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片野秀樹「あなたを疲れから救う 休養学」

とにかく疲れています。特に最近は、色んなことが重なったこともあり、ついに、駐車場から職場まで歩く一人の時間の間に、仕事に行きたくないなあ、という気持ちと向き合わざるを得ないことが多くなりました。
なんとなく今まで乗り切れてきたけれど、ついにキャパシティを超えた感じです。
とはいえ、仕事を休むのは休むで、落ち着かない感じもあります。

そんな中で編み出した方法は、リモートできるときにはリモートをする、という選択肢です。
大体渋滞してる車通勤がないだけでも楽ですし、自分の職務として必要な情報以外がシャットアウトされるので、集中できます。職場にいて窓口や電話にずっとさらされている方たちには申し訳ないのですが。こうやって書いていると、自分の一番の疲労は情報過多なのかもしれないな、という気がしてきました。
静かに必要な情報だけを取り入れて整理していくと、自然と心も落ち着いてきて、また職場にリアルに出勤する元気が出てくるな、ということに気付きました。

2、3年前から、カウンセリングを受けてみたり、関連の本を読んだりしながら、自分の体や心の動きを見ること、そして、どうやって手入れをしていくか、ということを考えるようになりました。でもまだまだだな、と思っています。そんな中、職場で本の貸し出しをしている方の本棚で、この本を見つけました。

休み方は「学べる」
【甘いもので自分にごほうび】
【疲れたときは寝るのが一番】
【疲れたらコーヒーを飲む】
全部「✕」です!
休むこと=寝ることではありません。
今すぐ疲れをとりたいなら7つのことだけすればいい

本書 帯

帯に書かれたこの言葉にひかれて、読むことにしました。
前半では、疲労に着目して、様々なデータを引用しながら、具体的に疲労というものが何であるのかを説明しています。
まとめると、次のようになるとのことです。

体を動かしたり、頭を使ったりすることで、本来の活動能力が下がった状態

疲労には3つの段階があり、急性疲労、亜急性疲労、慢性疲労となります。
急性なら数日で回復、亜急性なら1週間から数カ月続く状態、慢性疲労となると半年以上続きます。

疲労をが存在することを自覚する感覚を疲労感と言います。例えば、「だるさ」や「おっくうさ」など。
でも甘いものやカフェイン、栄養ドリンクなどで何となく乗り切る、これを著者は「マスキング」と表現しているのですが、このような形で疲労感を無視して頑張ることが可能です。
これを繰り返していくとどうなるのか、最終的には、バーンアウトしてしまう、といいます。

疲労に対しては休息があればよい、と思われがちですが、ここで著者は、活力を与えることも大切、と言います。
たとえて言うなら、活動→疲労→休養のトライアングルでは、スマホのバッテリーを50%まで溜めたら使いなくなったら充電する、というのを繰り返している状態であるといいます。必要なのは、休養に加えて活力を与えることで、100%まで充電して、最高のパフォーマンスで活動できるようにすることだといいます。トライアングルではなく、活動→疲労→休養→活力のサイクルが大切です。
休養学は「7つの休養モデル」を定義しています。

本書 「7つの休養モデル」の体系図より作成

休息タイプ 一般的な「休み」のイメージに近く、「睡眠」、「休憩」
運動タイプ 「適度な運動」でウォーキングやヨガ、軽く運動をすることなど。お風呂に入ることも血行が促されるとともに、体全体にかかる水圧が350kgにもなる効果もあります。
栄養タイプ 食事を指します。食べ過ぎないこと、また食べないことで胃腸を休めたりデトックスしたりする効果も。
親交タイプ 家族や恋人とハグしたりスキンシップをとることや、ペットや動物と触れ合うこと、近所の人やなじみのお店の店員さんなどと言葉を交わすことも含まれます。自然に触れたり森林浴したりすることも効果があります。
娯楽タイプ 音楽を聴いたり、映画を見たり、趣味を楽しむこと。本格的ではなくても、爪を切るとか鼻歌をうたうとか炭酸飲料を飲むなど、小さなことでも、自分の気持ちをよくできるのなら、娯楽タイプといえます。
造形・想像タイプ 絵を描く、詩を書く、作曲とか、ハンドメイドや日曜大工で何かをつくるとかいった創作活動全般。自分で作らなくても芸術鑑賞しながら想像したりすることも含まれます。
転換タイプ まわりの環境を変えること。洋服を着替えるとか、部屋物用替えをする、買い物や外食をする、旅行にすることも含まれます。

加えて大切なことは、7タイプを組み合わせることです。複合的に行うことで、疲労回復効果が2倍にも3倍にもなります。
スープを作って飲むことは休養、栄養タイプですが、冷蔵庫から具材を出してつくることは造形・想像タイプ、家族と食べれば親交タイプにもなります。さらに保温ジャーで公園まで歩いてそこで食べれば、運動タイプにも転換タイプにもなります。
大切なのは、自分自身でやりたいと思ってやることだといいます。
確かに料理は造形・想像タイプ、片付けは転換タイプ、運動タイプにもなるけれど、やらなければいけないと思ってやると疲労回復にはならないだろうな、と思います。
まだ子供が小さい頃、夫が家族旅行に連れていってくれても、全くありがたいと思えず、とにかく疲れが溜まり、誰かが風邪ひいて仕事を休まなくなければいけなくなったら、どうしよう、といつも思っていました。せっかくの転換タイプや親交タイプのチャンスを逃していたわけです。
今は、子どもも丈夫になったし、もし体調が悪くなったら夫にも休んでもらえばいいと思うので、楽しむことができます。

本の最後の方は睡眠の質についても、いろいろと書かれています。私は寝つきがあまりよくなく、すぐに寝られない上、寝る前にスマホを見たりしてしまうこともよくあります。スマホも親交や転換、造形・想像タイプになるのかなとも思いますが、ほどほどにしようと思いました。

最近の自分を振り返ると、睡眠は大事にしているし(休養)、お風呂や寝る前のストレッチ(運動)、土曜日の朝は甘酒だけ(栄養)、家族と一緒に過ごしたりSNSやイベントに参加すること(親交)、運転の時はセカオワをきくことや仕事とは関係ない分野の読書(娯楽)、スマホで写真を取ったり、読書日記をかくこと(造形・想像)、読書やおでかけ(転換)という感じで、少しずつ疲労回復には取り組めているかな、と思います。
といえ、肩こりは慢性的だし、疲れているな、という実感がいつもあるので、もう少し活力を得るための休養について意識してみたいな、と思いました。他にも疲労の一番の原因となるストレスのことや、睡眠の質を上げることについても様々なアドバイスが書かれていて、とても興味深い内容でした。

著者はこちらの代表理事を務められています。

https://www.recovery.or.jp/


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