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責任感の育て方

仕事をしていると、さまざまなトラブルが発生する。

人は誰しも間違えるし、ミスをする。

人事異動や担当変更による認識不足、
ヒューマンエラーに機械の老朽化など
原因はさまざまあると思うが
トラブルが起こった時こそ
その人の責任感の真価が問われる
と言っても過言ではない、とぼくは思っている。

呆然と立ち尽くし思考停止に陥る人、
どうにか自分の責任を逃れようとして
上司への報告が遅れる人、
パニックに陥って情報を整理できない人…。

これを読んでいる方もも
上記のようなやりがちなNG行動を
一度はしたことがあるのではないだろうか。

冷静なときにはこんなことする訳がないと
誰もが感じると思うが、
実際に自分がその状況になると
やってしまうもの。

これは、急なストレスを回避するための
自己防衛本能が働いているからなのだろう。

特に新入社員など経験の浅い若手社員は
ある程度しょうがないことなのだから
上司や先輩は粘り強く
フォロー、指導をしてあげることが大切。

間違っても周りの目がある中で叱責したり
いきなり顛末書を書かせたりしないこと。


そして、トラブルが発生時の対応として
よく目にするのが、
次に同じことを起こさないためのマニュアル化。

前任者の突然の退職や急な異動があっても、
担当が夏休みでも、
マニュアル化することで
ノウハウを貯めておける。

トラブルの原因を見つけて
これまでのフローを整理して
Wチェック体制を作って
社員教育も徹底する。


こんな感じのマニュアルはどの会社にも
存在するのではないだろうか。
しかし、残念ながらトラブルはなくならない。

マニュアル化が無駄だとか
役に立たないとか言っている訳ではないが
マニュアル化という対策をすることで
対策終了にはならないということは
しっかりと認識すべきだ。

同じミス、トラブルを起こさないための対策が
マニュアル化なのではなく
ミスやトラブルの原因を深堀りして
対策を記したものがマニュアルなはず。

マニュアル化が対策となっている時点で
絵に描いた餅の場合も多く
同時に、担当者もマニュアル化することで
責任感が薄れていく
ような気がしてならない。

どうやらミスは伸びしろらしい

こんな偉そうに述べているぼくだが
自慢じゃないが人一倍ミスが多いほうだと
自負している。

大体、新しい業務は何かしらのミスをする。
そして、同じミスをあらゆる角度でする。

側から見れば何度も同じミスを
しているように見えるだろうが
ぼくとしては結果は同じでも
それぞれ原因が微妙に異なっている。

全く同じ要因のミスをしていれば
大いに反省するし
落ち込みもするだろうが
一応自分としては同じミスはしておらず
一度したミスの対策はできていた上での
別のミスが発生しているだけなので
自分自身あまり落ち込まず
次への切り替えがすぐにできる。

これは周りから見て
鬼のメンタリティに見えるのかもしれない。

実際、前職の新入社員時代から
大きなミスからちっちゃなミスまで
ずいぶんと経験したおかげで
ちょっとやそっとのトラブルには
動じない精神力を身につけた。

間違いなく、これまでのあらゆる
トラブルの経験によって
ぼくは成長できたと実感している。

無名大出身、ブラック企業の
イチ社員だったぼくが
一流大学出身の後輩たちに
偉そうにアドバイスをする
なんちゃってマネージャー職が
成り立っているのは
あきらかにこの失敗たちのおかげだろう。

ぼくがOJTを担当した真逆なふたり

一昨年、昨年と連続で我が部署に
新入社員が配属となったことで
2年連続でOJT担当をすることとなった。

1人目は某有名大出身のエリート新入社員。

何の作業を任せても、正確でスピードも早い。
作業の目的を素早く理解し
一番効率的で正確なやり方を
考えてから行動に移すので
ミスをすることは滅多にない。

非常に真面目で
こちらのアドバイスも素直に聞く
とってもいい子…!

もう入社時点でかなりスキルが高く
勉強熱心なので、何をやらせても
1年目とは思えない成果が返ってくる。

2年目以降はぼくのOJTからは外れたが
3年目となる今もさらに仕事の幅を広げている。

そんな彼だが
ここまで大きなトラブルを経験していない
という点だけは少し気がかりである。

仕事の範囲が広がり
徐々に自分のコントロールが効かないことも
しばしば出てきているようだ。

自分自身に責任のないトラブルであっても
担当として未然に防げなかったことを
反省しなければならないこともあるし
仕事における自分の影響力が
大きくなればなるほど
急な決断を迫られることもあるだろう。

上司よりも先輩よりも誰よりも
自分自身が一番詳しいことが増えてくるので
自分自身で正確に責任を持って判断ができるか。

トラブルの経験がない人間にとって
そのときに平常心で冷静に判断を下すのは
どんなに優秀な人でも難しい。

一方、別の年のOJT担当新入社員は
ぼくと同じでとにかく手当り次第
ミスや間違いをする、典型的な新入社員。

決して、仕事に対して不真面目なわけでもなく
むしろどんな小さな内容でも
相談して確認して進める慎重派。

これはあらゆることが炎上に繋がる
SNS時代を生きる彼らの鍛え上げられた
自己防衛本能なのかもしれない。

それでも、自分自身のミスではなくとも
取引先のミスを見過ごしてしまったり
自分自身の作業ミスに気が付かず
トラブルにつながったり。

もちろんどんなミスやトラブルであっても
ぼくが任せた仕事であり
最終的な責任はぼくにある。

ミスやトラブルに落ち込んでいたり
自分のせいでないと開き直ってみたり。

新入社員のうちになるべく多くの
トラブルを経験するというのは
誰よりも貴重な経験をしていると感じる。

トラブルが発生したからこそ
取引先のミスであっても
結果的に迷惑を被るのが
自分自身であることを
肌で感じることができる。

ミスをしたからこそ
自分の作業ミスが取引先に対して
大きな迷惑をかけることに
つながってしまうことに
申し訳ない気持ちと共に
ちょっとした作業に対する
責任を感じることができる。

自分自身が迷惑を被ったり
取引先に迷惑をかけたりすることで
自分自身の仕事に対する
責任を強く感じるだろう。

経験することで
誰のせいでトラブルが起こったのかは関係なく
自分の範囲の仕事が滞りなく進められなかった
ことに対して責任を持つ
ようになっていく。

誰よりも明るく、ポジティブな彼女は
持ち前の愛嬌も相まって
ミスやトラブルが起こっても
なんとなく“しょうがないなぁ”で
許されるキャラクターというのも
トラブルから得た副産物かもしれない。

若いうちには大いにミスやトラブルを経験して
上司や先輩にフォローを
これでもかというほどしてもらう方が
彼らの成長にもなるだけでなく
会社としても大きな利益の礎に
なり得るのではないだろか。

ミスやトラブルは早めに経験しておこう

実際、仕事をしていく上では
社会人経験が浅い若手社員のうちは
ミスやトラブルが多いものだし
それが許されるのは若手の特権だ。

若手社員に限った話してはないが
か当然ながらミスやトラブルを
自ら進んで作り出す人間はいない。

ミスやトラブルにならないように
1から10まで先輩に教わる。

何度も確認してちょっとでも迷ったらまず相談。

ここ数年の新入社員は
ホントにここら辺が徹底されていて
とにかく石橋をたたきまくる。

細心の注意を払って仕事を進めることは
決して悪いことではないが
2年目、3年目と経験を重ねるにつれて
他の業務が忙しくなってきた
ぐらいのタイミングで
大きなトラブルが発生すること多い。

これまではそれだけ時間的な余裕もあったし
先輩、上司に守られていたことを実感する瞬間。

ここを逃げ出さずにしっかりと受け止め切れるかは
今後を左右する大きなポイントなのかもしれない。

マニュアル化の一番の敵は形骸化

トラブル後のマニュアル化時点では
誰もが意識を改めて
マニュアルの遵守を誓うだろう。

でも、時の経過とともに
形骸化してしまうということが
マニュアル化が失敗に終わる
一番の原因である。

マニュアル化をした時点では
トラブルが起こった直後でもあるので
当然のように意識高く
マニュアルを遵守する。

が、時の経過と共に
一人で済むような仕事を
わざわざWチェックしたり
規定よりも厳しめに
システムの許容範囲を狭めたり
人員を増やして対応したり
といった作業は特に形骸化して
同様のトラブルが発生することとなる。

形骸化してしまう作業というのは
トラブルが発生しなければ
不要だった作業であることが多い。

つまり、その業務を遂行するには
過剰な作業やチェックが
行われいるから結果的に形骸化されて
誰も守らないマニュアルだけが残るということ。

ということは、マニュアル作成時点で
無理のある対策をマニュアル
に落とし込んでいたということになる。

マニュアル通りに作業に取り組めば
必ず同じミスは起こらないが
持続的にマニュアルを遵守して
取り組めるかどうかが実は重要だったりする。

取引先によるトラブルが発生した際に
顛末書や報告書、対策案のようなものを
提示されることは多い。

大概、それらに書かれているのは
”マニュアルの徹底”とか”フローの確立”、
”管理職によるWチェック体制の構築”など。

この対策は、その取引先にとって
これまでやっていなかった作業が
単純に増えるということ。

トラブル発生の原因が
”忙しさに忙殺されて、ルールが守られていなかった”
のに対して、業務負荷が増える対策を講じては
間違いなくそのルールやマニュアルは徹底されない。

対策を講じるのであれば
”忙しくても守られるルール”を作ること。

すなわち、
”どうせ業務としてやらなければならない作業”の中に、
仕組みとして盛り込んでいくことができれば
持続的に継続できる対策といえるだろう。

システム化や自動化、
どうしても付加業務として
やらざるを得ないのであれば
代わりにやめる作業を決める…などが
同時に語られない対策は
結局その場しのぎの対策でしかなく
無責任極まりないマニュアルになる。

人間誰しもラクをしたいし
無駄なことはしたくない。

ラクして防止できるのであれば
それが一番望ましいということを認識すべきだ。

このような人間を本質を無視して
形だけのマニュアル化に頼った対策が
実は何よりも責任感のない行動なように感じる。

どんな仕事も責任感をどれだけ感じて
それをポジティブに捉えられるかが
重要であり、それが仕事の善し悪しに
現れるものなのではないだろうか。

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