有機農業から日本の農業を変えていく ~常陸農業協同組合 秋山 豊 組合長~Vol.2
昨年、常陸大宮市で誕生した有機ブランド米『ゆうき凛々』の名付け親である常陸農業協同組合(JA常陸)秋山組合長に、『ゆうき凛々』誕生秘話や農業に懸ける想いについて伺いました。
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VOL.2 有機ブランド米『ゆうき凛々』
JA常陸が有機農産物の生産に取り組んだ理由は、3つあるという。
1つは、県が農産物の高付加価値化と環境負荷の低減が両立できる有機農業を推進したこと。
2つ目は、常陸大宮市長が学校給食の100%オーガニック化を宣言したこと。
3つ目は、農業を次世代に繋ごうとする人達が生き残るためには、消費者が評価してくれる有機農業が適していると考えたことだそうだ。
「初めて有機農業を提案した時、子会社のJA常陸アグリサポートからは『NO』と言われました。
誰も有機農業を経験したことがなく、万が一投資して失敗したらと考えると、動けなかったのだと思います。正直、私自身も理解できました。自分だって、自信のないものに多額の投資をして、虫が入ってしまい、農薬を使ったら全てが終わりですから。相当リスキーですよね。それで半分諦めかけて、自分に言い訳をしていました。
でも、県西地域で有機ニンジン栽培に成功していた企業が協力してくれることになり、土地も地域の方々の協力で確保できました。
さらに、農業経験のなかった社長の息子さんが単身で常陸大宮市に来て、一生懸命に頑張ってくれました。初年度こそは、虫の被害でうまくいきませんでしたが、2年目からは甘くて美味しい最高の有機ニンジンが収穫できました。
その後、さまざまなご縁があって、JAとしても有機農業に取り組むことになりました。有機技術研究会の方々にも参加いただき、土壌調査や栽培方法について指導いただきました。
自分のところの職員を褒めるのもなんですが、さすがプロだと感心しましたね。マニュアル通りに作業を進め、初年度から最高のジャガイモを収穫できました。
その結果、アグリサポートも火がつき、もともとお米の受託法人だった彼らは有機米の栽培に取り組み始めました。
自ら有機米の栽培研究所に足を運び、水田に無酸素層を作って雑草を抑える技術を学びました。無酸素層に穴を開けないよう、こまめに畦道の草刈りを行い、ザリガニが発生した際は畦畔から網ですくって、徹底した管理を行いました。
そうして収穫されたのが、有機米『ゆうき凛々』です。
初めて食べた時、その美味しさに驚きました。さっぱりしていて清涼感があり、甘みも感じられて、茨城県で一番美味しいお米ができた!と思いました。
昨年からは学校給食で使用され、今年からは有機ブランド米として販売予定です。」
最後に、これからの農業について、そして秋山組合長の想いについて伺った。