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社会の価値基準より、自分の納得感

うつで退職するまで、世の中の価値基準に自分を合わせようと必死だったように思う。

大学を出てからずっと派遣をやっていて、はじめて就職したのは31歳のころ。キャリアがないことがひとつの原因で、就活でかなり苦労した。

ふだんから正社員として働き、企業で評価される職務経歴を作っておくことの大切さを痛感した。

だからこそ、就職後は実績や経験を積み、世の中で必要とされる人材になることが大事だと考えていた。

「会社員としてキャリアを作る。もっと年収を上げ、出世する」

競争のはげしい都会に転職してからは、とくにこの考えが強くなり、どうにか認められようと懸命に働いていた。

もちろん働くなか、学べたこともたくさんある。

キャリアアップのために自分で考え、目の前の仕事に工夫をし、自主的に業務提案してきた経験は血肉になっている。仕事をつうじて自分の強みにも気づけた。

世の中で働く人たちがどんなことを考え、なにに価値を見いだしているのか。会社がどんな仕組みで回っているのか。そうしたことを知れたのも、現場で働いてきたからこそ。

当時の会社員生活に後悔はまったくないし、感謝している。

ただ、会社で猛烈に働きつづけることが、本当に自分にとって納得のいく生き方なのか。それについては疑問が残る。

僕のように、物事について深く考え内省する人にとっては、なおさらかもしれない。

もちろんキャリアや年収の高さを追い求め、社会的成功をめざす生き方も、人によっては幸せなんだろうと思う。ただ同時に、「競争の不安やプレッシャーのなかで働くデメリット」も見過ごしてはいけない気がする。

僕の場合、うつ病と診断されたとき、いかにそれまでの働き方で「心の健康」という大切なものを失っていたかに気づかされた。

当時の経験から強く思うことがある。

「社会の価値基準より、自分の納得感のほうが大事」

敏感で生きづらさを感じやすい人が、一般的に良しとされている働き方・生き方に自分を合わせようとすると、どこかで無理が生じるかもしれない。

いっそ、もっと「自分軸」で考えてみてもいいんじゃないだろうか。

つまり、年収の高さやキャリアにこだわるというより、むしろ

「どんな仕事なら、自分はストレスなく続けられるのか」
「どんな暮らしができれば、十分幸せだと思えるのか」

を意識して行動してみるのはどうか、ということ。

かりに正社員で働くにしても、あわただしい都会を避け、もっとゆるやかなペースで働ける地方の会社を選ぶという手もある。

もし正社員の働き方が辛いなら、雇用形態を変えてみるのもいいかもしれない。契約社員、アルバイトやパートなど。

働き方を変えて収入が下がったぶんは、自分のスキルを活かせる副業で稼ごうとがんばってみるとか。

また、ふだんから貯金をがんばり、モノを持たない「ミニマリスト」として暮らすのも、経済的に安心して生きる心強い手段だ。

少ない支出で暮らせば、わざわざ辛い労働をしてまで高い給料を稼ぐ必要は、かならずしもないかもしれない。

方法はいろいろあるからこそ、そのなかで自分はどういう働き方なら納得できるか、考えて行動してみるのもいいんじゃないかと思う。自戒をこめて。


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いちきた
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