ごく稀にしか小説を読まない私が「ルビンの壺が割れた」を読んだ感想
私は普段から小説を読むことがない。
しかし本屋に訪れた私は思ってしまうのだ。「小説読んでる知的でかっこいい私」になりたい。と。
そう、そんなもの一長一短でなれるものではない。だが、それに憧れジャケ買いした小説たち(ただし読んでいない)に私の書棚のスペースが割かれていることは事実である。このままではいけない。読まなければ当然ながら無駄金である。ファッションインテリほど見栄っ張りで恥ずかしいものは無いだろう。
一体どうすればこの小説たちを読み始めることが出来るか考えた結果、まず薄い小説本を買って読む癖をつけるべきであると考えた。本屋の小説コーナーを探し、比較的薄い文庫本でおもしろそうな「ルビンの壺が割れた」を発見。
帯に「日本一の大どんでん返し!(と断言したい)」とデカデカ描かれておりまんまと釣られて購入したのである。
〜ここからあらすじと可能な限りネタバレなしの感想〜
主人公は50代の男(独身)である。パソコンを覚えてフェイスブック見てたら20代の頃に結婚を約束していた元カノを発見し、思わずDMを送ってしまう。その元カノはフェイスブックに顔を載せていない。それにもかかわらず元カノ本人だと特定出来てしまうあたり絶妙にキモい主人公だなという印象で話はスタートした。てかパソコン覚えて半年程度のくせに立派なネトスト技術を習得している主人公。。。なんやこれむちゃくちゃおもろいやんけ。。。
主人公は期間をあけつつ3通ほどDMを送る。3通とも「返信不要です」など書いているためか元カノがフル無視したところ「返信無かったからショゲちゃった」みたいな内容で追いDMが来るのである。いや分かれよ。30年前の元彼からザオラルDM来たら(は?キモ・・・フェイスブック見に来んなや・・・ジジイの未練しんど・・・)ってなるやろ。
しかもそのDMの内容が「あなたが書いた絵を引き伸ばしてプリントアウトして部屋にかざってます」とかなので、読んでて「それはやめとけ」ってさすがに笑ってしまった。
ところが青天の霹靂。ザオラルDMは無視されることはこの世の常識になりつつあったと思っていたが、状況は一変し元カノは返信する。よく返信したな。感心した。仏。こんな優しい人おらん。しかし元カノも50歳近い年齢である。別の人と結婚し、高校生の子供がいた。あふれでる既婚者の余裕。返信の内容量はほぼ1:5の割合で進んでいく。いわずもがな、1(元カノ):5(主人公)である。自分語りの多い主人公、タイピングに慣れていない為に半日や1日費やしての超大作DMを送り続ける。
近況報告、過去の話を送り続ける。元カノの返信はというと「懐かしいね・・・。へぇ〜、そんなことあったなんて知らんかったわ・・・」程度の内容しか毎度返信してこない。
脈なしワロタwwwwwww
全然脈なしやわ!もうやめとき!読みながら私の心のおせっかいババアがそう叫ぶ。しかし主人公はDMを送り続ける。。。なんだこれは・・・毎回超大作やからDMが小説・・・。そして主人公は未練タラタラMAX・・・内容もしっかりカオス。
このままどうやってこの小説は、いや、DMのやりとりは終わるのだろう・・・まったく予想がつかん・・・と思いながら読み進める。冒頭でも言ったがこれは比較的読む量が少ない本なのだ。そろそろ終わりかなと思って最後のページを開いた時、「ヒッ!」って声出た。文字を読んでびっくりさせられたのはこれが初めてなのかもしれない。
これが大どんでん返し・・・!!!!
納得した。帯は嘘ではなかった。私は大どんでん返し故に茫然としながら本を閉じた。いやおもろ。新感覚小説じゃん。
後、著者の書くこのDMは文章からなぜか50代男性っぽい雰囲気を感じさせる。携帯を持っていればこの主人公「久しぶり〜(にっこり)(星)元気してたカナ!?」とか送りつけてそうだなと妄想した。
わかっていたけど、活字も悪くない。むしろおもしろい。このまま次の小説も読もう。
あまり普段小説を読まない人に、お勧めしたいと思えた本でした。
あ〜〜〜おもしろかった。