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欲しい人は買えない商品・・保険

商品は通常、欲しい人が買う。
欲しい人のところで売るとよく売れる。
暑い球場ではよく冷えた飲料が、
海の家ではカレーライスにおでんが。

保険はちょっと趣が違った商品。

保険が欲しい人は買えない。
例えば病気になってこれから手術するかもしれないから不安に思う人。
病気の治療を受けているからお金に不安で治療費のために入りたい人。
この人達は保険に入れない。
病気に対して不安に思っている人が集まる病院に医療保険のパンフレットはない。

それは商品のしくみが異なるから。
球場での冷たい飲み物は、欲しい人が欲しいものにお金を払う。
保険は、困ってない人も含めてたくさんの人がお金を出し合って、困ったことが起こったときに援助する「相互扶助」と呼ぶしくみ。
自分のために自分がお金を支払うものではない。

普段からもしものために用意していたものを、「もしも」の時に支払って助け合う、これが保険の仕組み。
医療については、日本では全員加入の公的「健康保険」と、入りたい人だけが入る民間の「医療保険」がある。

公的な「健康保険」は収入などによって保険料決められているが、本人の年齢や病歴によっては保険料は変わらない。
民間の「医療保険」は年齢・性別・病歴・体況などによって保険料が変わってくる。全員加入ではないので、加入している人の間での不公平をなくすため。

「そろそろ年をとってきたから病気が心配で」
「健康診断で異常を指摘されたから心配で」
「これから手術をするからその前に」
欲しい」と思った時には保険料が想定よりも高くなっていたり、
欲しい保障が手に入らなかったり(部位不担保で保障から外される)、
そもそも「入れません」と拒絶されることもある。

まだ何も起こっていない欲しくない時に買う商品で、
欲しくない(切実には)人に勧める商品が保険。
保険は「不安ビジネス」などと悪く言われたりもする。

私は、保険の加入者で「保険料を払う人」であり
保険の代理店で「保険を売る人」「保険の支払いに携わる人」にもなり、
入院や手術もして「保険をもらう人」にもなった。

色々な立場を経験して感じる。
保険は「不安ビジネス」ではなく「予測ビジネス」だと。

「もしもの時に」とよく保険に関して言われる。
いえいえ、ほとんどの事はもしもではなく「いつか」です。
ほとんどに人は寿命を全うする前にいつか入院するし、
いつか死ぬ。

いつかを不安に思うなら、
貯金のように金銭で備える(自助)のもいいし、
保険のように相互扶助(共助)で備えるのもいい。
誰かに「任せた!」と人的保障に頼る方法もある。
(究極の丸投げなので相手が任されてくれるかどうかは要確認)

予測していない「いつか」に巻き込まれるととても大変になる。

「保険」は完璧なシステムではないけれども、お互いに助け合おうという「いつか」に備えたシステム。
保険屋としては、まっとうに評価されてないことを感じることも多いのです。

※ 産業革命が始まって地球温暖化が進んでいっていることはわかっていても、この猛暑・災害多発のように「いつか」にならないと気がつかない。
その「いつか」に巻き込まれて、私達や私達の子ども世代は大変になる。
「いつか」を予測することは保険に限らず大事だと思います。
現在、地球温暖化保険は販売されていません。


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