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有機農業から日本の農業を変えていく  ~常陸農業協同組合 秋山 豊 組合長~Vol.3

  昨年、常陸大宮市で誕生した有機ブランド米『ゆうき凛々』の名付け親である常陸農業協同組合(JA常陸)秋山組合長に、『ゆうき凛々』誕生秘話や農業に懸ける想いについて伺いました。

VOL.1はこちらから

VOL.3 秋山組合長が語る農業の現状とこれから

 忙しい秋山組合長との取材時間は、当初1時間の予定だった。
しかし、時間が過ぎても「大丈夫だよ。」と優しく笑って、取材に応じてくれた秋山組合長。取材の段取りの悪さに反省しつつも、その言葉には大きな魅力があり、ついつい引き込まれてしまった。
 
そんな秋山組合長に、農業の現状とこれからの目標について話を伺った。
 

「現在の農家さんたちは、他の産業と同じように燃料や肥料の高騰、人件費の上昇に苦しんでいます。そして、こうした厳しい情勢の中、有機栽培に取り組むことが、農地を次世代に繋げる道だと考えています。
 
 有機野菜は、どうしても他の野菜よりも価格が高くなりがちです。手間がかかる分、仕方がないことなのですが、スーパーで売れ残っているのを見ると、日本の農業が生き残るためには、地域や消費者との連帯が必要だと感じます。
 消費者にも、その価値を理解していただきたいと同時に、私自身は消費者が手に取れる価格が理想だと思っているので、できるだけ安く供給したいと思っています。自分も貧しい環境で育ってきたので・・・。
 
 そうした想いを共有できるようになれば、有機農業もさらに認められるはずです。
 

 また、有機農業を通して、農業や食料、消費者、そして地域全体について考える必要があります。

 農業も、単にお金を儲けることや、機械を使って規模を拡大することだけが目的では、外国には勝てない。最終的には何も残らないと考えています。
どうしたら、今、育っている子どもたちが、大人になった時に『やっぱり地元に帰りたい。』と思えるようになるのか。

今年 地元の小学生を迎えて 有機米稲刈り体験会を開催した
(秋山組合長 後列中央)

 地域が賑やかになるのは、子どもたちの声が響き、学校給食に地元の美味しい食材が使われるような場面です。

 そこには素晴らしい人々が関わり、地域を守るために共に力を合わせて取り組むことが重要だと考えています。」
 

「余談ですが、ある占いで自分の人生は87歳までと出ていました。
 その通りになるかどうかはわからないけれど、自分の人生が87歳までとして、それまでに何をやるか。

 学校給食を通して、少しでも有機農業を極めたいですね。」
 

 ユーモアを交えながら、茶目っ気たっぷりに語ってくれた秋山組合長。

 でも、その奥にある情熱と、日本の農業と農家たちの将来をいかに繋いでいくか、真剣な想いが感じられた取材でした。