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雨踏む裾がゆっくりと冷たくなって

思えば2020年の秋から今日に至るまで、ありとあらゆる体調不良を経験してきた。
食あたりにはじまり、謎の瞼の腫れ、原因不明の発熱と胃腸の不調、そしてコロナ感染。
社会人になってから2020年まで、熱を出すようなことは一切なかったし、
原因のわからない体調不良に襲われることもなかった。
となると、そう、やっぱり2020年の秋に何かが大きく変わったからだろう。

2年前に別れましたよ、と話した時、
「え、最近じゃない。傷はもう癒えたの?」と聞かれた。
結構前ですよ、と答えたけれど、傷が癒えたかどうかは答えられなかった。
2年前って最近って捉えていいのか。
もう思い出して泣くようなことはないけど、でもやっぱり心にごろっと存在があるし、
一緒にならないと辻褄が合わない感じがまだあって、腑に落ちていない。

2年という期間に縛られているのは、身近な先輩が同じような失恋を経験した時、
2年間は引きずっていたし、泣くこともあったよと言っていたからで、
だから2年は私も引きずってもいいみたいな、許されるような気がしていた。

兎にも角にも、いつまでこのままなんだろうと焦っている。
ずっと時間が止まっている気がする。
あの時一緒に将来を憂いていた友達は、結婚し、新しい命を授かった。
私だけが、止まったままでいるように思う。

体のことにしてもそう、心もそう、恋愛も仕事も生活も、
ゆらぎやはみ出しを許容できなくなっている。
人間だから、機械じゃないのだから、一定のリズムで
変わらずにいることなんて絶対にありえないのに、
ちょっとでもお腹が痛いとか目が痒いとか髪が傷むとか、
そういうことがものすごくまずいことに思える。
晴れの日もあれば、雨の日や曇りの日だってあるじゃないか、と思えない。
そのことが自分を苦しめているんだな。

私にとって一番輝いていたのは、15歳から21歳ごろの7年間で、
あのころは色んなことを受け止め、許し、ありのままで居られる余裕があった。
いつからかその隙間がなくなり、絶対と完璧に追われ、
自分も他人も許せなくなった。
頭ではわかっているのに、うまくいかない。足掻いても見て見ぬ振りしても、どうにもならない。

向かう先がどこかわからないけど、自分の味わったこと経験したことでしか、
他人を救えないし、言葉にもできないと思っている。
だから今は、このどうにもならない日々を味わって、
逃げずにたゆたって、ただ眺めるような気持ちで、私のペースでいくしかない。

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