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探究する力を育むには?(2)
※プロフィールに勤務校名を出していますが、
全ての記事の文責は個人にあります。
以下、2022年10月の校内向けの通信に書いたものです。
Q:「探究する人:Inquirers」という学習者像に近づくためには?(2)
A:前回お伝えしたのは、まずは頭の中に「?(はてな・モヤモヤ)」が浮かぶことを楽しむということでした。
とは言え、ずっと頭の中が「?(はてな)」だらけ、もやもやしっぱなしでは苦しくなりそうです。
たくさんの「?(はてな・モヤモヤ)」
➡そのいくつかが「!(なるほど)」に変わる
➡新たな「?(はてな)」にモヤモヤしつつもワクワクできる
というサイクルがまわるイメージがついてくると、だんだん「?(はてな・モヤモヤ)」がワクワクにつながるのではないでしょうか。
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「問題が解けない」・「質問されて答えられない」状態にワクワクできたらステキじゃないですか?
生徒のみなさん、問題集で解けない問題に出会ったり、文章を読んでいて「よく分からないなぁ」と思ったり、「IB何やってるかワカラナイんだけど」というとき、どう感じますか? やる気がなくなりますか? 「自分はダメだ」と思いますか? イライラ? それとも、ワクワクしますか?
「探究する人」の究極の姿は、分からないことに出会ってモヤモヤしたら、それがこれから解けていく(解明されていく)かもしれないことに、なんだかワクワクするという状態かもしれません。
全ての「?(はてな・モヤモヤ)」を解くことはできませんし、その必要はありません。まずは自分が特にひっかかる「モヤモヤ」や疑問を大切にして、「はて?」と少し立ち止まってみましょう。
(学生がその「ゆとり」もないほど、広く浅い知識の習得と反復練習ばかりで忙しいという状況は、やはり偏りすぎた学びだと思います。大丈夫そうですか?)
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少し立ち止まって「!(なるほど)」に向かって観察したり、調べたり、分析したりします(興味関心に基づく探究)。
世の中の課題を解決することにつながるような「?(はてな・モヤモヤ)」に挑戦する人もいるかもしれません(問題解決型の探求)。
本格的な研究テーマとしては、自分の興味関心と世の中の課題が重なるところにある「?(はてな):解明されていないこと」が良いとされていますが、初めは自分の興味関心を大切にする方が良いと思います。
「めんどくさいなぁ」という気持ちに勝るくらい「知りたい」と思い「?➡!」のサイクルが楽しく感じられることが、自分にとっては何なのか?…そのことに出会うことも探究学習の意義です。
かつて宮崎駿さんの「世の中の大事なことってたいてい面倒くさいんだよ」という言葉を紹介しました。生徒のみなさんが将来就く仕事でも、どこか面倒くさいと感じるところもあると思います。
「めんどくさいけど、やりたい」「めんどくさいけど、やらざるをえない」、あるいはその両方なのが仕事です。
あと何年かで、自分がそう思えるものを決めなくてはなりません。本当にその選択や決断が正しいのかなんて自分にも「わからない」のですが、そのモヤモヤもワクワクに感じられるほど、この数年でワクワクサイクルが染みつくといいですね。
モヤモヤしたら即ワクワクできたらステキでは?