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【社会科】経済の安定って大事!平和へ向けたヨーロッパの結びつき。

どうも。いかたこです。

中学校で社会科の教員をしています。

noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回のテーマは、EUヨーロッパ連合)です。

EUとは、ヨーロッパの国々のまとまり、結びつきです。

平和と共存・共栄を目的として、ヨーロッパの結びつきは強くなっていきました。

今回は、ヨーロッパの結びつきの歴史から、EUのあり方に目を向けていきましょう。


平和へ向けたヨーロッパの結びつきは、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)から始まります。

ECSCは、1952年に設立したもので、フランス・ドイツ(西ドイツ)を含む6カ国で構成されていました。

目的は、石炭・鉄鋼を共有(共同管理)することです。

※ 中学校の教科書には、ECSCは出てこないかもしれません。しかし、今回の授業のタネでは重要なので、生徒へも軽く説明します。

ここで、生徒への発問です!

なぜ石炭・鉄鋼を共有することが、ヨーロッパの平和につながるのでしょうか?

・工業を発展させるために、欠かせない資源だから

・不足している国にも行き渡ることで、経済が活発になるから

・奪い合いになったら、戦争につながるから

など

ECSCの目的として特に重要だったのが、フランスとドイツの対立を抑えることでした。

ヨーロッパでは、フランスとドイツによる石炭・鉄鋼をめぐる戦いが何度も起こっていました。

当時、石炭・鉄鋼は、経済活動を進める上で欠かせないものでした。そのため、資源が不足すると経済が安定しません。経済の不安定さが戦争の火種となってしまいます。

このような歴史を踏まえて、ECSCは「経済の安定を図ることによって、政治的な不安定要素を取り除く」ために創設されました。

「 」内は、外務省 わかる!国際情勢 EU(欧州連合)~多様性における統合(2010年2月3日)より引用


また、ヨーロッパは、2度の世界大戦の戦場となった地域です。そのため、戦後は、アメリカやソ連が世界経済への影響を強めていきます。

そこで、ヨーロッパでは大国に対抗するために、協力しようという考えが広まります。

このように、EUに至るまでのヨーロッパの結びつきは、各国の経済的な協力が大きな柱であることが分かります。

生徒には、EUの目的や背景をもとに、EU域内での経済格差などの課題について考えてもらいます。

ちなみに、現在のEUは、経済・政治的な結びつきへと発展しています。


教科書や参考書などで、EUについて勉強していると、EUのGDPはアメリカを超えるとか超えないとかの話がよく出てきます。

学生の頃は、「そりゃ、いくつもの国が集まっているんだから超えて当たり前でしょ。逆にEUと張り合えているアメリカすごいな!」なんて考えていました。

でも、経済的な安定豊かさが平和につながるという背景に目を向けてみると、EUが世界一の経済大国と肩を並べているというのは、とても大きな意味を持っているように思います。

だからこそ、EU域内での経済格差の課題などには、しっかりと目を向けていかなければなりませんね。

今回は、ここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。

これからも授業のタネを発信していきます。お楽しみに。


(参考資料)

外務省 
わかる!国際情勢 EU(欧州連合)~多様性における統合(2010年2月3日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/index.html(最終閲覧日2023年7月29日)

NHK for School
なぜEUとしてまとまる必要があるの?~世界の諸地域 ヨーロッパ州~
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/outline/?das_id=D0005120455_00000(最終閲覧日2023年7月29日)

Try IT(トライイット)
【高校世界史B】目指すは経済的な「第三の巨人」
https://www.try-it.jp/chapters-12240/lessons-12251/(最終閲覧日2023年7月29日)

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