COP27開幕:新たに「森林と気候リーダーズ・パートナーシップ」立ち上げ!

11月6日より、エジプトのシャルム・エル・シェイクにて、COP27が開幕しました。森林や自然生態系は国際交渉上、独立した議題としては扱われていないものの、資金やカーボン・クレジットの取り決めを行う、いわゆるパリ協定6条の議題とは密接な関わりがあり、私たちも注目しています。そのような中、11月7日に、世界26ヵ国のリーダーによって、「森林と気候リーダーズ・パートナーシップ(Forests and Climate Leaders’ Partnership: FCLP)」の立ち上げが発表されました。これは、国際交渉とは独立した議長国主導のイベントの一環として発表され、オンラインで誰でも録画を視聴できます。

FCLPとは?

昨年のCOP26では、過去のCOPに例を見ないほど、森林の重要性が脚光を浴び、「森林と土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」や日本を含むドナー国による「国際森林資金に関する誓約」が打ち出されました(詳細は以下noteもご覧ください)。

今回のFCLPは、まさにこのCOP26で政府、ドナー、金融機関が約束したことを確実に進めていくために立ち上げられたパートナーシップです。具体的には、年次会合を開き、メンバーは、進捗を報告し、世界の森林保全に対する高い野心を先導するとともに説明責任を果たすとしています。

グラスゴー・リーダーズ宣言などには法的拘束力はありません。したがって、FCLPは宣言を単なる宣言だけで終わらせず、着実に実行するための取り組みと言えます。

森林資金の着実な進捗

COP27の進捗報告の目玉は、上述の国際森林資金に関する誓約です。同誓約では、主要ドナー国は2021-2025年に120億ドル拠出するとしています。これに対して、今回、①すでに26億ドルが拠出され、②さらにCOP27で45億ドルの追加拠出が約束されたと進捗報告されました。同誓約の達成には、単純計算では年間24憶ドルの拠出が必要になるため、好ましいペースを十分に保っていると言え、非常に喜ばしい結果だと思います。このような誓約を着実に実行する姿勢は、間違いなく森林国政府の先を見据えた行動の促進につながりますし、民間企業にとっても国際的な動向に沿った行動に踏み切る判断材料のひとつになるでしょう。

今後の注目点

一方で、グラスゴー・リーダーズ宣言には145ヵ国が参加しているのに、なぜFCLPには現時点で26ヵ国だけしか参加していないのかは非常に気になるところです。現時点では署名国リストも公開されていません。宣言を単なる宣言だけで終わらせないために、COP27を契機にさらにメンバー国が増えるのかどうか、注目したいと思います。

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「もっと知りたい世界の森林最前線」では、地球環境戦略研究機関(IGES)研究員が、森林に関わる日本の皆さんに知っていただきたい世界のニュースや論文などを紹介します。(このマガジンの詳細はこちら)。
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文責:梅宮 知佐 IGES気候変動とエネルギー/生物多様性と森林領域 リサーチマネージャー(プロフィール

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