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【本の紹介】『口訳 古事記』(町田康著)
笑える「古事記」など初めてだ🤣
たとえばスサノオがヤマタノオロチを退治するための酒を村人に造らせる…というとこらへん。酒が出来上がった後の村人らの会話。
(村人A)「あんたえらい顔赤いな」
(村人B)「人聞きの悪いこと言うな。そんなこと言うたら俺が酒、盗み飲みしたみたいやんけ」
(村人A)「疑ってすまん」
(村人B)「ほんまやで。気いつけや。さっ、ほんなら、八岐大蛇(やまたのおろち)が来る前に、もう一杯だけよばれて帰ろ」
(村人A)「飲んでんのんかーい」
これは落語ですか、それとも吉本新喜劇ですかぁ?
こんな調子で、
イザナギとイザナミの、夫婦漫才のような「国生み」「黄泉の国行」
天照大神の「天の岩戸ごもり」
スサノオの八岐大蛇退治
大国主の「因幡の白兎」「国造り」
ヤマトタケルの冒険などが語られる。
高校の文化祭なんかでやったら面白そうだなぁ、
などと想像してみたが…
「アホ」とか「死ね」とか「殺す」とか、
「これはアカン」と先生に突っ返されるに違いないことばが散見され…
私が台本チェック担当の教員だったら
「面白いけど、ごめん、直してきてください」と言うだろう。
『古事記』には長~い「歌謡」がたくさん出てくるが、
その超訳もまた吹きだす。
「こんな長いの、一言で終わり?」みたいな。
(これ以上のネタばらしはできませんので、是非本書をお読みください)
私が中学生のときだったか
『古事記』は現存する日本最古の書物。
稗田阿礼が暗唱して、太安万侶が編纂して、712年に完成した。
と教わりました。
私は、
「へー、稗田阿礼という人が口伝えで伝わってきた神さまのお話を、太安万侶に伝えたのかー」
と勝手に思っていた。
私の中での稗田阿礼は、記憶力の神だった。
しかしそれは勘違いだった。
日本の歴史書(帝紀や旧辞)は、多くが壬申の乱(672年)で焼けてしまった。
天武天皇の「新たに作れ」というお達しを受けた稗田阿礼が
焼け残った文物をかき集めて辻褄合わせしたらしい。
稗田阿礼は辻褄合わせと文字の読み取りの神だったようだ。
いやそれも違うかもしれない。
「そもそも稗田阿礼はいなかった」説もある。
そもそも『古事記』は後代になって作られたものであり、
「712年に太安万侶編纂」と書いてある序文は嘘説もある。
『古事記』は謎だらけだが、とにかく『口訳 古事記』は笑える。
嫌なこともぶっ飛ぶ。
あともう一つ、『口訳 古事記』のおかげで神様の数え方を知った。
一人、二人ではなくて、「一柱、二柱」というのか!