IN&OUT of TOKYO 08「ラディカルな変化のはじまり」/一日一微発見128
夕方、それまでずっと我慢していた灰色の重い雲の中から、雨が降り出した。
小さな粒が、木にも人にも建物にもまとわりつく。
雨は、強く地を打つというわけでもなく、シャワーのようなリズムを刻む。
しばらくするとやってきた夜の闇の中は、あたりを水槽のようにする。
人もクルマも、もう溶け出して判然としなくなる。
闇の中に、赤い光が明滅し、繰り返す。
はっと気がつく。
車が過ぎ去る音が、とつぜん意識の中で大きくなる。
東京は、静かだ。
奇妙に、静かだ。