アニメソングDJが振り返るアニメソングの歴史 其の三 男性コーラスグループ その①
テレビアニメの放映がスタートし、段々と本数が増えて来る1960年代前半。
時代的にはムード歌謡にグリークラブと男性コーラスグループの全盛期。
この潮流はアニメソングの世界にも流入し、前回書いた合唱曲と並ぶ一大ジャンルとして確立されます。
いえ、そもそもこの二つが隣接ジャンルってところもあるのですが。
そんな男性コーラスグループが歌うアニメソング。
起点となったのは「鉄腕アトム」が放映されたわずか10ヶ月後。
(今だったら10ヶ月あったらアニメ界の潮流なんてあっさり変わりますけど、そこは放映本数が全然違う時代ですんでご愛敬)
1963年10月に放映が開始された鉄人28号から。
そして、ここから初代アニソン歌手と私が勝手に呼んでいる「ボーカル・ショップ」が誕生するのです。
「鉄人28号」OP『鉄人28号』
作詞・作曲・編曲 三木鶏郎
唄 デューク・エイセス
「鉄腕アトム」と同年に放映開始された数少ないアニメの1つ「鉄人28号」。
その主題歌を担当したの男性コーラスグループであるデューク・セイエスだったのです。
前回散々登場した西六郷少年少女合唱団が歌っているバージョンも存在する当曲。
テレビ放映時は曲中にスポンサーである「グリコ」が歌の最後に織り込まれるなど、現在ではあまりやられない展開も。
うちの両親はこの「グリコ」の部分だけを記憶してました、変なの。
「0線はやと」OP『0線はやと』
作曲 渡辺岳夫
作詞 倉本聡
唄 ボーカル・ショップ
諸般の事情でなかなかお目にかかれない曲であるのはタイトルからもなんとなく分かるのですが・・・。
数々の名アニメソングを生み出した作曲家、渡辺岳夫。
作詞は当アニメの脚本を努めた「北の国から」の脚本でも知られる倉本聡。
なかなかお目にかかれないタイプの組み合わせが織りなす一曲なわけです。
そしてボーカルショップ初のアニメオープニング。
もう少し手に入れやすくなって欲しいところではあります・・・。
「W3」OP『ワンダースリー』
作曲 宇野誠一郎
作詞 北川幸比古
唄 ボーカル・ショップ
『ひょっこりひょうたん島』の作曲で知られる宇野誠一郎による初のアニメソング。
歌に呼応するように差し込まれるブラスが非常に印象的な一曲。
ボーカル・ショップの美しい歌唱も冴え渡りながら、サビ終わりにはレパートリー豊かな声でタイトルコールを行うという遊び心溢れる演出も聴いていて非常に楽しい。
僕の友人がこのアニメを「手塚治虫原作のケモノフレンズ」って言っていたんですけど・・・うむ・・・。
「サイボーグ009」OP『サイボーグ009』
作曲・編曲 小杉太一郎
作詞 漆原昌久
歌 東京マイスタージンガー
ボーカルショップのメンバーを含む総勢12名からなるコーラスグループ、東京マイスタージンガーによる楽曲。
「赤いマフラー」で始まる歌い出しは非常に印象的ながら「009のマフラーは黄色じゃないか!!」って突っ込んだ皆様、違うんです。
この前に公開された劇場版ではジョーのマフラーは赤いんです。
その辺りは大人な視線で・・・。
因みにエンディング、ボーカルショップの歌う「戦いおわって」は作詞が石ノ森章太郎先生なんでそちらも必聴のこと。
「荒野の少年イサム」OP『荒野の少年イサム』
作曲 渡辺岳夫
作詞 東京ムービー企画部
唄 ボーカル・ショップ
『0戦はやと』と同じく渡辺岳夫とボーカル・ショップのタッグで作成された一曲。
印象的なブラスによるイントロで始まり、曲の要所要所で鳴り響くブラスの非常に印象的な一曲。
曲全体の疾走感がたまらないわけなのです。
そし歌始まりからいきなり「オー サンボーイ 僕らのイサム」とサビよろしく主人公の名前が叫ばれるのもいかにもアニメソングって感じで非常に良い。
個人的にはボーカル・ショップ楽曲内でベストソングですね。
今回取り上げた楽曲でSpotifyに上がっている楽曲はこちら。
マガジンとしてまとめたものもありますのでよろしければ。
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