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2024年マイベスト野球本5選

 Xで書き留めていた「マイベスト野球本5選」。2024年版はnoteでまとめてみようと思う。

 過去の一覧はこちら↓

 今年のマイベスト野球本はここから↓

『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』村瀬秀信

戦後から少し経った頃に現れ、すぐ消えたとされる、阪神・岸一郎元監督のルポタージュ。仲間内で話してもこれがナンバーワンということで一致。野球マニアでも知らないことだらけだったし、途中からはRPGゲームを体験しているような感覚になった。
刊行前から「村瀬さんが面白い本を出す」と人伝てに聞いていたが、期待以上が過ぎる。ルポライター村瀬秀信の本領発揮。

『巨人軍vs.落合博満』中溝康隆

落合博満という強烈な個、いわばアウトローの極みな人と、読売巨人軍という日本プロ野球の総本山的な組織が向き合った3年間。たった3年かもしれないが、その中身はあまりにも濃い。
直接取材なしに、徹底して書籍や雑誌等の資料にあたってまとめ上げる、中溝さん流の最新作にして最高傑作。

『高校野球と人権』中村計、松坂典洋

まず切り口が新しい。「高校野球」と「人権」が結びつくのか? と思ったが、きっとそれは製作側の思う壺なのだろう。
高校野球を筆頭に、学生スポーツは顧問が生徒(選手)の生殺与奪の権を握りがち。それが人権侵害にあたるのではないか、と本書は問うている。
私は「野球も人間の営みの一つ」と捉えているが、まさにそれと地続きだと思わせてくれる一冊だ。

『慶應高校野球部:「まかせる力」が人を育てる』加藤弘士

『高校野球と人権』が概念的なもの、外郭的な話だとしたら、本書はもっと具体的で内側の話。
著者の加藤さんは報知新聞アマチュア担当記者として、慶應高校を取材。その距離の近さや網羅的な取材が本書を立体的に浮かび上がらせている。
特に歴代キャプテンの述懐は興味深い。各学年でカラーが出るし、入学ルートが異なる者をまとめ上げるのは相当に大変なことだと推察する。。

『大谷翔平の社会学』内野宗治

史上初の50-50達成に、悲願のワールドシリーズ制覇。大谷翔平の2024年はキャリアの中でも特に光るシーズンになった。
彼がもたらす効果はグラウンド内に留まらず、我々の実社会にもあらゆる形で現れる。それを実例を交えながら説明されたのが本書だ。
個人的にはこういう「大谷本」が欲しかった。プレーに関するあれこれや、プライベートの一端は、ある程度継続的に知り得ることができるけど、社会学的見地(著者は社会学専門ではないので敢えてそう言う)から「大谷フィーバー」を捉える書籍はほぼ皆無だったかなと。


図らずも野球書店さんの大賞ノミネートと4/5同じ結果になったけれど、それだけ頭抜けた野球本が多い1年だったと思う。

来年もたくさんの野球本を読んで、「これだ」と思ったものをご紹介できれば。皆さんも楽しい野球本ライフを📕👍

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