『老人ホームで死ぬほどモテたい/上坂あゆ美』感想
上坂あゆ美さんの『老人ホームで死ぬほどモテたい』を読みました!タイトルのインパクトがすごいのでずっと気にはなってたんですが内容がなかなかハードそうというイメージで読んでおらず……。でもデパートでやってたブックフェアに行ったときに出会ったことから今が読むときだ!と思ってやっと購入しました。結果、読んで良かった~~!!
たしかにハードなんです。ウッとなるような短歌もあります。最初の連作「スナックはまゆう」は祖母の死のことを詠んでいて、この本の一番最初の短歌はこちらです。
タイトルもインパクトが強いけど最初の歌もインパクトが強い。深い悲しみがあるはずなのに淡々としている。淡々としてるのが逆に悲しさを浮き立たせるんだろうか。実際にYouTubeにそんな動画があるのかどうかは何だかこわくて調べられていない。
複雑な家庭環境や学校や職場への閉塞感の歌が続きます。読んでいて苦しい。作者は生き抜いてきた人なんだと思う。
作者が私と同世代とわかる歌は見つけるとちょっとうれしいですね。
中にはきらきらしたまぶしい歌もあって私はそれがすごく好きでした。
この二首は初めて読んだときから大好きで特に「踊ろ!」の歌はふとしたときに思い出して微笑んでしまう。「戻る」というマイナスにも捉えられる言葉を「踊る」というとびきりポジティブな言葉に変えてしまう。最後の「踊ろ!」がとてもまぶしい。
この歌のパワーがすごくて、すごすぎて、ちょっと泣きそうになってしまう。大好きです。こんな風に思って生きていきたい。
すごい本を読んだなぁと思ってあとがきを読んで、ああ、タイトルはそういう意味なのか、とじんとしました。『老人ホームで死ぬほどモテたい』、私もそうありたい。
とてもいい歌集でした。未読の方はぜひ読んでみてください!
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