小説③~Center of the X~
2161年 8月2日 AM8:41 1年B組 教室の前
「出席をとるぞ~、、、、」
雪は、先生の声に無視しながら窓の外を見る。いつもより日差しがまぶしい気がした。
「綺終 雪」
先生の方を向いてから返事をしようとしたその時、一瞬無音の時間が流れ、あのやけそうな光が一瞬で消えた。何が起きているか分からなかった。付いていた電気も何故か使えなくなり、暗闇よりも暗い、暗黒の中で雪は立ち上がり、後ろにできた黒い壁に触る。
(冷たい…)
叩いてている
(鉄のみたい、でも反響はしない。何これ)
「雪。」
雪は声のする方へ振り返る。
「勇太!」
今、雪に声をかけたのは、留終 勇太[とどおわ ゆうた][雪の幼なじみであり、めがねをかけた普通の中学生だ。
「私たち、どうなってるのかな、、、、何が起きたの?」
「わからねえ、ってか花恋もいねえわ。今朝携帯借りたま、会えなくなったわ。」
「携帯、、、終!つながるかも!【コネクト】使ってみる!」
ピコピコピコ
《終、無事!?》
ピコピコピコ
《こっち、真っ暗なんだけど!》
ピコピコピコ
《黒い壁がある》
ピコピコピコ
《私たち、離ればなれになっちゃったの?》
ピコピコピコ
《終、生きてる?》
「ねえ、終から返信が来ない。勇太、終無事だよね!!生きてるよね!?勇太ああああ」
「落ち着け!」
勇太が大きな声を発し、一息ついてから言った。
「まずはこの壁を壊すぞ」
その一言は、何も考えられなかった私に事実身を与える決定的な一言となった。
私たちは何者かに、隔離された。