徹底的に達成できるというのが狙いです。

しかし、アークエンジェルを導入した事でこの親子は大変な運命を辿ることになります。

ハッピーエンドではありません。

帰路の車中でアークエンジェルを思い出しなんだかしみじみしてしまいました。

子供が辛い思いをしないように、痛い思いをしないようにと

目の前の石を全部避けてしまいたくなるけど、

それは子供のためというより自分が悲惨な状況の子供を見たくないだけではないかと。

自分が不安を受け止められないだけなのではないか。

危ないことは危ないと教えていてもするときはしてしまうのが怪我というもの。
後からあれこれと考えてもどうしようもありません。

怪我を恐れて今後危ないところには連れて行かないという決断はよろしくないし、

子供が二人いればどちらかに目が届かない場面なんてこれからいくらでもあります。

突き詰めて言えば、幼稚園や学校に送り出したら無事帰って来るのを待つしかありません。

それができないなら、傷1つつけたくないなら、ラプンツェルのように幽閉しておくしかありません

包丁が危ないからと持たせずにいれば、料理はできるようになりません。

怪我を恐れてスポーツをさせずにいれば、心地よい疲労に伴う充実感や、汗を掻く爽快感とは無縁の人生を送ることになります。

避けられるリスクを全力で回避した暮らしに、どんな輝きがあるのでしょう。

そしてこれからリスクだらけの世界に飛び込んで行く子供達のために、
親にできることとは何なのでしょう。

もちろん事前に危険なことは教えておく必要はあるけれど、それで防ぎきれる訳ではありません。

何があっても動じない冷静さと、

何かが起きても彼らを受け止められる強さ

が、必要なのではないでしょうか。

そしてそれは子供を産んだ以上、自分が死ぬまでずっと肝に銘じておかねばならないと思っています。

怪我や病気に限らず、

彼らが大人になったとき
「挫折してもいざとなったら帰れる家がある」
というセーフティーネットでいられたら。。。

願わくば、何も起きて欲しくないけどね!!

不謹慎な余談。

まだ幼い息子は唇を縫う術中に、レストレーナーという抑制具を纏いました。

幼い子は暴れて危険なので、口腔外科手術や歯の治療をする際に纏うものだそう。

イメージ画像では手が出ていますが、もちろん危ないので手も中に入れて抑制します。

その際顔だけすっぽりと出ている息子を見て、

夫婦で

「まるでファラオ・・・・」

とハモった辺り、どうしようもない親だと思いました。

帰宅後、家事を片付けている隙に衝撃音がしたので何かと思い音の出る寝室に駆け寄ったら、

寝室に椅子を持ち込んで、椅子の上からムアツ布団に思いっきりジャンプでダイブして転げ回る息子の姿が。

即叱るも
「ねむい」と不機嫌に捨て台詞を吐く辺り、どうしようもない息子だと思いました。

この親にしてこの子あり。

〜完〜

※念のため書いておくと、スイミングスクールの施設には全く過失はありません。
うちの息子が濡れたところで走ってはいけないふざけてはいけないという言いつけを守れなかっただけで完全に自業自得の怪我です。

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高原羊(たかはら ひつじ)
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