小説②~Center of the X~
2161年8月2日AM8:41 場所 1年B組 教室の後ろのほう
(、、、あれ、俺の名前呼ばれた?っつか、騒がしくね?)
そう思って顔を上げた終は驚きを隠せなかった。雪との会話の後、すぐに顔を突っ伏したが、そうしている時間は5分も経っていないはず。しかし、自分の三つ前の席が確認できなかった。そもそも、自分列の人だけがいなくなったのでは無く、教室の半分が黒い壁に覆われていた。正しく言えば、終が見たことの無い素材の壁であった。窓の外をみても、その壁は続き、終わりが見られなかった。一番怖いのは、建物を貫いて存在した様子は無く、まるでその金属を作る空間を作ってからパスルのピーズのようにはまっているかのように、その場所にずっと存在していたかのように、この世界を遮っていることだ。
「、、、終、携帯持ってる?」
終に話しかけた黒髪ロングの、あたかもクールビューティ的存在をまとっている少女は立終 花恋[りしゅう かれん](15)吹奏楽部の部長で、クラリネットを吹いている。
「あぁ、なんで?」
「今朝、勇太に渡したまま、返してもらうの忘れた。今何時?」
時計が教室の前の方にあったことを思い出す終
「あぁ、8:50、、、!綺終から【コネクト】きたわ。」
「!電波つながるの!?」
コネクトとは海外のアプリであり、今、日本ではこのアプリを使って連絡を取り合うことがほとんどである
ピコーン
《終、無事!?》
ピコーん
《こっち真っ暗なんだけど!》
その文に終が返信をする。
ピコピコピコ
《黒い壁が現れた》
ピコーン
《黒い壁がある》
ピコーン
《私たち離ればなれになっちゃったの?》
ピコピコピコ
《綺終、無事なのか?》
ピコーン
《終、生きてる?》
終はこのやりとりの異変に気づき、電話をかけてみる。
プルルル、ガチャ。
「綺終!おまえそっちは」
「「いやああああ!真っ暗だよどうすれば良い!」」
「「みなさん、落ち着いてください!きっと消防、警察が助けに来てくれるはずで!待ちましょう!」」
「「家に帰してえええええ」」
「「ねえ、終から返信が来ない。勇太、終無事だよね!!生きてるよね!?勇太ああああ」」
「綺終!おい!」
プツン 通話が途切れた。
「たぶん、こっちからの情報はシャットダウンされてる。そうさせてるのがあれでしょ。」
終の横で聞いていた花恋が、目の前の黒い壁を指さして終に言った。
「たぶん何者かが、勇太達を隔離した。に一票」
「……」
「今この学校内の大人は何人いるかな。あぁ、壁の外の部分ね。各学年のA組の先生と、、、ってか、階段、壁の向こうにしか無いじゃん。壁の外の上の階にいる人どうやって降りるんだろうね。ってか」
「おい、立終、なんであっち側真っ暗なんだ?壁なら上はあいているはずだよな。この黒い壁の形状って、、」
「球体、円柱、円錐。まあ、何か形を形成してるのは確かなんじゃ無い?多分、、そして電波は受信しかできない。観察?実験?制作?ギャンブル?そもそも、こんな高度な分裂できる生物って人間なの?」
終と花恋はその壁を眺めながら議論を交わした。二人ともそれぞれ1人の人を思いながら