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【社会科】自由と自由権を考える"自由って何だろう?"

どうも。いかたこです。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回は、自由権の授業(公民)で使える導入を紹介します。

日本国憲法に明記されている自由権ですが、生徒たちにとってもあまり馴染みがありません。

ただ、自由権の意味はなんとなくイメージ出来ると思います。

”自由に生きる権利”。

しかし、生徒たちがイメージする自由と、自由権の自由は少し異なります。

この違いを意識させることで、生徒たちに「自由権って何だろう?」と興味をもってもらえるような導入を考えました。

いつものようなゲーム性のあるものではないですが、よろしければ最後までご覧ください。


そもそも自由権とは何でしょうか?

じゆう-けん【自由権】
国家権力の不当な干渉・強制を排除して各人の自由を保障する権利。

広辞苑第六版

自由権は、国家権力の不当な干渉・強制を排除するという特徴から”国家からの自由”とも言われます。

どの宗教を信じてもいいとされていることも、不当に逮捕されないことも、自分の意思で職業を決められることも、この自由権が関係しています。

このように自由権は、私たちの身近なところにあります。


教科書を見ていると、”生活の中から自由を見つけよう”という活動が書かれていました。

好きな本を読める。好きな所に旅行に行ける。このような生活の中にある自由を探してみようという活動です。

身近にある自由権を改めて認識することができ、とても魅力的な活動なのですが、授業の導入としてこれを使うのは難しそうかなと思いました。

なぜなら、生徒たちにとって自由権は当たり前のこと過ぎて、それらを自由だと実感しづらいからです。

例えば、自由権の中には、職業選択の自由があります。
幼い頃から「○○さんは将来何になりたいの?」と聞かれる環境にいた生徒たちにとって、努力次第でどの職業にも就けることは自由なんだ!と気づくことは難しいと思います。

どちらかというと、多くの生徒は自分の生活に不自由を感じているようです。
ゲームで遊びたくても、勉強しなさいと言われる。欲しい物があっても、お小遣いを貯めるまで買えない。

しかし、広辞苑にも記載されているように、生徒たちが思う自由と自由権の自由は少し異なります。

自由権とは、国家権力の不当な干渉・強制を排除して各人の自由を保障する権利、つまり”国家からの自由”だからです。

この認識の違いを使って、授業の導入を行います。

以下は具体的な発問内容です。


Q1. 今の自分はどれくらい自由だろうか?自分の生活の自由度を1~5の5段階で表してみよう。

それぞれの生徒が、だいたいどれくらいかなと思い浮かべるだけで、共有する必要はないと思います。

この発問の目的は、自分にとっての自由、5段階で5がつく自由とはどのようなものか考えさせることです。

この自分にとっての自由を次の発問で共有します。


Q2. 自由な生活とはどのようなものだろうか?

ペアなど周りの生徒と、Q1で思い浮かべた自分にとっての自由を共有します。その後、話し合ったものを全体で共有します。

・自由な時間がたくさんあること
・お金に余裕があること
・勉強をしなさいと言われないこと

などそれぞれが思う自由を話してくれました。


Q3. 私たちは、生まれながらに自由権を持っているのに、なぜ自分たちの生活に不自由を感じるのだろう?

この発問で、生徒たちの持つ自由の認識にゆさぶりをかけます。

生まれながら自由なはずなのに、自由じゃない!って感じです。

思い出してもらうことは、自由権は憲法に規定されており、憲法は国家から国民の権利・自由を守るための法であるということです。

勉強しなさいと言われずに思いっきり遊べる、お金を気にせず欲しい物をいくらでも買うことができるといった自由とは少し違うということに気づかせます。

では、自由権の自由とは一体何か?

それは”国家からの自由”であるということを伝えます。

これによって、自由権の分類やその背景を理解しやすくなります。


まとめ

以上の流れで自由権の授業の導入を行いました。

この導入から、生活の中の自由権と関係していることを探すなど、いろいろな活動につなげることができると思います。

私は、「薬事法距離制限事件」(最大判昭50.4.30)を取り上げて、経済活動の自由について具体的に考えてもらいました。


授業の最初に、生徒たちの持つ自由の認識にゆさぶりをかけ、自由権に興味をもたせます。

同時に、自由権の自由とはどのようなものかを明確にすることで、生徒の理解を深めることができます。

授業をより楽しくするためのアイデアとして、取り入れていただければ幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。

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