覚川 秀

サメカワ シュウです。なんでも食べるしなんでも書きます。

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最近の記事

お昼はカレーだった

 池袋のサンシャインにある、ネコのキャラクターの小さなレジャー施設。  大きなオタクになってコラボだなんだと足繁く通う今、思い出すことがある。  僕がそこを初めて訪れたのは、高校一年生の頃。僕のことを好きだと言う男友達と、それを彼から聞いた女友達がバイト先で貰ったからと譲ってくれたペアチケットで、夏休みに約束をして行った。  当時、僕には付き合っている相手がいた。それは彼になんとなく話していたし、向こうも「羨ましいなぁ」と言って、好きだった同級生の女の子の話なんかをしていた

    • 生きるのやめるのをやめた日

      僕には大好きな友人がいる。 僕は友人が多い方だと自負しているが、その友人のことは特別好きだ。何故かは分からない。別に分からなくていい。 そいつは身長が180cm以上ある男で、少し眠そうな目をしていて、じゃれてくる力が強い。 大学で出会った頃は白くて丸めで、僕はそんな彼をシロクマと呼んでいた。 卒業後地元で公務員となった彼は、黒く日焼けして痩せてマッチョになっていた。僕はそれを「俺の白熊が……」と嘆き悲しみ、仕方が無いのでヒグマと呼んだ。 最近は中間を攻めているので、単純にク

      • 暑中お見舞い申し上げます

         毎年この時分になると、買い溜めてある夏の葉書ストックを引っ張り出す。心惹かれて選んだそれ等は、どれも綺麗で爽やかな色をしている。  僕の父は何かと気持ちを文字にする人で、誕生日やイベントなんかの度にカードや葉書をくれる。僕が大きな手術をすることになった時などは、便箋何枚分だったか、分厚くなった封筒を渡されて笑ってしまった。  どうやらその血をしっかり継いでいるらしく、僕も小学生の頃からほぼ毎年誰かしらに暑中見舞いやら年賀状やらを出している。  それは三十代半ばに近くなった今

        • 寂しい目の色

           僕は結構長いこと裏千家茶道をやっている。 高校二年の選択授業で学校茶道に出会い、卒業してからも縁は完全に途切れることはなく、社会人になって見つけた先生のところにもう十年通っている。  否、通っていた。  先生は、僕が弟子入りした頃確か七十代前半だったと記憶している。ピシッとしていて厳しく言うこともあるけれど、ユーモアも優しさもある、本当に良い先生だった。  あまりお茶会を好まず、お茶事が好きで年に二回は必ずお稽古茶事をやるのだが、ご自宅であることも手伝ってか懐石から何から