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一之瀬なな
2017年7月13日 10:29
その日は、私の気持ちを代弁するかのような、長い長い雨が降りしきる夜だった。水玉模様が散らばるピンク色の傘をさして、少し傾斜のかかった道をふらふらと歩く。ポツリポツリとしか街灯がないこの通りは、人通りもあまりなく、とても静かだった。私は重い足を引きずりながら、あと数十メートル先にある自分の家を目指す。気分は最悪だ。2年間付き合っていた男に、別れを告げられた。聞けば浮気相手がいつの間
2017年7月14日 09:47
※1話から読みたい人はこちらある日のこと。遠くで聞こえるアラームの音に半分意識を覚醒させながらも、まだ夢の淵でまどろんでいた朝。私は寒さに身を縮めて、胸まで被っていた布団を肩の上まで引っ張り上げた。起きなきゃいけない、頭では分かっているものの、この寒さになかなか体を起こすことが出来ない。あともう少しだけ、と意識が遠く離れていく。 「オイ、起きろよ」 その時、やけに低音でセク
2017年7月24日 14:44
※1話から読みたい人はこちら3連休が明け、今日からまた仕事が始まる。フラれたのが金曜日。失恋からまだ4日しか経っていないけど、だからっていつまでも部屋に篭りっきりはよくない。と、思うけれど……。「しんどい……」 部屋の片付けをしてすっきりした気分も、朝になると様変わり。昨日は「よっしゃ!」って気持ちになれたんだけど、何となく気が重い。 結局、人のやる気なんてこんなもんだ
2017年7月26日 10:33
※1話から読みたい人はこちらノーブルの教え通り、「口ぐせをポジティブなものに変える」を実践中の私。口ぐせってのは習慣だから無意識なものが多くて、気を抜いてたら、ついついネガティブなことが口にしてしまう。今までの習慣を変えるのは意識しないとなかなか直らないけど、こういう小さいことを変えることで、大きな差が出てくると思うんだよね。だから、私もネガティブな発言をしそうになったときは、「いかん
2017年7月26日 16:18
※1話から読みたい人はこちら「自分の幸せや理想の人生について考える」というお題をもらってから2日が経ったけれど、未だ私の理想を定まっていない。頭の片隅にはあったものの、ここ2日間は仕事が忙しくてゆっくりとそれについて考える時間がなかったからだ。「ただいま~」仕事終わりに同僚から飲んで帰ろうと誘われて、気付けば0時近くになっていた。一人暮らしだから時間の融通は利くし、誘われる飲み会は
2017年7月27日 20:37
※1話から読みたい人はこちら次の日の朝。若干2日酔い気味の私を「言わんこっちゃない」という風な目で見た後、ノーブルはまた眠りについてしまった。朝が苦手なのか、私が出勤する時間は寝ていることが多いのだ。「それにしても、昨日は飲みすぎちゃったなぁ~……」なるほど。何となく参加した飲み会の所為で、こんなイマイチな状態で朝を迎えることも、きっと幸せな人生からは程遠いという訳か……。軽い
2017年7月28日 11:08
※1話から読みたい人はこちら次の日。定時で仕事が終わった私は、今朝ノーブルから言われた指令を遂行するために駅前の商業施設へ向かっていた。人通りの多いこの道は、私と同じような仕事帰りのサラリーマンやOL、大笑いしながら並んで歩く高校生、ベビーカーを押したお母さんなどいろんな人が交差する場所でもある。その表情は様々で、私は人ごみに行くと「きっとみんないろんな思いを抱えて毎日を過ごしている