美味しい、は私を救う。
いつからだろう。
「美味しいものでも食べて元気を出そう」と考えるようになったのは。
生まれてから幼少期、思春期を通してずっと食に興味がなかった。
食が細い、というわけではない。量はそれなりに食べる。
けれどこれといって好きな食べ物もないし、美味しいものを食べたところで大きな感動もない。3食食べねばならないことが面倒くさく、毎日エネルギーゼリーでも平気だった。
そんな人間が、なぜ今浮き立った気持ちでカルディの冷凍シナモンロールを3つ抱え、家路を急ぐようになったのだろう。
家