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島田正樹「いまから始める!ミドル公務員のすこやかキャリア」


もうすっかり、中年ど真ん中にいるわけなのですが、この本につけられた帯の言葉「“中年の危機”をサバイブする」という言葉が嫌で、実は、本が出たことは知りながらもすぐには手に取れませんでした。
いつまでも若いつもりでいるわけではないのですが、「中年」という言葉の響きが、まっさきに「中年太り」を彷彿とさせ、マイナスのイメージを感じるからでしょうか。
また、そこには、プレイヤーとしてではなく、マネージャーとして、あるいは後輩を育てる時期に来ているという意味も感じて、それももやもやしていました。
今の自分は、もう少し登り坂でいたかったのです。なぜかといえば、仕事における私の立ち位置は、庶務事務である期間が長くて、自分の力が発揮できないまま今に至っていると感じていました。
自由度が低く、せいぜいできるとしても事務改善です。アイデアを活かしたり、創造性を発揮したり、外の人とのつながりで何かを作り上げていくようなことは求められていませんでした。
もちろん庶務事務以外の仕事もありましたが、それらもあまり自由度が高くないものでした。40代に入って、いくつか大きな経験をさせてもらうチャンスができましたが、部下を持つようになったので、徐々にプレイヤーというよりはマネージャーとしての責任を感じています。
しかし、プレイヤーとしての経験がないことを、係員にやってもらうのはとても難しいことです。しかもそれなりに余裕を持ってできることであれば、一緒に考えることができたかもしれません。でも、こういう上司には絶対になりたくないと思っていたのに、実質的に「自分がやった方が早い」という感じで進めてしまったこともあります。
一方で、外から出てきた話や新たに生じた課題などで、どうしても既存のやり方で型にはまるものがなく、自分でやってみて型を作り、2回目以降は型通りにやってもらったこともあります。
自分のポテンシャルはあるのに経験が足りなかったから、知見を引き継げるほど、登り切っていない、というのが、今の感覚です。
しかし、年齢で区切って、考えるとしたら、そろそろ本当に、仕事において自分が成長することよりも、部下を育てることが大事なのかもしれません。また、自分がまだ昇れるというのも、ポテンシャルを大きく見積もり過ぎなのかもしれないとも思いました。

でも、地方公務員オンラインサロンHOLGでご本人の講座を聞いて、やっぱりちゃんと私も考えなければいけない、と思いました。


この本を書いた島田氏は、キャリコンの資格を取得され、主に公務員のいろんな方の相談にのるほか、地域活動はじめ、様々なことを実践されています。

この本は2作目で、前作は下記です。


本書は5章に分かれています。4章までの章末には、4人の方から取材した具体的な話を交えながら、どう中年の危機を乗り越えていくかについて、丁寧に書かれています。取材された方々もHOLGでお見かけする方々です。

第1章 ミドル期に迎える変化と戸惑い

まず、年齢的なことで、自分の身体や家族(子どもの成長や親の介護の問題も含めて)が変化しつつあることを確認します。
私の場合、自分自身が親が24歳の時の子、そして、自分は初めての子を33歳で産んだこともあり、人よりは遅れているかもしれませんが、考えていかなければいけないことだな、と思います。

第2章 残り時間と自分の価値観を意識して働く

私は4年の育休を取得していて、一番昇進の早い同期より3年遅れというのはそれほど深く意識はしていないつもりです。ですが、このままだとどの役職まで行けるのだろうか、ということはぼんやり考えたりします。
他方、それなりに自分は自分の職位でやるべきことをやってきているという自負はありました。けれど、よく考えてみると、都合よく人と比べている感じです。つまり、ちょっとどうかな、と思う係長の姿を思い浮かべて、自分はもっとちゃんとやっていると思っていたかもしれません。
また、自分が何が得意か、何を大事にしているのか、ということも、選択肢があれば選べるけれど、具体的に何、と訊かれるともごもごしてしまいそうです。

第3章 人間関係では公私での役割の変化を大切に

アドラー心理学などを引用しながら、自分は変えられるけれど、他人は変えられない、という話から始まります。人との関係をどう築いていくか、単に案件ごとの話ではなく、実は、OKをもらえるかどうかは、相手が誰かであるかということで決まっていて、それは「資産」である、という話です。
また、パートナーとの関係についても、お互いのキャリアを大事にしながら、まずは自分がどう考えているかを伝えることから始めよう、ということが書かれています。確かに、退職したらどんな風に過ごしたいか、とざっくり話すことはありますが、実は自分自身もよく考えられているわけではなく、その点では夫も同じかな、と考えたりします。
でも実際に話をしてみることで、ビジョンが見えてくることもあるかもしれないので、折に触れて、言葉にしてみたいなと思いました。
パートナーだけでなく、子どもに対しても同じで、子どももどんな大人になっていきたいのか、対等な立場で話すことも必要になってきます。

第4章 人生後半を豊かにする地域・社会とのつながり

 
地域とのつながりについて書かれています。
PTAは私も、必要最低限は取り組んできましたが、単にやるだけでなく、その意味や価値を意識することで、もう少し前向きに捉えることができ、様々な可能性を持たせることができるという話です。
自治会活動などについても同じです。

第5章 ここから創る私のキャリア

退職後も現役で働いていきたいなら、今、このタイミングから考えていかなければいけない、という話です。退職後に明日から何をしよう、と考えていても、そこから何かを始めるのはとても難しいこと。今から自分の価値観を見据え、必要な技能や知識を得ながら少しずつ準備していくことで、退職後も自分らしく働くことができる、と書かれています。

中年という言葉を最初よりは前向きに捉えることができるようになった感じがしました。何かを選ぶ時には、はっきり分かる時が多かったから、なんとなく自分の価値観や軸ははっきりしていると思っていたけれど、長期的にどんな風に生きていきたいか、ということを突き詰めて考えていくと、曖昧かもしれないということに気付きました。

ひとまず読み終えたわけですが、これは書かれていることを実際にやってみないと、本当の意味で読んだとは言えないのだろうな、ということに気付きました。少しずつ、できることから、やってみたいと思います。

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