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書籍レビュー『「簡潔さ」は最強の戦略である』ジム・バンデハイほか(2024)文字や言葉で伝える時に重要なこと



大量の文字に翻弄される時代

私は常日頃から
「簡潔さが重要」と思っています。

ある時、同じようなことを
考えている人はいないのか、
ネット上で検索をかけてみたのです。

すると本書が出てきました。

本書が発売される1週間前のことです。

そこにはこのような文が
掲載されていました。

毎日、メールに何時間使っていますか?

本書 帯文より

私たちはこれまでの人類が
経験したことのないほど、
大量の文字に囲まれて
生活しています。

そんな中で、大量の情報に
煩わされ、翻弄され、
多くの時間を
無駄にしているんですね。

この状況を克服するには、
文字の送り手が意識を
改めるしかありません。

人に情報を伝える時は、
なるべく文字を少なくし、
読む負担を減らさなければ、

書く方も読む方も
あっという間に
くたびれてしまいます。

本書にも書かれていますが、
実際のところ、多くの人は、
自分宛に送られたメールですら、
熱心に読んではいないんですね。

長いメールであれば、
せいぜい、最初の2、3段落が
いいところではないか、
と本書では述べられています。

これが事実だとすれば、
私たちはメールで情報を伝える場合、
最初の2、3段落で

伝えるべきことを
伝えなければならないことになります。

だからこそ「簡潔さ」が大事になるのです。

文の「長さ」は「深さ」ではない

本書はアメリカの政治サイト・
ポリティコ、
ネットメディアのアクシオスを
創業した三人によって執筆されました。

アクシオスの売りは、
スマホ時代に合わせた
簡潔な文章のスタイルで、

「スマートな簡潔さ」
(Brevity)が売りです。

アクシオスの記事では、
目を引くタイトルと写真が
1番上に表示され、

記事の全容を紹介する
リードに続き、
2段落目には「なぜ重要なのか」が
示されています。

どの記事も1~3分で読める長さに
設計されているのです。

アクシオスでは社内でも
このような形のニュースレターで
情報を共有しており、

150人を超える社内の
ジャーナリストたちが
このニュースをもとに
コミュニケーションをとっています。

本書ではこういった活動の意義と
具体的なテクニックを伝えてくれるのです。

徹底した読み手ファースト

本書を読んで何よりも感じたのは、
「簡潔さ」は「読み手ファースト」
ということです。

文章を書く側にとっては、
自分が何を伝えたいのかが、
もっとも重要になります。

しかし、ここが大きな落とし穴です。

頭の中で自分の伝えたいことだけが
大きくなってしまい、
それを読む人の気持ちが
想像できなくなってしまうんですね。

本書では徹底した読み手ファーストが
主張されています。

自分が何を伝えたいのかよりも、
相手が何を知りたいのかを
考えることです。

また、文章を読んでもらうために、
相手への配慮も怠りません。

例えば、本書では各記事の冒頭に
「スマート・シンプル・カウント」
という表示が必ずあります。

そこには記事の文字数と
読むのにかかる時間が
書かれています。

例:イントロダクション
  2900字 6分

本書 p.1

アクシオスの社内向け
ニュースレターにも必ず、
このような表記が
入っているそうです。

なお、本書では平均して
1分に読める分量が試算されており、

平均的な人が1分間に読む分量は
約265ワード
〔日本人は平均400~600字〕

本書 p.149

この数字をもとに、
スマート・シンプル・カウントが
設定されています。

こういった数字を知ると、
果たして自分の書いた文は
どのくらいかかって読めるのだろうか、
と意識せざるを得ないですね。

(なお、私が書いているこの記事は、
 ここまでで1300字程度なので、
 前述したカウントに基づけば、
 2分ちょっとかかることになる)

本書に書かれた「簡潔さ」の
重要性を理解し、

そのテクニックを身に付けるだけで、
1日にできることの多さ・深さが
広がりそうです。


【書籍情報】
発行年:2024年
著者:ジム・バンデハイ、
   マイク・アレン、
   ロイ・シュウォーツ
出版社:ダイヤモンド社

【著者について】
ジム・バンデハイ
アクシオス共同設立者・
CEO・会長。
ポリティコ共同設立者・CEO。
マイク・アレン
アクシオス、ポリティコ共同設立者。
ロイ・シュウォーツ
アクシオス共同設立者・社長。

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