アニメ×オーケストラを初体験した話
想定外の出来事があったため、このnoteを急遽追記・修正しました。
3月1日にこのnoteをアップしたその2日後。
ウイルス感染拡大の影響により一度中止が決まっていた3月14日・15日の「アイドリッシュセブン オーケストラ」神戸公演を、なんと、
無観客リアルタイム配信していただけることが決まったのです!!!!!(くそデカ声)
あまりの嬉しさと驚きで会社で小さく悲鳴を上げました。
一度中止になった公演のリアルタイム配信が後から決まるなんて夢にも思わなかったもんで。そら涙声にもなりますわ。
以下は2月27日の公演中止の告知を受けて、note更新時に書いていた文章です。
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このnoteは、2月7日に開催された横浜公演に参加した際にあまりに感動し、
「アイドリッシュセブンを愛するすべての人に、絶対に神戸公演のライブビューイングに行ってほしい!この感動をもっと多くのアイナナ民の皆さまと共有したい!」
という想いを発散させるべく、あたためていたものです。
神戸公演を心待ちにしていた方々や、演奏会に向けて練習を重ねてこられた指揮の粟辻さんや日本センチュリー交響楽団の方々、ほか関わって来られた全ての方々のことを思うと、辛くやりきれない気持ちです。
これまで当たり前のようにイベントやライブが催されてきた日々がとても尊いものだったと気づきました。
この異常事態がおさまり、いつかまたこのイベントが開催される日が来るのを願って。
「オケナナ」横浜公演を開催してくださった方々への感謝を伝えるために、拙い文章力ながらイベントを通じて感じたことをありのままに書きました。
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これを書いていたときには、2日後にこんなに嬉しいニュースが飛び込んでくるとはつゆ知らず。
今回のリアタイ配信決定に際し、関係する方々がどれだけ一生懸命動いてくださっているのか、素人には想像もつきませんが。
とにかくお一人ずつに頭を下げてお菓子を配って回りたいくらい感謝しております。
どうか関係者の皆さまもお身体にはお気をつけて…この公演が無事に終了して、よりたくさんの方とオケナナを体験し、笑顔になれますように。
公演の詳細は以下の通り。
ニコニコからチケット購入することで、期間中はいつでもタイムシフト視聴ができるようです。
放送日:2020年3月15日(日)17:00開始(予定)
視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv324529365
販売期間:4月13日(月)23時59分まで
視聴期間:4月14日(火)23時59分まで
家にいながら全国のアイナナファンとオーケストラ演奏を楽しめるなんて最高じゃないですか。
もちろんオーケストラですから、生演奏が聴けるのがベストなのは当然なんですけどね。
それに、会場が人で埋まっている時と空っぽの時とでは、オケ側(奏者側)視点でも音の鳴り方が全然違って聴こえるので、ライブ配信ならではの難しさもきっとあると思います。
日本センチュリー交響楽団さんの公式Twitterでは「初めての試み」とツイートされていました。
オケの生演奏をWebでライブ配信なんて、あまり経験できることではありません。
チケット購入の手間はちょっとかかりますけど、ぜひともオンタイムで楽しみましょう〜!
さて。
以降はオケナナ横浜公演を体験して感じたことなどをつらつらと書いております。
3月15日の配信まで、ネタバレは絶対に見たくない!という方は、以降ネタバレしかありませんのでここで回れ右してくださいね!
オーケストラの演奏会に行くということ
「歌が無い音楽ってなんかつまらない」
「オーケストラってなんだか敷居が高いイメージでちょっと…」
そうかもしれない、と思う。
多くの人にとっては、「好きな曲」とは「歌や歌詞が好きな曲」とほぼ同義なんじゃないだろうか。
歌声の入っていない音楽、インストゥルメンタルを好んで聴く人は、果たして総人口の何割くらいいるのだろう。
中でも分かりやすいのはクラシックだと思う。
歌がある曲はさほど多くないし、基本的に一曲が長い。メロディーやリズム感が捉えづらいことも多く、ポップスとは性質が全然違う。
演奏会の形式も、音楽の性質も、なんとなく『格式高い』という一般的なイメージがある。
ロックやポップスのライブとは違って指定席に大人しく座り、無闇に声を上げたり手を振ったりせずにじっと静かに聴くというスタイルが、堅苦しさを感じさせるからかもしれない。
最近ではアニメやゲームの音楽とオーケストラとがコラボした企画が各所で催されている。知っていたけれど、私は実際に行ったことは一度もなかった。
きっと観客の多くはアニメのファンであって、オーケストラの音楽が好きなわけではない。
観客も、「オーケストラって実際どうなの?」と思いつつ、でも作品が好きだから、限定グッズが欲しいから、とチケットを買うのだろう。
そんな人たちにとって、アニメとオーケストラを掛け合わせたコンサートとは、一体どんな体験になるんだろう?
アイドリッシュセブンは、一体どんな体験を届けてくれるんだろう?
不安半分期待半分で、会場を訪れた。
ファンのインサイトを捉えた心遣い
私は公演後に知ったのだけれど、公式サイトの「ATTENTION」ページには、オーケストラ公演に不慣れな観客のインサイトを考慮した、不安を払しょくするための注意書きが掲載されている。
公演中の咳やクシャミに関して
音を立ててはいけないと必要以上に緊張なさることはありません。オーケストラのコンサートでは“聞き耳を立てて“集中している人、音を楽しんでいる人を思いやる気持ちを持っていただければ、そんなに気になさらなくても大丈夫です。本公演では演奏者だけでなく、会場にいらっしゃる方全員で一瞬一瞬を作り上げていければと思います。
出典:日本オーケストラ連盟HP「コンサートQ&A」より引用し、アイドリッシュセブン オーケストラ製作委員会にて、文書を改変
拍手をするタイミングに関して
拍手のタイミングを間違えない方法は、指揮者が腕を下ろして力を抜くのを確かめることです。ジャン!と終わった瞬間に盛大な拍手を送りたくなる時もありますが、一拍おいて、気持ちを噛みしめてから、指揮者が客席の方を振り向いた事を合図に拍手を行えば、一人で拍手してしまう・・・かも、という恐れはなくなり、来場者全員で一体感を持った拍手を行う事ができますのでご安心ください。
出典:日本オーケストラ連盟HP「コンサートQ&A」より引用し、アイドリッシュセブン オーケストラ製作委員会にて、文書を改変
これには思わずじ~んとしてしまった。
オーケストラ連盟の文言を引用しつつ、ちゃんとアイナナファン向けに言葉を考えて、こんなに丁寧にマナーを教えてくれるなんて。
前節でつらつらと書いたような『オーケストラ』への世間一般的なイメージを踏まえた上で、やさしく敷居を下げる書き方。当たり前だけど、ファンの視点がとてもよく考えられている。
公式パンフレットが素敵すぎる
さらに胸を打たれたのは、物販で購入した公式パンフレット。
1ページ目にあるあいさつ文が、あまりに素敵なのだ。
音楽は、人生に勇気を与えてくれる。
アイドリッシュセブンプロジェクトでは、そんな音楽に力を入れてきました。
(中略)
ともすればオーケストラは敷居が高いと感じることもあると思いますが、
同じ音楽の徒として、アイドリッシュセブンが入り口となり、
旅のようにオーケストラを聴きに行くという体験が広がるといいなと思っています。
本日はとても豪華な指揮者、楽団の方々による公演となっていますが、
私たちが大好きな、いつものアイドリッシュセブンです。
ぜひ、気軽に楽しいお時間をお過ごしくださいませ。
アイドリッシュセブンの音楽に対する想いの強さ。
そして、ファンの気持ちに寄り添った柔らかい言葉。
こんなん……好きになるやん…………。
喫茶店で注文したカレーが届くまでの間、この文章を読んでひとり涙ぐんでいた不審者は私だ。
ちなみにこちらが横浜の「コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ」さんにて、涙目で撮ったグッズの写真。
グッズのデザインも素敵。
もちろん中身もとても良かったので、少しだけ紹介を。
まず何より、アイドリッシュセブンやTRIGGERとともに、オーケストラの各楽器や役割について学ぶことができる構成になっているのが素敵だ。
「そもそもオーケストラとは?」「指揮者の役割とは?」「生演奏だから楽しめる倍音とは?」などなど、オーケストラについて詳しくない人も楽器経験者も楽しめるコラムも添えられていて、読み応え抜群。
公演までの間に読んでおけばオーケストラについてばっちり予習できるし(3ページ目に演奏プログラムが全部載っているというモロネタバレ仕様だけど笑)、
公演後に読めば、オケナナの余韻にどっぷり浸れる構成になっている。
購入しそびれた方や、公演中止で機会を逃してしまった方にもぜひ読んでいただきたい…。
何ならみんなでパンフレットを読む会をやりたい。
それぐらい丁寧に作られた一冊だ。
ちょっと話が逸れるけど、アイドリッシュセブンはファンマーケティングを心得すぎていると思いやしませんか。長く続くコンテンツを作るうえで当然だろうけど、ここ最近は特に神対応連発で感動しっぱなし。
…これについてはまたじっくり時間をかけて書いてみたいと思っているので、いったん脇に置いておく。
アニメのストーリーを音楽×映像で追体験
今回のオケナナは、劇伴曲とともにアニメ アイドリッシュセブン第1期のストーリーを振り返ることができる構成。
舞台背後にある大きなスクリーンには、楽曲に応じたアニメ映像が映し出される。しかも映像内のメンバーの色に合わせたライティングも完璧で、テンションブチ上がり祭り。
アプリで、アニメで、もう何回も何回もストーリーを反芻しているから流れは全部分かっているはずなのに、演奏に感情を揺さぶられすぎて冒頭からずーっと涙目だった。
私はとかくオケ演奏に弱い。夢の国で流れるショーのBGMとかでもすぐに涙腺が緩んでしまう。
曲と曲の間、静寂が訪れるたびに、あちこちから鼻をすする音が聞こえてきた。
アイドリッシュセブンという作品はただでさえ情緒的な訴求力が半端ないのだ。
オケの演奏が掛け合わさることで、より臨場感マシマシで物語を体感することができた。
「このイベント…そういうことか…」と、1曲目の『Seven Ways』ですべてを悟った。
『Dancing∞BEAT!!』では、ライブ中にステージが停電するというトラブルが起こるシーンでシンバルがフォルティシモで鳴らされたと思いきや、音数がみるみる減り、なんと演奏が中断。
その後の環がダンスで場を繋ぐシーンに入ると、奏者側から観客に手拍子を要求!
驚きながらも、煽られるがままに手拍子しながら環のダンスを見守る私たち。
あの瞬間、私たちはアニメの中にいるライブの観客のひとりになっていた…。なんてこった。
まさかここまでアニメに忠実に進行するとは思わず、映像との連携も完璧でゾクゾクした。
そして思わず声が出そうになったのは、ファンなら曲名を聴いただけで取り乱すであろうあの曲……『TODAY IS』。
一織がほかのメンバーのことを気にしすぎて、生放送の本番で自分のパートを飛ばしてしまうあのシーン。
その瞬間、オケの中から主旋律が消えた。
その後、明るい曲調とは裏腹の抑揚に欠けたもの悲しい演奏が続く。
完全にプロの成せる技である。鳥肌が立った。
折り返し地点にして既に私のライフゲージは赤く点滅していた。
私はMEZZO”の女なので、『雨』の演出でもかなりグッときた。
公園全体を通して、スクリーンには、アニメと混じってオーケストラのスポット映像も流れていたのだけど、
なんと『雨』の時だけはそれまでカラーだった映像がモノクロに切り替わったのだ。
もはやスタッフにMEZZO”推しがいるとしか思えない。本当にありがとうございます。
そして床に倒れた壮五を陸が発見するシーンの映像とともに『雨』の演奏が終わり、会場が明転して休憩に突入。
ワッとざわめく会場。無理もなかった…約1時間、想像以上のパフォーマンスを浴び続けてもはや息つく暇もなかったのだから。
後半では、デビュー曲盗作事件からアイドリッシュセブンが崩壊寸前まで追い込まれる窮地を経て、ブラック・オア・ホワイトでのTRIGGERとの対決へ。
『Leopard Eyes』『MEMORiES MELODiES』を経て、アイナナ勝利の劇伴曲『Story of RAiNBOW』まで、
苦難を何度も乗り越えたアイドル達が輝く舞台へ駆け上がっていく姿が、きらきら華やかな演奏と爽やかなコーラスとともに鮮烈に描かれる。
ステージを彩るライティングは、まるで私たち自身がブラホワ会場でペンライトを振ってアイドル達を応援しているような気分にさせてくれた。
最後の音が鳴り終わった瞬間、もう全員優勝!最高!ありがとう!と叫びたいのをグッと堪え、できる限り大きな拍手を送った。
指揮者の粟辻さんの満足げな表情が印象に残っている。約2時間かけて2クール分の物語を駆け抜けたのだ。
改めて、この作品のストーリーの良さを実感することができた。
しかしながらここで終わらないのがオケナナ。
アンコールあるかな?楽譜めくってたからきっとあるよね?とソワソワしながら拍手を続けていると、ライティングがピンクとライトグリーンに切り替わる。
演奏が始まった曲はなんと『SILVER SKY』…!
映像はもちろん、2020年4月からスタートするアニメ アイドリッシュセブン第2期の第1話から、Re:valeの2人が歌うあのシーン!
これができるのは、1話がすでにYouTubeで公開されているからこそ…
…いや、むしろこのための1話無料公開か。運営がやり手すぎる。
今回のコンサートのキービジュアルにはRe:valeの2人は写っていなかったから、完全に油断した…。
ドラムやギター、シンセがキレキレで、演奏もめちゃくちゃカッコよかった。
隣の方はRe:valeの女だったのか、演奏が始まった瞬間ビクッとわかりやすく肩を揺らしていた。心中、お察しいたします。
アンコールはその後も続く。
アンコール2曲目は、TRIGGERの「Heavenly Visitor」。
こんなBPMの曲アンコールに持ってくるなんて、鬼か!?と思わず奏者目線に立って身震いしながらも、疾走感のある熱い演奏に聴き入った。
そして最後の最後は、
あの映像と一緒に聴きたい!と誰もが期待していたであろう、「WiSH VOYAGE」!
OPサイズver.ではなく、もちろん長尺ver.。
これが正真正銘最後の曲なので、コールの代わりと言わんばかりに惜しみなく穴という穴から水分を大放出。
月並みで安直な表現だけど……ただただ、エモかった。
オーケストラの演奏会では恒例の、各パートの皆さまの紹介・挨拶を経て、コンサートは幕を閉じた。
意識的にするものではない、心からの賞賛の拍手を送り続けた。会場が明るくなってもなかなか拍手が鳴り止まなかったコンサートは久しぶりだったように思う。
おわりに
アイドリッシュセブンオーケストラは、アニナナ1期を最初から最後まで余すところなく体感できる夢みたいなショーだった。
今思い返してみても、本当に夢だったんじゃないかと思うくらい、あの景色が脳裏で輝いている。
休憩中や帰り際、「思ってた以上にヤバイ!」「どうしようめっちゃ泣いた」「涙止まらなくてしぬかと思った」といった声があちこちから聞こえてきて、心の中で激しく同意していた。
正直私も、オーケストラの演奏であるということ以外あまり想像がついていなかったし、ここまで「アイドリッシュセブン」を見せていただけるとは思ってもみなかったのだ。
粟辻さん、オケの方々、裏方のスタッフの方々、そして観客として参加した私たちの、音楽への愛情とコンテンツへのリスペクト(と課金)の結晶。
文字にするとクサいけど、現場を体感した人はきっと皆そう感じたんじゃないだろうか。
2日目は開演前のアナウンスでカメラが入っていると周知されていたから、円盤化発売発表を密かに楽しみにしている。
このnoteの冒頭でも書いたように、アイナナを愛するすべての人に、このコンサートを体感してもらいたい。そしてその時にまた改めて、今回のオケナナについて楽しく語り合えたなら幸せだ。
ちなみに私の座っていた席はちょうど音響さんや関係者が座っているエリアの後ろで、とても見やすい位置だったのだけど、
関係者席の方々が手を動かしたり体を揺らしたり、とても楽しそうにしていて、気になってつい何度も横目で見てしまった。
恐らくだけど、その中に、今回アレンジを担当された加藤達也さんもいらっしゃったと思う。
三宅さん、加藤さん、この度は本当にお疲れ様でした。横浜公演に参加できたこと、アイドリッシュセブンのファンであること、とても光栄に思える体験でした。
神戸公演もライブ配信として復活していただき、本当にありがとうございます…!お陰さまであと1週間ちょっと、毎日強く生きられそうです。
これからもアイドリッシュセブンをどうぞよろしくお願いいたします(突然のマネージャー目線)。
最後に。
やはりパンフレット冒頭のあいさつ文にあったこの言葉が大好きなので、再掲をもって締めくくりたい。
本日はとても豪華な指揮者、楽団の方々による公演となっていますが、
私たちが大好きな、いつものアイドリッシュセブンです。
そして3月15日は、ぜひオケナナライブ配信で”再会”しましょう!