見出し画像

Positive Psychology Vlog1 (Happinessとは何か?)

なぜ書くか?

Happinessという概念が欧米大学を中心に研究され、ビジネスの世界では「健康経営」や「Well-being経営」など、この研究がビジネス世界にも適用され始めています。このブログではその考え方を、日本市場においても"正しく"、"身近に"感じて頂けるように私が学んだことを記していこうと思います。

1. Happinessに関する古代からの議論

Happinessというものは、過去の研究からすると大きく2つの概念に分かれるそうです。

① 快楽主義…幸せとは、自らの意識的経験の中心において生の感情を伴うと考える理論(古代ギリシャ時代の哲学者であるエピクロスが提供)

② 欲望説…幸せとは自分が望むものを得る事だと考える理論

無宗教国家である日本、また世界的に類を見ない高度成長を成し遂げた日本では、②欲望説の方が一般的な解釈として理解されやすいのではないでしょうか。

2. HappinessとはXXXだ

一方で学問的な研究ではどのような説明がなされているのでしょうか。ここから、Positive Psychologyの中での「HappinessとはXXXである」という解説をいくつか記載してみます。

・Happiness is the experience of joy, contentment, of positive well-being, combined with a sense that one’s life is good, meaningful, and worthwhile (幸福とは、喜び、満足、前向きな幸福の経験であり、人生は良いもので、意味があり、価値があるという感覚と組み合わされています) by Sonja Lyubomirsky
・Happiness is really found in pleasure and sensation, that this is a way that we should really define happiness(幸福は喜びや感性の中で見つけられます。これが私たちが幸福を定義すべき方法です。)
・Happiness is the sum of all the sensory pleasures and the absence of pain(幸福は、すべての感覚的快楽と痛みの欠如の合計です)
・There are many different perspectives on this question of what happiness is and now our task and what we are going to do next is(幸福とは何か、そして今私たちの仕事と次に何をするかというこの質問には、さまざまな見方があります。

上記から私なりに解釈をすると、「Happinessとは感情的な体験も含まれるし、感性的な体験も含まれる。」そして「ポジティブなものとネガティブなものを切り分けて考えるものではなく混ぜて考えるもの」という事になります。

3. Happinessに関する言葉の定義

更に、Happinessという言葉はアカデミックな観点で用語が定義されていますので、その定義や特徴をご紹介していきます。

Happinessとは個人的な経験かつ個人特有のもの
クオリティオブライフ(QOL)とは、良い人生に影響を与える感情や経験、評価、期待、達成のすべてを含む包括的な名称
主観的ウェルビーイング(Subjective Well-being)とは、より具体的な概念であり、通常ポジティブ感情の比較的高いレベルのもの、ネガティブ感情の比較的低いレベルのもの、そして自分の人生が良い人生であるという全体的な判断と定義される。

企業や人事の視点で考えると、このSubjective Well-beingが企業文化の形成過程やEX(従業員体験)の方向性として考えられる要素であり、仕事を通じて「ポジティブ感情を経験する時間(影響度)の割合がネガティブ感情の時間(影響)に勝っている状態」というものを通じて「この会社で働くことが自分の人生にとってポジティブに影響している」と包括的に捉えられている状態ではないでいでしょうか。

4. 幸福感及び人生の満足度に関する正の相関

では、何を強化促進していけば私たちの幸福感は上がるのか?

クリストファー・ピーターソンの著書・研究では、「幸福感及び人生の満足度」に関する相関項目が明らかになっています。

図1

相関関係は因果関係を示すものではないので、本質的にこれを増やせば減らせば促進すれば幸福度が上がるというものは言えません(ここはとても重要)

相関関係での誤解例としては「チョコレートの消費量とノーベル賞の数」が研究の結果明らかになっていますので、こちらをご覧ください。


一方で、「何が相関していないか?」と逆説的に考えると気づきが生まれるのではないでしょうか。

・「年齢や性別学歴など私たちがラベルとして使うようなものが相関していない(若いから幸せ、有名大学だから幸せではない)」

・「収入というものが幸福感や人生の満足感に影響していない(お金持ちが幸せ者ではない)」

という事が明らかになっています。


Happinessの中でも特に注目されているのがSubjective Well-beingという考え方です。繰り返しになりますが、「(紆余曲折有るけど)なんとなく自分の人生はいい方向に向かっている」と捉えている状態がSubjective Well-beingが高い状態なのです。


如何でしたでしょうか。次回は、この学問に対する誤解について書いていきたいと思います。


私は誰ですか?著者:松澤 勝充

JPEG顔写真

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。採用や人材育成、評価制度など、企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発した3カ月プログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶHRBP講座を展開している。

HRバナー

保有資格:
The Science of Happiness(UC Berkeley)
DiSC認定トレーナー、ピープル・アナリティクス(authorized by the University of Pennsylvania)
ポジティブ・サイコロジー・ワークショップ(Japan Positive Psychology Institute)、他


<参照元>


頂戴したサポートでHRプロフェッショナルを目指す人々が学び続ける環境・場所・情報を作りたいと考えております。少しのサポートで活動が継続できます。大変ありがたいです。