【本の紹介】『貧乏の神様』(柳美里著)と『蜥蜴(二十歳の火影)』(宮本輝著)
芥川賞作家の柳美里が困窮生活だなんてどういうことだ、と興味本位で手に取ってしまいました。
『貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記』
本気の困窮生活でした。
水道代が払えないほどの困窮でした。
なぜそんなことになっているのかというと、パートナーだった人の医療費、葬儀代、お墓代が必要で、莫大な借金を抱えていたために、芥川賞で得た6千万円も、その返済に消えてしまったのでした。
そもそも柳美里さん、貯金というものをされない性格のようで。
実は、この本の内容自体にはあまりひかれなかったのですが、次の一文は頭に残りました。
それそれ!
各地で起こっている紛争、戦争、虐殺
環境破壊
日本の男性中心社会
自民党の裏金問題
…思い浮かぶことは山のようにありますよね
旧ジャニーズや宝塚歌劇団は「終わらせること」を始めたのかな?
ファンのためとか、良い作品を作るためとか、儲けるため(?)とか、そういうことはいったん横に置いて、長く続いた悪習を断ち切らなければ始まらないのに。
長く続いた悪習というのは、もう「身」と一体化しているために、断ち切るのは簡単ではありません。それこそ身を切らなければできません。
というようなことを思っていると、宮本輝氏の短編集「二十歳の火影」に収録されている、「蜥蜴」という掌編を思い出しました。
高校の国語の教科書に載っていたような記憶があります。
簡単にあらすじを書きますと
私自身にもそのような錆びた釘が、還暦を迎える今もまだ刺さっています。