【社会科】独占市場とは?「500円のドーナツ」を売る方法
どうも。いかたこです。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。
今回は独占市場についての授業のタネです。
「500円のドーナツ」というちょっとおかしな問いです。
ですが、生徒同士の話し合いも活発になり、予想していなかったアイデアも出てきたので、私自身とても楽しかったです。
よろしければ、最後までご覧ください。
それではどうぞ!
500円のドーナツ
ある地域に、赤・青・緑の3つのドーナツ屋さんがあります。どのお店も同じ品質のドーナツを1個150円でドーナツを売っています。あるとき、赤のドーナツ屋さんの店長がこんなことを言い出しました。
「ドーナツの品質も、サービスの内容も変えずに、1個500円でドーナツを売りたい!」
1個500円でドーナツを売るにはどうすればいいでしょうか?
授業の展開
※T(先生)とS(生徒)の対話形式です。
T:さて今日は、「500円のドーナツ」という話について考えてもらいます。
S:1個500円ですか?
T:もちろん、1個500円です。どんな話なのか説明していきますね。
(説明中…)
T:グループごとに考えてみましょう!
(グループワーク中…)
T:それでは、どんなアイデアが出てきたか聞いてみたいと思います。
・他のドーナツ屋さん(青・緑)を閉店させる
・他のドーナツ屋さんと協力してみんなで500円で売る
・ドーナツ1個500円と国に決めてもらう
など
T:なかなかおもしろいアイデアが出てきましたね。
S:おもしろいけど、みんな強気だね・・・
T:多くのグループが「他のドーナツ屋さんを閉店させる」というアイデアを出してくれました。このように1つの企業に生産が集中している状態を「独占」と言います。
S:確かに、赤のドーナツ屋さんからしか買えないなら、1個500円でも買っちゃうかもね。
T:では、皆さんならどうやって、他のドーナツ屋さんを閉店させますか?
S:えっ、そんなこと聞くなんて先生もワルですね(笑)。
S:うーん、例えば、悪いうわさを流すとか?評判の悪いお店ならお客さんも行かないだろうし。
S:やっぱり実力行使でしょ!マッチョな人たちを連れて、閉店するよう説得に行ったらいいんじゃない?
T:例えばこんなのはどうでしょう?1個150円のドーナツを10円にする。
S:どうして1個10円にすると他のお店が閉まるんですか?
T:1個150円で売っている他のドーナツ屋さんには、お客さんが集まらなくなるからです。
S:そっか、1度安くして他を閉店させた後に、500円に値上げすることもできるのか。
S:でも、独占になってしまうしやっぱりダメなんじゃないかな?
S:価格はそれぞれのお店が決められるわけだし、安くするのは企業努力ってことでいいんじゃない?買う側とってはそのほうがお得だし。
S:安い方が良いけど、それで他のお店が閉まっちゃうのはちょっと・・・
T:実は、正当な理由なく安すぎる価格で販売することは、法律で禁止されているんです。
S:高すぎるだけじゃなく、安すぎるのも禁止されるなんて・・・
T:他の意見も見てみましょう。「他のドーナツ屋さんと協力してみんなで500円で売る」というアイデアが出ていました。
S:確かに、どの店も500円にしたら消費者は500円でしか買えなくなるね。
S:でも、他の店と競争する中で、協力して価格を上げることなんてあるのかな?
T:実際、他の店とこっそり話し合いをして価格を上げるなんてこともあります。これを「価格カルテル」と言います。
S:そう考えると、お店同士の競争がなくなってしまう状況って結構あるんだね。
S:でも、法律で禁止されてるし、実際には新しい店が作られたりするから独占になることは少なそう。
T:ですが、独占状態にある市場もあります。それが電気・水道・都市ガスなどです。
S:えっ、生活に不可欠なものばっかり。なんで独占状態なんですか?
T:安定して供給するには大規模な設備が必要になるなど、他の企業の新規参入が難しいからです。
S:じゃあ、どんどん価格が上がっているんですか?
T:これらの価格は国や地方公共団体が決めています。「ドーナツ1個500円と国に決めてもらう」というアイデアが出ていましたね。価格が高くなりすぎないために、国や地方公共団体が決定したり、許可を出したりしているものがあります。これらを「公共料金」と言います。
S:どうしても独占になってしまうものには、国や地方公共団体が消費者のために働きかけているんですね。
まとめ
今回は、独占市場についての授業のタネを紹介しました。
「500円のドーナツ」の問いを通して、独占や価格カルテルについての理解を深めてもらうのが目標です。
なので、「他の店を閉店させる」や「他の店と協力する」などの考えは出てくるかなと思っていました。
ですが、「ドーナツ1個500円と国に決めてもらう」というアイデアが出てくるとは予想していませんでした。
生徒の発想力には驚かされてばかりです!(^o^)
今回の問いに似たものとして、「100円のボールペンを10,000円で売る方法は?」という授業のタネを投稿しています。
需要と供給について考えてもらえる内容になっていると思います。
よろしければ、こちらもご覧いただけるとうれしいです!
最後までご覧いただきありがとうございました。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。