Vol.6 Society5.0における教師のあり方
こんにちは!教育を考える学生たちです。
今回のテーマは「Society5.0における教師のあり方」です。今回は、教育において非常に重要な役割を担っている「教師」について考えていこうと思います。これからのSociety5.0の時代における、理想的な教師のあり方を考えていくうえでの小さなヒントになれば幸いです。
1.変化する教師像
先日投稿した、<Vol.5 進化するICT教育>にも記したように、時代の変化によって教師のあり方にも変化が発生していきます。(記事はこちら)教育がICT化していく流れから、これまで教師は、知識を生徒に伝達するという役割が中心的だったのに対し、その役割をAIや機械が代替することにより、教師は「生徒の得意なところや苦手なところを客観的に分析し、的確な助言を与え、成長を促進させることのできる人」であったり、「生徒の内発的な興味を引き出すことのできる人」、「生徒の意欲・モチベーションを引き出すことのできる人」といった、これまで中心的ではなかった資質や能力に対してより注目が集まってくることが予想されます。
さらに、2020年の教育改革をはじめとし、これからは「探究学習」や「キャリア教育」といった、生徒の興味や関心を掘り下げていく学びや、生徒自身のこれからの生き方について向き合っていく時間が増えていくことが考えられます。そうなるとさらに、知識を伝達するという教師像にとどまらず、一人の人として生徒の可能性を引き出してあげられるような教師がこれからは必要となってくるのではないでしょうか。
2.探究する教師
1で述べた教師像の変化が発生することを考えた時、私たちが重要になると考えているのは、「生徒だけでなく、教師も探求し続ける存在であること」です。自分なりに問いを立て、その問いに対して真剣に向き合っていく経験を、教師も生徒に対して見せていくことが大切になると考えます。その理由はいくつか存在します。
まず一つに、これまではテストの点が向上すれば、教育の方法として正解であったものが、これからはテストでは測定することのできない能力を向上させる必要があることから、教育の方法の正解が分かりにくく、教師自身が実験をして、修正をするといった探究を通し、自分なりの正解と思える教育の方法を模索していく必要があるからです。そのため、教師は自分なりに自分の教育の方法をつくりながら、それを成長させ続けることが必要となるのです。
次に、生徒は良くも悪くも、近くにいる教師の影響を受けるということです。教師が生徒に対して一方的に「探求をしてください」と伝えて、教師自身が探究をしていないという状態はあまり望ましい物ではないと考えます。極端な例を挙げれば、「環境問題をもっと改善する必要がある!」と言ってはいるものの、自分自身が道路にゴミを捨てたり、分別をしていないといったような状態に近いのではないでしょうか。私たち自身も、大学に入学し、研究室の教授の、大人になっても熱心に探究し続ける姿勢を見て刺激を受け、教授のように探究をしていきたいと思うことができています。このような理由から、「探求する教師」という教師像がこれからは重要になってくるのではないかと考えます。
3.現状の課題
しかしながら、2を実現する上で、大きな壁が存在しています。
まず一つに、「教師の多忙化」があります。ネットニュースなどにも頻繁に取り上げられるように、日本の教師は非常に多忙な生活を送っています。平成28年度の文部科学省「教員勤務実態調査」では、小学校教員の33.5%、中学校教員の57.7%が週60時間以上勤務をし、月80時間以上の過労死ラインを超える時間外労働をしているという結果が出ています。学校の教師は、自分の担当する教科の指導に加え、部活動や委員会活動などをはじめとする、課外活動の指導時間や、学校の事務作業といった時間が非常に長いと言われています。他国と比較した際にも、日本の教員は「課外活動の指導に使った時間」は非常に長いという結果が出ています。実際に教師の方にお話を聞いても、本を読む時間すら取ることが難しいというお話をされていました。それでは教師自身が主体的に取り組みたいことに向き合う時間を確保することは難しく、探究する教師像の実現には繋がりにくいことが考えられます。
また、特に教科学習における、学習指導要領の縛りが強いことも、教師の実験的な取り組みが難しくなり得る原因であると考えます。日本の現在の学習指導要領は、非常に細かく設定がなされており、学びの差が生じにくくなるというメリットがある一方、柔軟にプログラムを組むことを難しくしています。教師のアイデアなどを授業に反映していく際へのハードルが高いことで、型にはまった方法を繰り返し行っていくことをせざるを得ないのです。このような問題を解決していくことが、Society5.0における教師のあるべき姿を実現するために重要になるでしょう。私たち自身にとっても、この問題の解決方法はこれからも探求していきたいと考えています。
以上が「Society5.0における教師のあり方」についてでした。このテーマについてはこれからも考え続けていく必要がありそうです。最後まで読んで下さりありがとうございました!