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『秘訣! ゾーンに入る方法』

これは知っていて損はない。
ズバリ、あらゆるものの能力を高める方法である。
イチローや浜崎あゆみ等の一流人がよく言う「ゾーン」に入る方法である。
ゾーンに入れば、あらゆる能力を最大限に発揮し、欲しい物を手に入れられる。
一流の人が精神を集中し、無我の極地に至らなければ入れないというゾーン。
凡人と天才の違いはそこにあるという。
ゾーンに入れるものこそ、人生において真の幸せを手にする事ができるのである。
それは、あらゆるジャンルで活用する事ができる。

本当に役に立つので、この方法は期間限定で無料でみんなに知ってもらいたいと思っている次第なのである。
      [期間限定/無料]
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まずは、ゾーンとは何なのかである。
      これが「ゾーン」だ!

『ゾーン』

師匠から聞いたので間違いない。
師匠は、わたしと同じく毎日公園で遊んでいる浪人生である。
時々、奇声を発したりするが、基本、わたしに『ロボットのおまけがついているお菓子』を食べきれない時などにチョコを少しくれたりするので、信じられる。
最近は、「はまらないから」と、ロボットの足をくれた。もう、感謝の念しかない。
わたしは、その足をいつも遊んでいる小学生たちと砂場のお山のてっぺんに立てて、拝んだりして遊んだ。
だいたいは、小学生たちと遊具をガンガン揺らして遊んでいる事が多いのだが、それをしている時に買い物に行く途中のお母さんに見られると、泣いている事が多いのでたまには静かな遊びもした方がいい。
母が泣いているのは、「鉄の棒を揺らすぐらい、こんなに立派になって」と感動しているからに他ならない。
動物園とかでゴリラとかが鉄柵を揺らすのを見て喜んでいる人たちを見た事がある。それと同じ理屈なのだ。
だが、そうやって、親孝行ばかりしていては親を甘やかす事になるのでたまには反対の事をしないといけない。そう、わたしは今、反抗期なのだ。
大人になってからようやく反抗期が訪れたのだ。
すべては基本が大事。
常識ある社会的通念を理解した社会人として、通ってきてない道は通るべきである。
ついでに、子供の頃やってない七五三を今やろうと、一人で神社に行ったら、神主さんが「あまり、そういった人はいませんが…」と言っていた。たぶん、お賽銭の小銭で駄菓子ばかり買って人の話をまともに聞かないお行儀のわるい人みたいになっていて、これ以上お話してもらちがあかないはずなので、わたしは千歳飴だけを買って神社を出た。
バスの中で長い千歳飴をできるだけ口の奥まで突っ込んで食べていたら、みんなわたしの方を見ているのがわかった。
せんぼうのまなざしとは、このことをいうのだろう。

話をゾーンに戻そう。
ショッピングモールにある、カラフルなボールがたくさんある、なぜか子供しかいない場所、あそこが『ゾーン』なのだ。
兼ねてから、ショッピングモールなどにあるそこは気になっており、敷居の外側から覗いたりしていた。あまり長時間そうやっているとだいたい店員が「保護者の方ですか?」と聞いてくる。
保護者! とんでもない! わたしはその保護者という者が大変な者だと知っている。公園で浪人生や小学生たちと遊んでいると、たまに浪人生が「保護者が来た!」と言う。それを合図にわたしたちは散り散りになって逃げるのだ。よくわからないが、その事からして、保護者とはヒーローショーとかのザコの悪もんと同じで人さらいみたいな者なのかもしれない。
わたしは、悪もんに思われたくないので、「違います!」とハッキリ言う。
その後、周りをウロウロしてると、なぜか近くに警備員が増えたりする。そんな時は、だいたいわたしは敬礼して直立不動で敬意を表す。できるだけ長時間。
おしっこがしたくなるまで。

そして、師匠から習ったのだ。
ゾーンに入る方法を。
師匠に5000円、ゾーンに500円払えば入れるという。

わたしはゾーンに入った。500円で。

もちろん、師匠にも5000円払った。
いつも遊んでいる小学生たちも一緒に連れて行ったので、一万円ちかくかかった。
お金は叔父の車のタイヤを2本外して売って工面した。かわりに、ミニ四駆のタイヤを着けてきたのだがたぶん大丈夫だろう。理由、ミニ四駆のタイヤはカッコいいから。
一流のスポーツ選手や一流のアーティストたちもこうやって、ゾーンに入っているのだろう。
そう考えると、イチローの叔父さんも浜崎あゆみの叔父さんも、前輪にミニ四駆のタイヤを着けて斜めに傾いた車体で前のめりに走っているに違いない。

わたしたちは、ゾーンで思い切り遊んだ。
「わけのわからん事ばかりしてないでハローワーク行ってこい!」普段、母によく言われている言葉も気にならなくなるぐらい。むしろ、心地よく胸の中でリフレインしている。
わたしは、ついに、
ついに、ゾーンに入ったのだ。
ボールのいっぱいあるところで、動き回って遊んだ。
そうだ!宝探しをしよう!
わたしの履いていた白のブリーフを脱いで、ボールの中に隠した。
みんなで探した。
そのうち、ズボンもなくなったので、みんなで探した。
長い間、そうやって、遊んでいると、
警備員に似た制服を来た人たちがお迎えに来た。
わたしは、白と黒の二色の車に乗せられた。

後部座席の窓の外側では、小学生たちが手を振っている。

わたしも、手を振る。

前席と後部座席とを隔てる格子状の鉄網に反射した夕焼けが、


やけに眩しかった。


エンディングテーマ
『唇をかみしめて』
歌:吉田拓郎

♪ええかげんな奴じゃけ~ ほっといてくれんさい
あんたと一緒に  泣きとうはありません

♪どこへ行くんね~ 何かええ事あったんね
住む気になったら  手紙でも出しんさいや


♪季節もいくつか  訪ねて来たろうが
時が行くのもわからんくらいに~

♪目まぐるしかったんじゃ~
人が好きやけね~  人が好き~やけね~
さば~くも~さば~かんも~
空に~任したんよ~
人がおる~よね~

♪人がそこに~

        ♪おる~よね~


少年よ、少女よ。
大志を抱け。


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