いつも春であれ。
花束を抱えた高校生たちを見た。
そうか、もう卒業式か。
彼らの別れの寂しさの隙間から見え隠れする新生活へのわくわく感が、混沌とした街の空気を少し明るくしていた、ような気がする。
つられて私も当時のことを思い出した。
高校卒業時、私は動物の研究者になりたかった。
憧れていた獣医師への道は絶たれたけれども、好きな研究の道を選んでいこうと意気込んでいた。
当時霊長類の研究に興味があった私は、学部2年生になった春に霊長類研究所のある京都大学大学院の説明会に行った(霊長研は愛知だが説明会は京都だった)。
参加者のほとんどが4年生の中、自分の大学でも研究室に入ってすらいなくて研究のことを何も分かっていない奴がふらふらと混ざっていたので、何をどこまでかみ砕いて説明しようかと教授の方々を困惑させてしまったのが懐かしい。
その約一年後、今度は霊長研のオープンキャンパスに一人泊まりで行ったら(地味に初一人旅だった笑)、一年前に丁寧に説明をしてくれた教授が私のことを覚えていてくれて感動した。
あの頃は常に高揚感があった。
未来の自分にわくわくしていた。
結局外部進学はしなかったし今やりたいことは研究ではなくなっているけれど、
あの頃の気持ちは、自分は自分にわくわくできるという事実は、忘れないでいたい。
18歳の自分をがっかりさせるようなつまらない生き方だけはしないようにしよう。
そう思った今日は、春のはじまり。