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ICT教育はどこに行く?
今回はICT教育はどこに行く?ていうテーマで考えてみたいと思います。そもそもこのGIGA構想が始まった目的は、文部科学省が打ち出した個別最適な学びと協同的な学びを実現するためにタブレット等を導入することで実現していこうというものだったと思います。
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従来の授業は一斉学習のもと、教師がすべて教材を構え、教師の指導案に従って全員が同じ学習内容を同じ学習方法で学ぶというものでした。ここには個別最適な余地はありません。確かに学習支援員が入ったり、理解の遅い子どもには教師が寄り添い、個別にあたるということはありましたが、それは個別的ではあっても個別最適には程遠いものでした。
協働学習はどうでしょうか。確かに従来からもグループ学習や班学習などを通して協働学習は行われていました。しかし、その方法も教師が決めた方法で、教師が設定した時間で同じ学級の中での学びでしかありませんでした。そして学習した内容は模造紙という紙媒体でつくられる結果、それを再度修正したり保存するということは非常に困難でした。つまり非常に狭い範囲での学びでしかありませんでした。
さて、一人一台タブレットが配布され、GIGA構想のもと授業はどう変わったのでしょうか。
全国の多くの学校をもし参観したならどんな授業風景が拡がっているでしょうか。ちょっと覗いて見ましょう。
授業の挨拶の後、先生が黒板に今日の学習の目当てだけを書きました。今日は全員がこの課題をクリアして欲しいと思います。方法は皆さんに任せます。どうぞ。
その後、子供たちはそれぞれの学習に取り掛かります。あるこどもは早速リートンに問題の解き方を聞きました。ある子どもは友だちと一緒に解いています。ある子どもは教科書を見ながら解いています。またある子どもはインターネットで検索しています。あるグループが別のグループにチャットでヒントをもらっています。席たちも自由ですので子どもたちは情報を持っている子どもたちのところに移動して学習しています。ある子どもは先生にアドバイスをもらいに行きました。ある程度時間が経つと一旦先生が、電子黒板に今の子供たちの学習経過を送信させて確認します。それぞれの良い点、課題などを共有した後、最後の課題解決への学びへと入っていきます。
最終的に各子どもたちに課題に対する答えを送信してもらいます。その画面は子どもたちも見ることができるので、子どもたちはそれぞれも解答を見ながら自分の解答を検討します。最後に先生が課題の解答を説明する場合もあれば、内容によってはそのままで終わる場合もあります。
さてどうでしょうか、課題は共通というのはありますが、学びの方法はそれぞれの子どもに任せています。学びの最適化です。
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この授業を見た時に、多くの先生方が疑問に思うのが、こんな子どもまかせで学力はついていくのか、こんな方法より、自分がきっちり教えて方がずっといい。こんな授業を自分たちはあまり目指したくないなっていう先生方が多いのではないでしょうか。
前提として、学校には学習指導要領や教科書があり、何をどのように獲得させるべきかは明確に指示されています。つまり、勝手に課題を作成することはできないし、前提として教科書は使わなくてはいけないことになっているのですべて学習方法や内容は自由というわけには行きません。また、果たして子供たちに学習方法を任せて本当に学習が成立していくのか今のところ疑問です。子供たちの可能性からするともしかしたら自由に学ばせたほうが力がつくかもしれませんが、この方法を採用している先生方はまだまだ少ないだろうから、検証のしようがありません。まさに今模索の入り口に入ったところという感じでしょうか。ICT教育には様々な可能性がありそうですが、それをどんどん使ってというところまではなかなかいかないのが現状だと思います。ICT教育は一体どこにいくのでしょうか。次回ももう少し個別最適化について考えてみたいと思います。