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【映画観覧記】

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映画の感想を、お絵描き付きで発表してみる試み。映画は一日に一本は観る。 多い日には3本とかいってしまう。 これは酒の肴のようなもので、夜長の楽しみのひとつ。
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#一骨画

【映観】『道 (La Strada)』(1954)

『道 (La Strada)』(1954) 監督・脚本: フェデリコ・フェリーニ 出演: アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート ジェルソミーナを白痴と云うな! と、強く言いたい。 なんか、白痴だの知的障害者だの簡単にすまし顔で評論してるのが散見されるが、僕は決してそうじゃないと思ってる。 ただ純粋で、生き方が上手じゃないだけ。 フェリーニの代表作にして大傑作。 大道芸人の悲哀が余すコトなく描かれる。 しりあがり寿のマンガっかつーくらいの(いや

【映観】『ノマドランド』(2021)

『ノマドランド(Nomadland)』(2021) 監督・脚本:クロエ・ジャオ 原作:ジェシカ・ブルーダー「ノマド:漂流する高齢労働者たち」 出演・制作:フランシス・マクドーマンド 公開当時、映画館で観ました。 その年(2021年)は、新型コロナが世界を席巻し、緊急事態宣言が連発されてる最中でした。 僕はといえば自宅軟禁を楽しんでいて、外仕事は2年弱しないでNETでレコード販売を続けていた。 いま考えてもよくそんな生活ができたもんだと驚くが、世の中ぜんぶがそんな状況だと、

【映画観覧記】アキ・カウリスマキ監督“敗者三部作”

アキ・カウリスマキ監督による“敗者三部作” 『浮き雲』『過去のない男』『街のあかり』 フィンランドの監督アキ・カウリスマキの映画。 幸福度1位の国フィンランドではあるが、彼の映画を見ていると澱んだ空気が充満していて、とても煙たく感じる。 僕のムーミン貯金箱のように、背中の入口からコインを投入しては、直ぐ裏のキャップを剥がして引き出す、一向にお金の貯まらない生活と同じで、救いのみえない経済が蔓延してるような国。 絶えず煙草を手にする出演者たちは、浮いてしまう身体を地面に括り付

【映画観覧記】『ラブレターパイラン』(2001)

『ラブレター・パイラン』(パイラン) 監督・脚本:ソン・ヘソン 原作:浅田次郎 出演:チェ・ミンシク、セシリア・チャン 週末に見た映画ですが、チェ・ミンシク主演だから選びました。 ですから浅田次郎原作なんてことも知らず、どんな展開になるかもまったく知らず、ましてやラブレターていうくらいだから恋愛もんはとても苦手なジャンルなので、こりゃあつまらない泣かせ純愛ものだろうくらいの気持ちで見始めた。 僕は俳優や監督で見てしまうタイプなので、ミンシクといえばパク・チャヌク監督「オール

【映画観覧記】『オリーブの樹は呼んでいる』(2016)

『オリーブの樹は呼んでいる』(El olivo) 監督:イシアル・ボジャイン 脚本:ポール・ラヴァーティ 出演:アンナ・カスティーリョ、ハビエル・グティエレス 昨日観ました。 脚本は「わたしは、ダニエル・ブレイク」でケン・ローチ監督と共に辛辣な映画を作った人。 スペインに憧れる。 パウロ・コエーリョの影響か、どうしてもサンティアゴ、、巡礼の道のイメージが拭えない。 樹齢2000年のオリーブの樹木が、ガジュマルかトトロの木かていうくらい幹の変形具合がかっこよくて、もう此の世の

【映画観覧記】『オン・ザ・ミルキー・ロード』(2016)

『オン・ザ・ミルキー・ロード』(On the Milky Road) 監督・脚本・主演:エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica) 出演:モニカ・ベルッチ、ミキ・マノイロヴィッチ 「アンダーグラウンド(1995)」には驚愕した。 もう絶対的に日本人にはない感覚、この質感はユーゴスラヴィア(現セルビア)のものである。 どうしてこうさらりと描けるのだろう、それも半笑い、茶化しているように人が死ぬ。 この映画、鳥の類い、アヒル、相棒のハヤブサ、猫に蛇、熊、動物がたく

【映画観覧記】『裸の島』(1960)

『裸の島』(1960) 監督・脚本: 新藤兼人 出演者: 乙羽信子、殿山泰司 経営危機にあった近代映画協会の解散記念作品として、キャスト4人・スタッフ11人で瀬戸内海にある宿禰島でロケを敢行。 撮影期間1か月、500万円の低予算で製作された。 作品はモスクワ国際映画祭グランプリを始め、数々の国際映画祭で受賞、世界60カ国以上で上映された。 興行的にも成功し、近代映画協会は解散を免れた。 wiki 約20年ほど前、下北沢でBARをやっっていた頃、お客さんだったA氏が持ち込ん

【映画観覧記】『THE FATHER』(2020)

映画『THE FATHER』(2020) 監督:フローリアン・ゼレール/主演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン アンソニー・ホプキンスといえば、レクター博士(羊たちの沈黙)。 というぐらいそこから微動だにしないキャラクターを演じた。 ケヴィン・スペイシーとか、まぁウィリム・デフォーやゲイリー・オールドマン、ジャック・ニコルソンなど、それぞれ絶対的な悪をやらせたらピカ一なのだが、ここはやはりA・ホプキンス、 演技でなくまるで地でその役柄になってしまう。 僕の中で

【映画観覧記】『ジョン・ウィック』1~3

『ジョン・ウィック:パラベラム』(John Wick:Chapter 3 - Parabellum)2019 監督:チャド・スタエルスキ 出演:キアヌ・リーヴス、ハル・ベリー、ローレンス・フィッシュバーン、マーク・ダカスコス、ヤヤン・ルヒアン いやぁ恐れ入りました。 持論として、シリーズ化するならば前作を超えていなければそれは駄作という指針をもって観てます。 なかなかそういかない場合が多く、前作が売れたから次作もやってしまうという暴挙も散見いたします。 「ダイハード」、近年

『交渉人(The Negotiator)』(1998)

『交渉人(The Negotiator)』(1998) 監督: F・ゲイリー・グレイ 出演: サミュエル・L・ジャクソン、ケビン・スペイシー、デヴィッド・モース この感じ、とても懐かしい感じ、少し暗めの画面がいい。 できたらブラウン管テレビ画面で観られたら、もっと感じいいかも知れない。 それくらいアナログで、たかだか20数年前の映画だというのに哀愁を帯びていた。 (もちろん良い意味です) シカゴ警察東分署の刑事で交渉人、いわゆる犯人を説得して投降させる役を演じるは、我ら

【映画観覧記】『フェイク・クライム(Henry's Crime)』(2011)

『フェイク・クライム(Henry's Crime)』(2011) 監督: マルコム・ヴェンヴィル 出演: キアヌ・リーブス、ヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーン 80年代か、ていうくらい何か懐かしさを伴う作品。 主人公のキアヌさん、そのすっとぼけた演技は「マトリックス」や「ジョン・ウィック」ではなかなか出てこない引き出し。 もたもた生きてるから、あれよこれよといううちにドツボにハマっていく。 あまりにも可哀想なので笑っちゃうしかないわけで、 流される人生は苦痛を伴い、沸点

『グッバイ、リチャード!』(2018)

『グッバイ、リチャード!』(2018) The Professor、別題:Richard Says Goodbye 監督: ウェイン・ロバーツ 出演者: ジョニー・デップ、ローズマリー・デウィット、オデッサ・ヤング、ダニー・ヒューストン こうゆうジョニー・デップ、好きです。 難しく考えるコトない、誰もが迎える死が突然やってきたというお話。 末期がんと診断された大学教授、どうするかと思えば治療も受けずに、死期まで七転八倒する。 デップお得意のとぼけた演技が、まぁ悲壮感を煙に巻

『ペイン・アンド・グローリー』(2019)

『ペイン・アンド・グローリー』(2019) 西: Dolor y gloria、英: Pain and Glory) 監督・脚本: ペドロ・アルモドバル 出演者: アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス もう飽き飽きだ。 そう思いながらまた配信で映画を漁る。 映画半ばでどうしても続けて観られずに、止めてしまうコトも多々ある。 そんな中、この映画は良かった。 バンデラス、僕のイメージではラテンでアッパーな肉体派であった。 スペイン出身の役者さんなのでラテンは間違っては

『ペイン 魂の叫び(LEAVE)』(2011)

映画は一日に一本は観るが敢えて観ないを選択する日もあり(例えば今日とか)多い日には3本とかいってしまう。 これは酒の肴のようなもので、夜長の楽しみのひとつ。 どうせ布団をかぶったって、右へ左へともぞもぞやって、寝入りは朝方になってしまうのが常、そんなワケで、amazonプライムビデオで漁るのです。 先月から映画の感想を、お絵描き付きで発表してみる試み。 ピーター・ドイグ氏が映画からインスパイアされたり、自主上映会の催しポスターを自ら描いているのを知り、これは楽しいに違