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2019年に読んだ約500冊の中からチョイス【2019 心に残った食の本 7選】

2019年に私が読んだ本・雑誌・フリーペーパー
の総計は12月27日時点で521冊となりました。
2018年が404冊で、
「2019年は500冊」という目標を掲げて
いたのでひとまず達成できました。

けっこうな数となりましたが
雑誌やフリーペーパーも多く(笑)、
一冊一冊も隅から隅までは読んでいません。
斜め読みや飛ばし読みも多数ありです。
苦しんで読み進めるより、
その時間をまた別な本等との出会いに
使った方が有益と感じますので……
(少なくとも私には)。

佐藤優さんや成毛眞さんの読書法を読んでも、
似たようなことが書かれていますね。
(ちなみに佐藤優さんは月間300冊だそう 笑)

そんな中で、私の心に残った
「食の本 7選」をご紹介します。
何かのご参考になれば幸いです◎

■1 【辻留 食の美 器の美】 辻嘉一

言わずと知れた京懐石の老舗「辻留」。
その先代、辻嘉一さんの著作です。
嘉一さんは料理の腕前はもちろん、
著作も約60冊あるという日本料理界の巨人。

この本では1年を1ヶ月ごとに区切り、
季節の料理とそれを盛り込んだ器の解説、
さらに巻末にはつくり方まで書いてあります。
大判の本で写真の迫力にも圧倒されます。

器はMOA美術館などに収蔵された名品ばかり。
料理は時代を経ても
まったく色あせない美しさと、
文化的背景の強さを持っています。

日本料理や文化の勉強を、
とっても興味深く行うことができる、
希有な本だと思います。


■2 【江戸そば一筋】 堀田平七郎

浅草の老舗蕎麦屋「並木藪蕎麦」の
これまた先代、堀田平七郎さんの著作です。

江戸蕎麦のいろはと奥義が、
並木藪の非常に濃厚なつゆのように
香り立ってくる良書。
初期の美味しんぼに出た際の
エピソードなども掲載されています。

「蕎麦屋の『帳場』は単なるレジではなく、
 お店の『管制塔の役割』を担う」など、
とても興味深いお話しが多数。
「山かけ」「玉子とじ」「鴨南ばん」など、
一品一品の意義や思いなども記されています。

読んだらきっと、並木藪に行きたくなる……
あぁ、鴨南ばん……
(冬場だけの提供なので物凄く行きたい……)


■3 【東京・味のグランプリ200】 山本益博

おひげでおなじみの
山本益博さん71歳がアラサーのときの著作。
今から約40年も前の本。

「日本のレストランガイドに
 初めてミシュラン方式を持ち込んだ」
と言われ、その語り口の切れ味の鋭さに、
たいへん驚きました。
当時、山本さんはまだ無名だったらしいです。

内容は、めちゃくちゃロックです(笑)
あぐらをかいている老舗など、
バッサバッサと切り捨てまくっています(笑)
今の温厚そうなマスヒロさんからは
想像がつかない……!

ジャンルは、すし、そば、てんぷら、
うなぎ、洋食、ラーメン。
これだけ前の本なので、
現在は閉店していたり、
お店の状況ももちろん違うのですが、
とんでもなく面白いです。
食への接し方の迫力が尋常じゃない。

一部で評価が微妙なミシュランガイドと
比べてみると、この本が持つ凄みには
感じ入るものがあります。


■4 【続・職人で選ぶ45歳からのレストラン】 宮下裕史

私が敬愛しているフードライターの筆頭、
それが宮下さんです。

最近ではdancyuの2020年1月号の巻頭で、
「鮨處 はる駒」について
したためておられました。
親方の仕事や人間性に
美しくも重みのある文体で迫る「宮下節」
全開で、何度も読んでしまいました……
(はる駒は私もよく通う、
とてもまっとうな鮨屋です)

この本では51の料理人とお店をとりあげ、
お一人おひとりの深い部分に迫っています。
先ほどの親方、田島親方と宮下さんは
20年来の付き合いだそうで、この本の
前作で田島親方のことを書いています。

田島親方をみていると、
はる駒がメディアに出るとは
にわかに信じられませんでしたが、
宮下さんが書くとわかって納得。
宮下さんしか踏み入れられない領域が
あったのでしょう。

私も将来、こんな仕事をしてみたいものです。


■5 【日本一江戸前鮨がわかる本】 早川光

BSの鮨番組や、さまざまな鮨漫画の原作も
務める早川さん。
ブログなどでも鮨への愛が
本当にあふれ出ていまして、私は大好きです。

この本は早川さんの「鮨変態性」が
大いに発揮された珠玉の一冊です。

古来からの握り方、
「本手返し」の動作を忘れないために、
時々丸めた紙で動きを
確認しているそう……(笑)
いやはや素晴らしい。

食べ歩きで刷り込みにあわないための注意点、
“問屋さんの”旬、鮨屋の劣化、
シャリの味のバランス・相性、
握りのフォームの個性、などなど、
鮨マニアがにんまりしてしまう
話題がもりだくさん。

2〜3万円の鮨屋に
ポンポン行けるような方にこそ、
ぜひとも読んでいただきたい一冊です(笑)


■6 【昭和の店に惹かれる理由】 井川直子

東京メトロのフリーペーパー
「メトロミニッツ」に連載されていた
「昭和のこころ」で、
私は井川さんのファンになりました。

この本では、「昭和の仕事」を
垣間見られる10軒を掲載。
店主やお店を、非常に繊細な感覚で描きとり、
とんでもなく丁寧な取材をされたことが
感じられます。

「昭和の良さ」を雰囲気でごまかさず、
納得できるところまで
“料理”しているのがすごい。

そして井川さんは、
元コピーライターなんですよね。
そういった意味でも
ぜひお目にかかりたい……!
2020年の目標です。


■7 【最後の職人 池波正太郎が愛した近藤文夫】 中原一歩

最後にご紹介するのは、
私とほぼ同世代のノンフィクション作家、
中原一歩さんです。中原さんは
「食」をテーマとされることも多く、
dancyu等でよくお見かけしますね。

同世代ながら、
中原さんの行動力には度肝を抜かれます……

私の勝手な印象ですが、
取材対象に粘り強く食らいつき、懐に入り、
その方が「大切にしているもの」を
そっと、しかし素早く読者の元へ運んで
くださるイメージです。

この著作では、
野菜天ぷらを世に広めた
近藤文夫さんにグイグイと迫っています。
厨房、河岸、漁場、畑、
臨場感と緊張感ある世界が眼前に広がります。

中原さんにもぜひとも2020年に
お目にかかりたい……!


食の本とは「人間性」の本

食にまつわる優れた本を紐解いていくと、
込められた思いや文化を経て、
結局は「人間性」に行きつくんですよね。

食とは本能の行為でもあるし、
人間的な創造性が発揮される場でもあるので、
当たり前のことなのかもしれないですが……

私が食の本に惹かれるのは、
そうした部分も大きいのかもしれません。

2020年も、
大いに食と食の本を楽しみたいと思います。

「この本がオススメだよ!」というものが
ありましたら、教えていただけますと
たいへんうれしいです!
よろしくお願いいたします!

そして図らずも、
2020年の目標が明確化された(笑)
井川さんと中原さんに
お会いするぞーーーーー!

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