「勉強しろバカ。」
松田行正著・「RED ヒトラーのデザイン」を読んだ。
人類史上最悪の独裁者ヒトラーがなぜあそこまで権力を握れたのか?
そしてなぜ人々はヒトラーに心酔し熱狂したのか?
それはヒトラーの天才的かつ徹底的なデザイン戦略によって醸し出された「神秘性」と「官能性」にある。
では、どのようなデザイン戦略を取っていたのか?を
ナチス関連映画を取り上げながら解説していくのがこの本。
著者の松田さんがグラフィックデザイナーということもあり本自体のデザイン(装丁)がかなり拘っていて面白かった。
内容も当然面白く、仕掛ける側の動きや視点を学ぶことの重要性を感じた。
デザインという言葉は、
動詞では通常「設計する」や「計画する」の他に「企てる」という嫌な感じの意味もある。
さらに名詞になると「悪巧み」「陰謀」「野心」「下心」といった露骨な意味を持つ。
そう、デザインは使い方次第で悪い方向に向かわせてしまうんだ。
その悪巧みや野心をデザインに落とし込んで大成功したのがヒトラー。
だから、ヒトラーは独裁者としてじゃなくクリエイティブ・ディレクターとして見られることもあるし評価もされている。
例えば、ハーケンクロイツ。
これはナチス・ドイツを表す有名な鉤十字のマークのことだけど、このハーケンクロイツがヒトラーの最大の発明と言われている。
白い円の中のハーケンクロイツを45度に傾けるレイアウトをしたことで回転感が強化され疑似酩酊感が増幅される。
めまいを起こさせ酔ったような気分になると頭が空っぽになり命令を受けやすくなってしまう。
そんな効果があるハーケンクロイツをヒトラーはナチスドイツ全体に拡散させ、至るところにどこを見てもハーケンクロイツがあるようにした。
しつこいくらいに繰り返し訴えることは広告の常套手段でもあり、より一層ヒトラーの力が増していった。
この本を読んでなるほどなとは思ったけど、
ヒトラーがやった大衆を引きつけるデザイン戦略や演説での立ち居振る舞いって、紐解けばシンプルでしかも小手先のテクニックに過ぎないんだよね。
ただ、そんな単純な戦略でも大衆は心を動かされてしまう。
これってつまり、大衆は単純でバカだってこと。
単純でバカだから簡単に心を奪われてしまうんだ。
少し前に「群衆心理」を紹介した時も、
政治家や組織のトップにいる人間が使っている人を引きつけるテクニックみたいなものを書いたけどこれも本当にシンプルだった。
知れば馬鹿にされてるのか?って思うくらいシンプルなんだけど恐らく大衆は馬鹿にされている。笑
俺がなんで仕掛ける側の戦略や視点を学ぶ重要性を感じたかというと、
その戦略を真似てマーケティングやビジネスに活用するためではない。
(もちろん活用はできる。)
俺みたいな凡人はいつの間にか心を動かされてしまうように仕掛けられている可能性が高いんだから、仕掛ける戦略や視点を学ぶ必要があるんだ。
つまり、仕掛ける側の戦略を知ることで今自分はどういった仕掛けをされているのか?をハッキリ言語化して捉えることができるようになるんだ。
そして、それが出来れば自分の目標やメンタルがブレずに生きていける。
それに、あまりにもシンプルな仕掛けられ方を知ることで自分のバカさに気が付き勉強をするようになるはず。
大衆はバカなんだよ。
俺みたいな凡人はバカなんだよ。
インテリぶってポジショントークしたところでバカはバカなんだよ。
だったら、まずバカと自覚してバカなりに色々と知ればいいだけ。
勉強すればいいだけ。
何かのスポーツで上手くなりたいと思ったら練習するでしょ。
下手くそは練習するしかないでしょ。
それと同じで、色々と知りたかったら勉強すればいいんだよ。