映画レビュー『大人は判ってくれない』(1959)反抗期ってムシャクシャするよね
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はじめてトリュフォー監督の
作品を観た
「ヌーヴェルバーグ」は、若い頃にゴダール監督の『勝手にしやがれ』('60)を観たくらいで、知らないことが多いです。
本作はヌーヴェルバーグの代表的な作品の一つなんですが、私の知っている『勝手にしやがれ』ともまた違う感じが良かったですね。
トリュフォー監督の長編作品1作目
12歳の少年を主人公にした物語で、トリュフォー監督自身の自伝的要素が強い作品と言われています。
主人公のアントワーヌ・ドワネルは、学校での成績が悪く、友達といたずらばかりしている問題児でした。
実家は両親が共働きの裕福とは言えない家庭で、夫婦喧嘩もたえない環境です。
とにかく、アントワーヌは現実に嫌気がさしていました。
そんな中で唯一の彼の救いは映画と本だったのです。
前半は子どもならではの
ほっこりするシーンも多い
一方で、後半はかなり過酷な状況も待っています。
アントワーヌのいたずらが徐々にエスカレートしていき、家を飛び出したり、停学になったり、最終的には……あまり書いてしまうとネタバレになるので、ここまでにしておきます。
10代にしてはなかなか壮絶な人生です。
'50年代のパリの美しい街並みを映像として残した面も、本作の大きな特徴になっています。
特に印象的だったのが、オープニングで流れる街の風景ですね。
車に乗って窓からのぞいたような風景が長めに流れます。
そういった美しい背景をバックにした、子どもたちの素朴な演技も光っていましたね。
本作には純文学のような味わいが感じられるのも特筆すべき点です。
娯楽的な要素がないわけでもないですが、どちらかというと、人間の深い心理をそれとなく描いている部分に文学的な要素を感じます。
映画史の中でも名作と言われる作品ですから、一度くらいは観ておいても損はない作品でしょう。
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