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ゾロ目が伝えてくれること
以前、ゾロ目をよく見るとエッセイに書いたことがある。実は、あれからずっと、わたしの日常はゾロ目で溢れている。
年明けに初詣に出かけた際、道中ですれ違う車のナンバーがゾロ目ばかりだった。これは新年早々、幸先がいいぞと、つい頬が緩んでしまう。いつも出かける稲荷神社は日本五大稲荷の一つにも数えられるらしく、企業のお偉方も多く参拝されると聞く。平日の駐車場には車が一台もないことがほとんどなのに、その日は祝日ということもあってか、すでにたくさんの車が停まっていた。
車を降りてふと横を見ると、隣の車のナンバーが「22-22」だった。長い階段を登り、お参りを済ませ、また長い階段を降りて駐車場まで戻ってきた。「22-22」ナンバーの車の隣には、「88-88」「77-77」の車が停まっていた。「おぉ」やっぱり、新年早々いいことが起こりそうだなと、嬉しくなった。
家への道中でも、やはりゾロ目ナンバーの車は多く、途中では4桁のゾロ目車に3台連続で遭遇した。とはいえ、対向車線の車をずっと眺めているわけではない。運転中にふと視線をやると、ゾロ目ナンバーの車がいる、といったふうだ。数分後、車内の時計を見たら「11:11」で、しかも偶然かけていたCDがTrack No.1だったため、「1. 11:11」と表示されていて鳥肌が立った。
ここまで来ると、俄然、おもしろくなる。結局その日は20台ほどのゾロ目車を見て、1日が終わった。
ある日は自宅で仕事中に、ふと時計を見ると「1:11」だった。もう少しがんばろうと思って集中し、トイレに行こうと思って再び時計を見たら「2:22」だった。しばらく休憩しようと寝転がり、電話の着信音で目が覚めた。時計は「4:44」を表示していた。ここまで連続するのは稀なので、驚いた。
昨日は用があって、少し遠出した。運転している間ずっと、いや、ここ1週間ほど、ずっとあることについて悩んでいた。AとBのどちらかに決めないといけない状況。考えても考えても、いくら情報を集めても、一向に決まらない。答えを探そうと焦って睡眠時間は減り、一日中そのことで頭が占拠されている。
ヘトヘトに疲れ果て、運転しながら心の中で、「家に帰り着くまでに、なにかメッセージをください」と、誰になくお願いした。「Aにしたほうがよければゾロ目の車を2台、Bにしたほうがよければ連続するナンバーの車(12-34など)を1台、見せてください」と。
すると、いつもよく見るゾロ目車にまったく会わない。加えて、連続するナンバーの車にも。「あぁ、そんなに簡単にはいかないか」と諦めていたところ、家のすぐ近くの細い路地で、対向車と行き交った。お互いにスピードを弱めて離合し、軽く頭を下げる。すれ違ったあとにバックミラーでその車をなんとはなしに見ると、なんとナンバーが「98-76」だった。思わず、声が出た。
はたして、わたしの心は、はじめからBに決まっていたようだ。Aは世間体や将来のことを考え、「こっちを選んでいたほうがよいだろう」と思っていたこと。Bは一般的ではないため、人とずれていることに、不安を覚えたのかもしれない。でも、現時点で心を奪われるのは、たしかにBだった。
ゾロ目はいつも、なにかを伝えてくれようとしている気がしてならない。今回の件も、「いまのまま進んで大丈夫、間違ってないよ」と言ってくれていたのだろう。直感を大切に生きていればいいんだ、とあらためて思った。