早見和真「新!店長がバカすぎて」

すぐに続編を読むことができたのはラッキーでした。
武蔵野書店の吉祥寺本店で働く谷原京子さん、前作にも登場したバカすぎる店長山本猛は、しばらくの間、社長の故郷の宮崎に新たに作られた店舗の店長代理補佐を務めていたのですが、吉祥寺本店に戻ってきます。
そして、また個性的な人物たちと、そして魅力的な本たちが登場します。

本の読み方って、いろいろある気がしますが、その両端には、2つの読み方が存在していると思います。

片方は、理性的というか批評的な読み方。
もう片方は、どっぷりと浸かってしまうような読み方。

私はどちらかといえば、どっぷり読みが多い気がします。辻村深月を読むときなんかは、全てを投げ出して、読みふける可能性もあるので、読み始めのタイミングなどは要注意です。
小説はもちろんのこと、ビジネス書なども、共感し、のめり込みながら読むことが多いです。それはそれで楽しい読書ライフではあるのですが、少し理性的に読みたいと思っていて、だから多分、このnoteはそこから少し、理性的な読み方に近づけるためのツールになっているかなと思います。

「店長がバカすぎて」の方に引き続き、続編でも、本に関する会話がたくさん出てきます。
谷原京子さんの読み方も、前編の方では様々でしたが、なんとなく、のめり込む方に傾いている感じがしています。

中でも「ステイフーリッシュ・ビッグパイン」という本など、何度も登場するし、しかも、読むたびにすごさを感じるということで、本当に魅力的です。どうしても読みたくなって、またまた、ないだろうなあと思いながら、検索してみてしまいました。

もちろん、あるはずはありません。

検索してくるのは、「新!店長がバカすぎて」に関するブログばかり。
でもやっぱり、私以外にも、読みたい、って人がいたのが分かって、何だか嬉しくなりました。

私は子どもの頃から、図書館で本を借りていました。
最初に連れて行ってもらったのは幼稚園の頃。母もよく本を読む人間だったので、私も数冊の絵本を借りていました。
すごく節約しなければいけない家庭だったので、何となく、本を買ってといえずに、でも「若草物語」だけはどうしても欲しくて、買ってもらえないかもしれないと思いながら頼んだら、すぐに書店に連れて行ってもらえたことが忘れられません。
とはいえ、その後も、学校図書室、近所の公民館図書室が私の読書の源でした。

大学院生の頃、専攻は経済学でしたが、図書館司書になりたいと思って、副専攻で図書館学をとっていました。無事全科目取り終えて、司書の資格を持っています。
でも、それは本に囲まれて仕事をしたかっただけだと思っていました。人は苦手だし。

こんな読書日記を書いていて一番嬉しいのは、読んだよ、と言われることです。私の言葉がきっかけになって、読んでみてくれる人がいて、私が感じたものとは違うかもしれないけれど、本から受け取ってくれている、ということが、すごいことだと思います。
谷原さんたちが、給料が安くても辛くても、ついでに言えば、店長がバカでも、仕事を続けられているのは、本が好きだから、本と人とを繋げたいから、ということだというのを読んで、改めて、本があれば、生きていける、と思いました。

でも1冊目の時の、本があれば、生きていける、とは少し違う感じです。辛くても耐えられる、みたいな感じじゃなくて、もっと能動的な感じです。足の裏で地面を感じながら歩いていくような。

「新!店長がバカすぎて」は読み終えて、終わってしまいましたが、きっと谷原さんはそろそろ店長になっているでしょうし、読者だった私も、また他の本を手にしながら、私自身の物語を歩ていくことになるんだな、と思いました。


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