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Pliny for President: 4年に一度リリースされる RRBC の幻のビール

Russian River Brewing Co. とは?

Russian River Brewing Co. (RRBC: ロシアンリバー・ブリューイング) はカリフォリニア州北部 Santa Rosa (サンタローザ) にあるマイクロブリュワリーで、クラフトビール好きなら名前を聞いたことがある人もいると思う。元々は Korbel 社所有のブリュワリーだったが、2003 年に当時勤めていた Vinnie & Natalie Cilurzo さんが購入しそれ以降オーナーとなっている。お二人はブリュワーとしても現役で、インスタ等では醸造している姿をみかけることもできる。ブリュワリーのイベントにも積極的に参加していて Pliny the Younger のリリースイベントでは列に並んでいる参加者用のストーブを点火してまわってくれることも。また Vinnie はアメリカで初めて DIPA(ダブルIPA)というスタイルのビールをつくった人であり、とにかく探求心がすごい。最近ではThe Session のポッドキャストで Hop Creep に関して語っていたのも記憶に新しい。
この Russian River Brewing を一躍有名にしたのは West Coast Double IPA の Pliny the Elder (プライニー ザ エルダー)で このビールはBeer Advocateにて100点満点中100点という凄まじいスコアがついている。やはりこのビール独特のダンクさと何りも安定した美味しさがその評価を支えているのだと思う。Santa Rosa のブリュワリー兼タップルームが彼らの原点でそこでは如何にもパブと言った雰囲気を味わうことができるが、2018 年にオープンした Windsor (ウインザー) タップルームでは大規模なブリュワリー施設の見学やビアガーデンで気持ち良い日差しを浴びながらのんびりとビールを飲むことができる。

Windsor タップルームに関しては以下の記事を参照。

RRBC を 語る上でもう一つ欠かせないのは年に2回、SFBW (San Francisco Beer Week) の時とその数週間後のブリュワリーイベントでリリースされるトリプル IPA、Pliny the Younger (プライニー ザ ヤンガー)。こちらも Beer Advocate にて 100 点。しかもこの記事を書いている2024年1月時点では Pliny the Elder が総合 36 位なのに対し Younger の方は 14 位だ。

毎年多くの人 (2023 年はタップルーム 2 箇所で合計25,000人以上) が最大 7 時間も並ぶ程の行列ができるブリュワリーでの Pliny the Younger のリリースイベントの様子は下記の記事を参照。

Pliny for President とは?

Pliny for President (プライニー フォー プレジデント,「Plinyを大統領に!」) は 2020 年のアメリカ大統領選挙の年に初めてつくられた (D)IPAで 今年が 2 回目のリリースとなる。President (大統領)が名前に入っている様に、4 年に一度の大統領選挙がある年のみにリリースされる貴重なビール。2020 年の初のリリースの時は Pliny the Elder DIPA の Double Dry Hop 版だったが(なお選挙の結果が出た後にこちらはDDH Pliny the Elderとして名前を変えてリリース)、2024 年ではレシピを変え Simcoe、 Amarillo、 Citra、 Zumo、 そして Nectaronのホップを使用し Triple Dry Hopされた アルコール度数 7% の IPA となっている。こちらも Beer Advocate をみると他の Pliny 兄弟に迫る 99 点
2024 年の Pliny for President は 2023 年の 11 月 14 日に第一弾の缶での発売がアナウンスされ、12 月 8 日の発売時には瞬時に売り切れてしまうほどの人気っぷりだった。そして 2024 年の 1 月 9 日に第二弾のアナウンスにて小売店やビアバーでのドラフトの取り扱いとボトルでの販売が開始された。1月12日には再びオンラインで缶の販売が行われた。なおボトルでのリリースは今年が初めて。

ラベルはこんな感じ。2020年からの大きな違いはスローガンが "Free the Hops" から "Hopcare for Everyone" に変更されている点。

ボトル版のラベル

グッズももちろん販売されていて、Tシャツ(半袖&長袖)と如何にも大統領選挙っぽいヤードサイン(庭などに飾る誰を支持しているかを示すサイン)もある。2020年にはグラスも販売されていたので、今回も販売があると良いのだが。

Tシャツとヤードサイン

Pliny for President と Pliny the Elder の比較

ボトル販売日当日、サンフランシスコのビアバー Toronado にて Pliny for President のドラフトが繋がったという情報を受け急いで向かった。Toronado は常に Pliny the Elder が繋がっている為 Elder と President のサイドバイサイドでの比較をする機会に出会えた。

左が President、右が Elder

色からして違うとは思っていなかったのでまずはその差に驚いた。確かに片方は DIPA でもう片方は通常の IPA なので当たり前ではあるのだけど。
味の方はというと、Elder は WC DIPA の見本というのに相応しいクリアでキレのあるダンクさ、力強さが印象的なのに対し、President は軽やかさや華やかさを感じた。President は軽さもありもう一杯飲みたくなる感じ。

2020 年の Pliny for President 比較

なお、2020年の時も President と Elder を比較していて、その時の写真がこちら(上)。Elder は Growler にて。前述の様にこの年の President は実質 DDH Pliny the Elder だったこともありホップのキレを強く感じた記憶がある。今見ると色もやや異なる。

続いて様々なグラスでテイスティング!

定番の RRBC パイントグラス
小さめの Pliny the Younger グラス
ブリュワリーツアーでもらえる Teku グラス
Cellar Society メンバー用のグラス

Tekuグラスだとスムーズさと華やかさが更に増した感じ。WC IPA っぽいダンクさを味わいたい時はパイントグラスがおすすめ。

最後はボトル版の Pliny for President。

再びパイントグラスで

味に差は感じなかったがやはりボトルは存在感がある。初のボトルはYounger のボトルの横に飾っておくのも良いかも。

RRBC のその他のビール

Pliny は RRBC が有名になったきっかけの一つではあるが、もう一つの面としてベルジャンスタイルのビールも RRBC を語る上では外すことができない。ベルギーの Cantillon とも親交があり、Windsor のブリュワリー施設にはクールシップも設置されていてソノマの地の自然酵母を使ったビールを多くつくっている。代表例としては、Sonambic(ソノマのランビック)というスタイルと呼ばれている Beatification、ワインカントリーらしくチェリーと共にピノノワール樽でエイジされたサワーである Supplication、そしてソーヴィニヨンブランの樽で葡萄のジュースと共にエイジされたピルスナーである Intinction - Sauvignon Blanc など。
また、IPA でも他には根強い人気を誇る Blind Pig や新しめだけど確実なファンがいる定番 Happy Hops などもリリースされている。

まとめ

RRBCによると Pliny for President は今回合計で4回のリリースがあるとのこと。なのであと2回。この4年に一度の祭りを悔いが無い様に楽しもうと思う。
また、2020 年と 2024 年の Pliny for President ではレシピが異なるということを書いたが、実はこれは他の Pliny も同様で、Vinnie の常に新しいものを取り入れつつも味をコアとなる味を維持していく職人の技で成り立っているのだと思う。2023 年の Pliny the Younger には新たにネクタロンホップが使用されていたし、Elder もその都度その都度使えるホップに合わせてレシピを調整していると聞く。
次の 4 年後の Pliny for President はどの様な変化が加わっているのか?残念ながら今年のものとサイドバイサイドでの比較することはできないだろうが、Vinnie のことなのでまた素晴らしいものを作り上げてくれるに違いない🍻

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