お客さまが満足するのは、商品ではなく『付加価値』。

付加価値を高めれば、商品は売れます。

非常に単純な「商売の極意」なのですが、
これがなかなかできません。

わかっていてもやらないお店、
まったく気づかないお店が潰れていくのです。

今回は、
付加価値を高めるとはどういうことかを考えてみます。

商品そのものの機能・性能を高めることも
付加価値ですが、それはメーカーの仕事です。

飲食店でも、
味やメニューで付加価値を生むことはできます。

しかし、物販のお店ではそれはできません。

ならば、
何によって付加価値を高めれば良いのでしょうか。

ずばり、“サービス”です。

変わった雰囲気のお店だ、お洒落だ、
面白いモノを置いている。

これらも付加価値なのですが、
飽きられたら、それで終わりです。

将来もずっと続いていく付加価値とは、
サービスのことなのです。

ここで言うサービスとは、
「安くする」「おまけをつける」
ということではありません。

『おもてなしの心』です。

“こうしてくれたらいいな”
というお客さまの望みにお応えすることです。

それを実践して、お客さまの満足度を高めることで、
また来たいと思っていただけるようになります。

これが、お客さまの固定化、顧客づくりに繋がるのです。

『おもてなしの心』とは、どんなものでしょうか。

たとえば、
レストランに小さな子どもを連れて行ったとします。

よく気がつくお店・従業員なら、こちらが頼まなくても、
子ども用のイスを運んでくれたり、
子ども用の食器やスプーンを持って来てくれます。

良くないお店は、わかっていても手間を惜しんで、
依頼されるまで何もしません。

ここに『おもてなしの心』はありません。

この小さな心配りが付加価値になるということに気づかず、
固定客になっていただけるチャンスを失うのです。

また、天気の悪い日の対応でも、
お店の差がハッキリとわかります。

入口付近が雨で濡れているなら、
すべらないようにマットを敷く。

濡れた身体を拭くためにタオルをお貸しする。

お買い上げ商品を防水性の袋に入れる。

お客さまの荷物が多くて、傘が差しづらそうな時には、
外に出て代りに差してさしあげる。

こうした心配りをすることで、
お客さまは雨の日でも来店してくださいます。

ケーキ屋さんで、帰るまでの時間を聞かれますが、
これは保冷剤を入れるためです。

これを肉屋さんや魚屋さんでやれば、
多少遠くのお客さまでも
買いに来ていただけるのではないでしょうか。

観光地の市場などでは氷を入れてくれますが、
日常買いのお客さまを相手にしているお店では、
こういうことに気づかないのです。

こんな心配りもあります。

●花屋さんが、
 花を長持ちさせる方法を教えてくれたら……。

●肉屋さんが、
 安いお肉を高級品に変える方法を教えてくれたら……。

●中古車買取店が、
 車を高く売る方法を教えてくれたら……。

ちょっと考えると、
お店にとっては不利になるのではないかと
思われるサービスですが、
お客さまは確実に、このお店のファンになります。

他のお店を見なくなるのです。

この心配りが、固定客を創り出すのです。

『おもてなしの心』で接すれば、
お客さまはお店を信頼し、
「このお店は私を大切にしてくれている」
という共感が生まれます。

これが付加価値です。

どこに行っても同じような商品ばかりの時代に
“勝ち残る”手立ては、付加価値なのです。

「生き残る」ではなく、「勝ち残る」です。

この付加価値サービスが、
「小さな心配り」から始まることをつねに頭に入れ、
お客さまを知る努力、プロとしての勉強、
他店とは違う自店らしさの創出を
心がけるようにしましょう。

これが、「商売の極意」なのです。

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佐藤きよあき
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