挑戦マインド
新しい日本のリーダーが決まったらしい。
ここに至るいろいろな経緯を見ていても、どうも釈然としない。
モヤモヤとした感じがするのは自分だけだろうか・・・
社会人の模範ともなるべき国会議員が、真面目に納税をしている国民を欺き、しれっとルールを破る。
一体誰がそれを導いたのかという追及も嘘つきばかりで結局は闇の中のまま。
本来であれば、そういう輩にはご退場いただいて他を選びたいのだが、選択肢があるようでない。
日本人はかくにも我慢強く、寛大な国民なのか。
未来を生きていかねばならない子ども達のために、希望の持てる社会にしてやってほしい。
さて、学校のような場所にいると、そんな我々頼りない大人も、子ども達から大切な気づきを得たり、背中を押されたりすることが良くある。
私は、かねてから日本の教育は5教科に偏り過ぎていると感じており、海外の学校ではスタンダードになりつつあるパフォーミングアート(以下PAとする)をうちも取り入れたいと考えてきた。
PAとは具体的に、演劇、ダンス、音楽といったものだ。
PAを行うには、指導者も必要であるし、ブラックボックスといわれる演劇用の部屋、ダンススタジオなど、本格的にやろうと思えば、お金もかかる教育プログラムであり、よって海外においては、授業料の高い私立学校ほどさかんである。
我々がパートナーシップを組んだNYのDwight Schoolは、毎年のミュージックコンサートを、カーネギーホールを借りてやるというのだから、とても太刀打ちできない。(苦笑)
この混沌とした未来を生きる子ども達にとって、必要とされるライフスキルは、知識を詰め込むというよりも、ソフトスキルといわれる、創造力、忍耐力、協調性などと言われており、PAを通して経験出来ることにこれらの要素は実はとても多く含まれているのだ。
今度の運動会に向けては、ダンスを、12月のホリデーコンサートに向けてはミュージカルをやってみないかと先生達に話してみた。
もちろん、先生達は私の言わんとする教育的主旨には賛同するものの、一般的な日本の学校カリキュラムではあまり馴染みがないPAを、その活動を行うための時間の確保をどうするのか、他にもやることがある中で、スケジュールをどう調整するのか、悩んでいるようだった。
私自身は海外の学校でそれらがちゃんと組み込まれている様子をいくつもみてきたので、バランスの取り方はあるはずだと確信していたけれど、何事も最初に始める時は試行錯誤をしなくてはならない。
生徒、保護者にも若干の戸惑いを与えてしまったかもしれない。
でも生徒達には学校教育も多彩な内容があることを知ってほしいし、ダンスやミュージカルも立派な学びの場であることを知ってほしいと願っている。
そんなこんなで色々な取り組みが始まったが、音楽の先生が、ミュージカルをやるにあたり、「オーディション」をやりましょう、と提案してくれた。
配役を決めるにあたり、ひとりで歌を歌ってもらったり、セリフに挑戦したりというものだ。
対象はうちの4・5・6年生の生徒達。およそ40名くらいだろうか。
ひとりで歌を歌って、評価を受ける。場合によっては選んでもらえないかも知れない・・・それが一般的なオーディションというものだ。
私は果たして、そんなものに手を挙げる生徒がいるのだろうかと心配していたが、しばらくたって、8名の生徒が参加するときいた。
音楽の先生と「8人も挑戦するとかすごいよね」と喜んでいたが、しばらくするともう8人、最終的に約40名の生徒のうち、16人が参加を表明してくれた。本当に驚いた。
先生達はそれを受けて、少しでも楽しい雰囲気でオーディションが行えるよう、海外のタレントショーのセッティングを考えて、審査員席をつくり、照明も落として、イベントのような形を作ってくれた。
全校生徒が集まって、ちょっとしたコンサート会場のように盛り上がった。
審査員が出てきた生徒に質問をする。
「なぜこのオーディションに参加しようと思ったんですか?」
すると生徒は
「挑戦してみようと思って」
「やったことがないことだったから、でもやればできるかなと思って」
「なんか楽しそうだなって」
その言葉に、そしてその立ち姿にとても感動した。
私は私で生徒達に、こういうものも大切な学びであるということは伝えたものの、まだまだ経験したこともない未知のこの取り組みに、よくぞ「挑戦してみようと思って」と手を挙げ、大勢の前でひとりで歌を歌うというのをやってくれた。
ダンスも、あえて難しいダンスを選んだ。
「相当練習をしないと簡単には出来るようにならない」ものをあえて選んで、放課後に練習したい人は自由参加でと、募集したがこちらも多くの生徒が参加している。
みんながみんな歌が好きなわけではないし、今回のイベントに手を挙げなかったからといって、それはそれぞれの興味関心、タイミングで良い。
ただ、全体的にうちの生徒達に「挑戦マインド」が育ちつつあるのは明らかだ。
さて、我々大人はそういう子ども達の姿に何を思うのか・・・
普段から子ども達には、「失敗を恐れるな、何でも挑戦して」と言っている私は、今の自分はどうなのか・・・
おそらくうちの先生達も生徒達の姿から多くを感じ取って、むしろそれを後押し出来る教師でいないといけないと考えているに違いない。
本当に子ども達から多くの気づきをもらっている。
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