まだ夢から覚めないでいて。

好きな人ができた
身長が高くて、２つしたの男の子
一見クールに見えるけど、喋り出したら
止まらない彼の笑顔にやられちゃう。
素直で思ったことはすぐに口に出すし、
よく物は落とすし、自分の話ばっかりだし
でもそんな彼といてなんだか居心地がいい

年明けのデート、美術館で待ち合わせをした。
出会ってからは3回目。
お互い少し遅刻をしてしまうところも
なんだか似ているなと思いながら。

美術館はたくさんの人で溢れていて、
そんな中、彼と一つ一つの作品を
ゆっくりとみた。いつもはお喋りが止まらない
彼だが、作品をじっと見て、静かに
楽しんでいるのがギャップだった。

途中、もう行く？まだ見たい？
私がそう聞くと、まだもうちょっと。
きっと楽しんでるんだろうなと
その一言から伝わった。

夕方、近くのハンバーガー屋さんに寄った。
彼がハンバーガーを大きな口で
ソースをつけながら頬張る感じが
なんとも言えない年下感で可愛かった。
私は、その目の前で
彼のポテトとアイスを食べた。

彼の毎日の日常の話をBGMに
この何気のない時間が続けばいいのにな
なんて思った。

美術館に戻って最後の展示を見終えた頃には
あたりはすっかり真っ暗になっていた。
冬の東京は、なんだか冷たくて、
そんな季節が2人の距離を少しだけ
縮めてくれる。

彼が帰り道手袋をはめて、
私の手も寒いのに。なんていうと
そっと手をとって歩いてくれた。
特にそのことについて会話で触れるわけでも
なく、居心地がとっても良かった。

せっかくだから東京タワーが見たいなあ
なんていうと、仕方ないなあと
電車を調べて、2人で向かった。

夜の街に光る東京タワー、
近くで見ると思っていたよりも
大きくて、綺麗だった。

チケットを買ってくれて、
2人で東京タワーに登った。

上から見る景色は周りのビルが大きくて、
なーんだ。東京タワーよりも
高い建物ってたくさんあるんだって。
そんなことを考えてたら

彼も同じようなことを話してきた。
きっと、登ってる最中にそんなことを
言うなんてロマンチストではない。

ただ私にとっては、なんでも思ってる
ことを素直に言えるあたりが楽しいなって。

2人で時計も見ずに
好きなものの当てっこゲームなんて
したりして、とにかく楽しい会話だったな。
相手のことをもっと知りたいと思ったし、
私のことを知って欲しい。そんなことを
思いながらあっという間に時間が過ぎた。

ロッカーから荷物を出して、
まーしゃーなし？なんて言いながら
私のカバンを持ってくれた。

外に歩く外国人の人に頼んで
映るんですで写真を撮ってもらった。
勢いで腕を組んでみたけど、
早く写真が見たいな。

お腹が減ってきたーなんて話して、
居酒屋まで向かった。

おでん屋さんで、先にご飯を頼むから
ドリンクどーする？って聞いてみた。
彼が飲むなら私も飲もうと思ったから。

少し試したつもりだった。
レモンサワーで、とお酒を頼んだから
私もそれに続いてビールを。

2人で乾杯をして、すぐに赤く
ほろ酔い気分でにこにこしてた。

私も彼もお酒が弱い。
酔うと楽しくて、好きが溢れてしまう

それを隠したい気持ちと
隠したくない気持ちでいっぱい。

あっという間にラストオーダーで
彼が先にお会計を済ませてくれた。
まだ今だに返し忘れちゃってるけど。

終電まで少し時間があったから、
マクドで時間を潰すことにした。
マカロンと三角チョコパイを買って
彼に持たせて食べさせてもらったのを
覚えてる。完全に酔ってたっけな。

2人席で横並びで座った。
とっても狭かったから距離が近くて
何かがあったわけではないが、
ただ彼の横にいられることが嬉しかった。

会えなくなるの寂しいなというと、
思ってもいなさそうな感じで、
ぼくもですよ、なんて返事が返ってくる。

帰り道、手を繋ぎながら2人で
駅まで向かった。ずっと言いたかった言葉を
伝えた。私、君のことがすき。

すると、いやいや僕も好きですよー？
なんておかしなテンションで濁してくる。

駅のホームで彼とお別れをした。
私がハグとかはないのって聞くと、
そっとギュッとしてくれて、
バイバイって。

すぐに私の電車の乗り換えの写真が
送られてきて、ちゃんと帰れるか
心配してくれたらしい。

こんなにも上手くいってそうで
完璧なデート。理想の彼。

彼が本音で私のことを好きって
言ってくれる日はくるのかな。

次はいつ会えるのだろう。
遠く離れた場所に行く私に
ときめきと青春をくれる彼。

彼の大切な人になりたい。
素直に思う気持ちとは裏腹
いつか、特別な人になれることを
ただ思い描いてるだけなのかな。

彼の1番の大切にしないといけない人は
私じゃないこと知ってるけれど
まだもう少しだけ夢から覚めないでいてね。