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こんなニッポンに誰がした?お前だろーシンゾー 本当のことを言われるとマジギレするやつ。自民党財政健全化推進本部提言案は、本当のことを言っただけ。

 かつて、毎日新聞論説委員だった岸井成格氏がシンゾーの父「安倍晋太郎」氏に息子シンゾーの評価を問うたとき、「あれは頭は悪いが、言い訳は天才だ」と応えたそうだ。森かけ、桜の前夜祭の件も含め、さんざん虚偽答弁を繰り返してなお、「アベノミクスにケチをつけるとは何事か!」とかみつく。国土交通省の基幹統計データを改ざんして、GDPの改ざんまでやってのけ、「日銀は政府の子会社」とも言ってはばからないやつにいつまで黙っているんだ!?
 次の加谷氏の『貧乏国ニッポン   ますます転落する国でどう生きるか』からの引用「アベノミクスに実感が伴わないワケ p120」も合わせて読んでください。

 (朝日新聞 6月3日 1面)
 政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」への反映をめざしてまとめた提言案には、こんな指摘が盛り込まれた。
 「近年、多くの経済政策が実施されてきたが、結果として過去30年間のわが国の経済成長は主要先進国の中で最低レベル」。また、「初任給は30年前とあまり変わらず、国際的には人件費で見ても『安い日本』となりつつある」との分析も記された。
 これを、安倍氏は自らの政権の旗印だったアペノミクスヘの批判と受け止めた。そもそも、機動的な財政出動を重んじ、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標には大きくこだわらない安倍氏と、黒字化の明確な行程を打ち立てたい再建派の主張は相いれなかった。
 「安い日本という表現もおかしい。アベノミクスをなんだと思っているんだ」。そう漏らした安倍氏の言葉は、再建派に攻勢をかける「宣言」でもあった。(楢崎貴司、中田絢子)

「修正要求 財政債権派うめき声」(22年6月3日 朝日新聞 3面)

 翌5月20日の会合では、アペノミクスヘの言及を大幅に加筆するなどした修正案が示されたものの、批判は収まらず、扱いは額賀本部長に一任となった。安倍氏が直接「交渉」に乗り出し、額賀氏にこう伝えた。「こんな提言を出したら、恥をかきますよ」
 23日午後、議員会館の安倍氏の事務所に安倍、麻生、西田、額賀の4氏が顔をそろえた。この場で安倍氏側は「数十行」(再建派の一人)の修正案を額賀氏に示したという。再建派内からは「とにかくアペノミクス批判は許さないということか」とのうめき声が漏れた。
 文案の修正を重ねた額賀氏や越智隆雄氏らは26日、ようやく提言を発表した。PB黒字化の堅持は維持し、額賀氏は「基本的なことは変わっていない」と強調した。一方、アベノミクスに関わる部分は大幅に修正。「アペノミクスは道半ば」と追記し、「安い日本」などの記述は消えた。
 安倍氏は積極派、再建派双方の提言がまとまると、こんな予測を周囲に披露した。「骨太の方針は、両方の提言を足して2で割ったものになるだろう」。実際、31日の政府の経済財政諮問会議に示された骨太の方針原案は、「財政健全化の『旗』を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む」としつつ、例年記載してきた「2025年度」の年限は削られた。

「失われた30年 振り返る責任」

 安倍政権が発足した2012年末に比べ、株価はいま2・7倍。一方、名目賃金から物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数は、21年平均は12年平均を下回る。国債残高は705兆円(12年度末)から991兆4千億円(21年度末)に膨らんだ。
 再建派の一人は「政権与党として、アベノミクスのプロパガンダではなく、失われた30年を真摯に振り返る責任がある。日本経済の余命はあと何年か。早く持続可能な形にしないと世界から見放される」と語る。
 一方の安倍氏は、参院選を前に各地でアペノミクスの成果を誇る。5月末の富山市の講演では、「日本には1千兆円近く累積債務があるが、半分は日本銀行に国債を買ってもらっている。日銀が買った国債はずつと借り換えをしている」と語り、「経済V字回復を」と訴えた。
 アベノミクスをめぐる騒動から距離を置いていた党幹部は、自嘲気味に語る。「日本は結局、長い間経済成長ができていない。でも次に何をやるかが全然はっきりしない。いまの政権内の構造では、これが限界なのかもしれない」
    (楢崎貴司、中田絢子)


アベノミクスに実感が伴わないワケ p120

 モノの値段を決めるもうひとつの要因は、市場にどれだけのお金が流通しているかです。現実にはあり得ないことですが、日銀がお金を大量に刷って、すべての預金者に対して、現在の預金額と同額のお金をプレゼントしたと仮定します。
 お金をもらった人は、自身の銀行預金が倍になりますから、大喜びかもしれません。しかし、経済の状況に変化がないにもかかわらず、単純にお金が倍になったというだけでは、本当の意昧でお金持ちになったと見なすことはできません。同じ量のモノに対してお金の価値は半分になったわけですから、その分だけ物価が上がり、最終的には物価は2倍になっておしまいになる可能性が高いでしょう。
 このケースは預金が2倍になるという、極端に単純化した話であり、消費者は経済水準に対して過剰な紙幣が流通しているのか直接的に知る手段はありません。しかし、市場に過剰な紙幣を流通させれば、それがどのタイミングなのかはともかくとして、貨幣が過剰であることを消費者は認識し、自然と物価が上昇する可能性は高いのです。
 その理由は、先ほど説明した需給のメカニズムで説明できます。
 市場に過剰な貨幣が存在する場合、銀行はより多くの資金を融資しないと資金を遊ばせてしまいますから、積極的に融資を行うようになるはずです。本来、資金が必要のない企業や個人にも「お金を借りてください」といった形でお金を貸すことになるでしょう。
 そうなると企業や個人の手元には、必要以上のお金が貯圭る結果となり、あまり堅実ではない一部の企業や個人はそのお金を積極的に使ってしまうと考えられます。そうなると、モノが売れるようになり、先はどの需要と供給の関係から最終的には物価が上昇していくことになるのです。
 この理屈は市場にどれだけの量の貨幣が流通しているかによって最終的な物価が決まるというメカニズムであり、経済学的には「貨幣数量説」と呼ばれています。
 物価というものが、市場に流通する貨幣の総量で決まるのか、それとも、個別商品の需給関係によって全体の物価が決まるのかというのは、経済学の世界でも対立論争となってきました。
 アベノミクスが実施した量的緩和策というのは、実は貨幣数量説がベースになっており、日銀が国債を積極的に買い入れることで、大量のマネーを市場に流通させるという仕組みです。市場に人量の貨幣が流通していると多くの人が認識し圭すから、個人や企業はインフレが進むのではないかと予想するようになります(期待インフレ)。インフレ期待が高まると実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた金利)が低下するので、銀行の融資姿勢が積極的になり、設備投資が増えて景気が拡大するというメカニズムです。
 現実には、和装の径営片が実質金刊を認識しているとは思えませんが、簡単にいってしまえばインフレになると皆が思えば、株や不動産を買ったり、消費を増やすようになるので、景気がよくなるという話です。
 残念なことにアペノミクスの中心的な政策であった量的緩和策ぱ思ったほど効果を上げなかったことから、経済学の世界では、貨幣数量説をめぐって、今でも侃々諤々(けんけんがくがく)の議論が続いている状態です。
 しかしながら、貨幣数量説をめぐる議論はあくまで学術的なものであり、消費者や企業にとってはあまり重要な問題ではありません。現実の経済は、物価というのは需給で決まることもあれば、貨幣の総量で決まることもあります。どちらか一方だけということはあり得ませんから、もっと柔軟に考える必要があります。
 さらに大雑把な話をすれば、短期的にはモノの値段というのは需給で決まり、長期的には中央銀行が供給する貨幣の量で決まるというのが現代経済学における。一般的な解釈です。つまり、長期的には貨幣数量説は成立するものの、短期的には何ともいえないというのが現実なのです。
 数年という短い期間では必ずしも貨幣の大量供給が価格を上昇させるとは限りませんから、量的緩和策があまり効果を発揮しなかったのも、ある意味では致し方ありません。
 量的緩和策が成果を上げられなかった最大の理由は、日銀が供給した大量のマネーが市場に出回らず、各銀行が日銀に開設している日銀当座預金の中に滞留するだけという状況が続いてきたからです。
 金融業界では、お金が活用されていないという意味で、この状況を「ブタ積み」などと呼んでい圭すが、日本の景気が悪いのでお金を借りる人が少なく、銀行ぱお金をもてあま
しているのです。
 先ほど、短期的に物価というのは需給で決まり、長期的には貨幣の量で決まるという話をしましたが、現時点では市場に出回っていないとぱいえ、銀行の中に、過剰なマネーが眠っているのは事実です。何らかのきっかけでこのマネーが市場に出てきた場合には、日本でもインフレが進む可能性は十分にあると考えるべきでしょう。
 しかしながら、今のところそうした現象は発生しておらず、需要不足からモノが売れず、これが物価を引き下げるという事態が続いているのです。

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