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いつやるのお墓でランチ清明祭
沖縄には、「シーミー」と呼ばれる行事があります。ご先祖さまのお墓のまえで親戚一同集まり、お線香を手にウートートー(お祈り)したあと、それぞれが持ち寄ったお供え物(重箱2〜3段くらい)を囲んでランチを楽しむのです。
沖縄のお墓は亀甲墓といって、県外のお墓よりとても広くて大きいです。
そのお墓なら、大人10数名(もっと多いところも!?)は、ゆうに入れます。
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女性の子宮を模した形なんて言われているんですよ。
まんなかの四角いところから
赤ちゃんが出てくるとか、こないとか。
清明
二十四節気の一つで、4月5日ごろにあたる。
清浄明潔を略したものといわれ、万物が溌剌としている意から、清明という。
中国では清明に墓参などをする。
その風習が沖縄に伝わり、「シーミー」
「シーミー祭」となっている。
25〜26頁
万物が溌剌としている意……
これは、知りませんでした。
すべてのものが、エネルギーに満ちはじめるこの時期に、ご先祖さまのお墓をきれいにして、親戚みんなでワイワイご飯を食べ、パワーチャージして新生活へ! という感じなんですね、きっと。
ふんふん、なるほどなるほど_φ(・_・
ところで、この時期になると思い出す話があります。それは、以前講師として働いていたピアノ教室の、オーナーの話です。
その教室で働き出して5〜6年経ったころでした。
受け持ちの生徒たちのレッスンが、すべて終わったあと、教室のオーナーと玄関で立ち話することが、働いたばかりのころから、ちょくちょくありました。
新年度になると、沖縄では毎年、
「おたくは、シーミーいつ?」が
挨拶がわりになります。
その日の玄関トークは、当時50代半ばだった
オーナーのシーミーエピソードでした。
オーナーの晴子先生(仮名)は、あるシーミーの日、お花のお供えを頼まれました。
法事など、お墓にお供えするお花の相場は、
菊と決まっているものと思います。
お葬式やお墓参りをイメージするときは、
もれなく菊がついてきます。
晴子先生のお墓でも、菊をお供えするのがデフォルトだったそうです。
ところが、毎年それではつまらないと思った晴子先生。「たまにはいいわよね」と、お墓をあるお花でいっぱいに飾りました。
その花とは……
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どうかしら墓のグレーと薔薇の赤
夏を詠んじゃってますが、
そこは置いときましょ😅
あの亀甲墓に、真っ赤なバラの花を、たっぷりお供えしたんですって。菊じゃなくて。
「バ……バラを活けたんですか?」
晴子先生を1メートルくらい前にして、わたしの顔の筋肉、そして肩はプルプル震えていました。
あまりに、予想を裏切る花。
しかも、あまり明るい場所とはいえないお墓にバラの存在感は強烈すぎる気がして、笑いがこみ上げてきたのです。
「えぇ」
晴子先生は、なんにもおかしくない普通のことよ、と言わんばかりです。
いや、そうかもしれない。
そうかもしれないけど、お葬式に真っ赤なスーツで参列するのと、すこしだけ似てませんかソレ。
「そしたら親戚の人たちに怒られたのよ。別にいいじゃない、バラは綺麗だし。ご先祖さまも喜んでるわよ。ねぇ」
ねぇ、と言われましても。
あのグレーばかりの、だだっ広いお墓に飾られた、真っ赤なバラたち。
そして、ご立腹のご親戚筋をまえにキョトン顔の晴子先生を想像すると、とめどない笑みがこぼれそうで、もう晴子先生と視線を交わすことさえ、難しくなっていました。
普段からちょっと、いや、かなり抜けていらっしゃった晴子先生。
シーミーの時くらい、お墓にバラを飾るよね。
帰宅したわたしは、(当時は実家暮らしでした)速攻で母にこの話をして失礼なほど笑い転げ、退職した今でも、この斬新きわまりないシーミーエピソードを思い出しては、
「うぷぷ……」
と体を小刻みに震わせています。
晴子先生とは相性が良いとは言いがたく、はたらいている間、納得いかないこともたくさんありました。
ですが、このエピソードは
「なんだかんだいって、憎めなかったなぁ。晴子先生……」
と言わしめるには、充分すぎるほどなのでした。
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いつも、ありがとうございます^ ^
俳句幼稚園の皆さまへ
コメント「ふつう」希望です。
「清明祭」を詠んでしまった是非。
季語の「清明」とは、ちょっと違ったかな〜
気になります💦
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