国立大学の学務係でゲットした、エロジジイのいる蕎麦屋
大学の学務係に行けば、バイト募集がたくさん手書きで貼ってありました。
これから、卒論で忙しくなる人や、今のバイトを辞めるのに代わりを探している先輩たちが自らが書いて貼って募集しているのだ。
国立大学だけあって、家庭教師の依頼が多い。
家庭教師するほどの自信はなかった。
私が目に留まったのは、蕎麦屋さんでした。
しかも、看護科限定という、なんやそれ?っていう募集。しかもすごくお金が良かった。
早速募集先の先輩に電話してみました。
同じ看護科の先輩でした。
わざわざ教室まで来てくれて、今直ぐ引き継いで欲しい!との事。
すごく小さな有名な蕎麦屋さんで、かなりクセがあるけど、看護科限定なんよ。
それは、なぜ?
あまり聞かずに、交代しました。
交代した後に、かなりのエロジジイと聞きました。
その店は、ボロボロ小屋で、86歳のベビースモーカーの爺さんが1人でやっているようなところ。
タバコ吸いながら厨房にいて、説明をしてくれる。うちは12時開店、土日のみ。16時閉店、看護の勉強に差し障らないだろ?と。
まず来たら暖簾をかけて、玄関に水撒きをして、パイプ椅子を整えて、客が来たら、アサヒのコップで水を入れて出し、注文を聞く。
山菜そばと言われたら、山ソ、かけそばは、かけソな、とろろは、とろソと俺に伝えてくれ。
いざ、12時に開店したら、タクシーがバンバン店に横付けして、客がひっきりなしにやって来て、今にも潰れそうなこんな小さな店になぜ?!パニックになりました。
ジジィは、タバコ吸いながら、ツルツルした蕎麦を作り、私が運び、お勘定する。
何故か、私は怒鳴られてばかり。
客の前で「くぉらぁあああ!オマエ〜暖簾が傾いてるじゃないかー!まっすぐせぇや!」
「くぉぉらああ!お勘定が間違えとるやないかぁぁああ!」
怒声の中、必死に客対応していたら、あるお客さんが、私にチップを渡してきました。
厨房のジジイの方を見たら、片手でグッドしていました。
で、俺のおかげで儲けたな!って。笑ってました。
とにかく人気すぎて、息つく暇もないのに、怒鳴られる。
えらいところに来てしまった!
でも終わったら急に孫の顔を見るような目つきで、優しくなる。
それにほろっとしてしまう。笑
毎回、蕎麦を山盛り食べさせてもらう。人気店だけあって、人生でもう出会えない様な美味しさでした。
この蕎麦だけで怒声耐えられると思ったくらい、美味しかったし、この街で1番美味しいパフェ屋さんにも連れて行ってくれました。
そのパフェ屋さんの店員の若い女の子と知り合いらしくて、お尻叩いたり、手を握ったりしている。
ジジイ「お前もな、接客するならあの子を見習え!これからお釣りをわたす時は、ありがとう〜と、上目遣いで可愛く言って、ニコッとして手を握れ!」
とセクハラ講習を受け、その通りにやると、確かにウケが良く、チップも増える。
ジジイに.片手でグッドされる。
そんなおかしなバイトでした。
客が混み出して、ノリノリの時は、ジジイば厨房で、正常位で〜!
バックで〜!とか言いながら、
せいろの上に蕎麦を出して私に渡していました。
女は尻〜!とか常に言ってて
まだ18歳で純粋な私、そのノリにどう乗れば良いのか分からなかったです。
ある時、ジジイが、仕事中に厨房のパイプ椅子に座り込んでしまい、仕事が停止しました。
「俺はな、心臓が悪いんだ、もう長くはねぇ!」と、マイセンの3ミリを、買ってこい!と指示される。
必ず2箱まとめ買いがルール。
急にジジイが心配になり、本屋に走り、心臓のツボ?の本を立ち読みして、手を揉んであげたりする様になりました。
時々、座り込んで営業がストップしてしまう、超人気店。
私はジジイを復活させようと、毎回厨房に駆けつけ、心臓のツボである手のひらをマッサージし続けました。
そんなある時、バイトに行ったら、
「もう、店閉める、俺限界、今から、バルサン炊くぞ」
と。生まれて初めてバルサンを炊くとはこう言うことなのか!を経験させてもらいました。
ジジイと2人で、もくもくする中、外に出てきて、
あの人気店が、終わってゆく、、、と切なくなりました。
ジジィは入院することになりました。
あんな人気のあった蕎麦屋も閉まりました。
まだ2ヶ月しか働いてないのに。
ここで、ジジイとの関係は
なんと!
切れませんでした。
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