モチベーションをあげるには? ①
モチベーションのないところに学習はない
「好きこそものの上手なれ」
使い古され過ぎワードですが、これはまさに真実と思います。
こどもたちを指導する側の人間として、一番に思うのは、
「そろばんが好き、楽しい!」と思ってもらえるようにすること。
学習の効果=モチベーション×練習方法
と思います。
何回かにわけて、まずはモチベーションについて、そのあとに練習(学習)方法について記事にしていきたいと思います。
注)ときどきひとりごとが乱入してますが、スルーしてください・・・
モチベーション以前に知っておくべき2つのこと
モチベーションの大前提~「心理的安全性」と「自律性」
今回はモチベーション以前に知っておかなくてはいけない2つ、「心理的安全性」と「自律性」についてご紹介します。
「心理的安全性」は、ひとことで言えば
「失敗してもありのまま受け入れてもらえる安心・信頼感」
「自律性」は、自分の行動を自分で決められること
と思ってもらえれば十分です。
「心理的安全性」について
「心理的安全性」を損ねる行動としては、
やらないと怒られる
できないと怒られる
ダメな子だと言われる
ため息をつかれるetc.
大人もこどもも言われていやなことは同じ。でも、ついつい相手がこどもだと、大人には言わないことを言ったり、決してとらない態度をとったりしてしまいがち。
できないのは、「今」できないだけで、いずれできるようになると確信していれば怒る必要もため息をつく必要ないですよね?
怒ってもため息をついても何もよいことはないのは誰でもわかってはいるのですが、つい・・・
こどもに対してリスペクトを持って対等に接すること。
「なぜできないの」と感情を乱すよりも
「今はまだできないだけ」
「できるようになる」前提に立って、
「どうやったらできるようになるか」
それを考えて試す方がお互いに楽しくて創造的ですよね。
伝え方次第~自律性を大事にしながら指示するには?
「自律性」を損ねる行動としては、
「これやりなさい」「あれやったの?」とこまごま指示してこどもを動かすetc.
と言われそうですが。
確かに、日常生活で指示ゼロだと崩壊しますよね(笑)
なので、実際は指示だけどこどもが自分の意志で決めた気になるように伝え方を変えます。
以下に紹介する伝え方をテクニックとして使い分けられるようになると感情も無駄に波立ちません。むしろ、相手をどうやったら動かせるかの心理ゲームを楽しむくらいのスタンスがいいかもしれませんね。
今回はハウ・ツーを先に紹介します(笑)
なぜこれが効くのかを最後に説明しますね。
テクニック①「〇〇してくれると嬉しいなあ」メソッド
これは、アイ(I)・メッセージと呼ばれます。
「〇〇してくれると嬉しいなあ」
「しょうがないなあ、やってあげるよ。」
「わあ、嬉しい、ありがとう!」
実質は指示なんですが、本人がやるかやらないか選択権を持っており、実行すると感謝されます。
逆に指示されて嫌々やったあげく、ここがダメ、あそこもダメと怒られたり、無反応、完全スルーだたり。そりゃあ誰だってやる気なくしますよね。
この手法は勉強に応用するのは難しそうですね。
そこで、次のテクニック。
テクニック②「ちょっと教えてくれる?」メソッド
「〇〇~、ちょっとこれ教えてくれない?」
「これ、教えてもらえると助かるなあ」
「え~、いいよ」
「ありがとう!」
「〇〇って漢字の書き順、どうだったっけ。教えて~」とか、
「今学校ではこういう計算ってどんな風に教わってるの?なんか昔とちがうって聞いたんだよね・・・」
とか、遠回しになりますが少し近いところでさりげなく。
教えてもらうとやはり感謝されるのでこどもも悪い気はしません。
これは、漢字や計算を「気持ちのよい経験」とをリンクさせる地道な作業なので、即効性はありません。
ただ、漢字や計算に関わると「よい気分」になる経験を積み重ねていくことで、ポジティブなイメージが形成されて、「やりたくない」という心理的ハードルを下げることが狙いです。
テクニック③「どっちがいい?」メソッド
これはかなりズルい手段です(笑)
「漢字の練習するのとトイレ掃除するのとどっちがいい?」
なんでもいいんですが、こどもがやりたくないもの2つを選択肢にすると、こっちの方がマシ、と消去法で、割とすんなりこちらがやってほしいことを選んでくれます(笑)
ポイントとしては、ユーモア、冗談モードで軽いノリで言うこと。
私も授業でよく使います(笑)
「外で大声でじゃいあんの歌を歌うのとそろばん10分やるのとどっちやりたい?」
実はこの手の誘導は世の中にもあふれているので、みなさんも気を付けてください。
そしてお子さんが大きくなったら、悪い大人に騙されちゃだめだよとそのからくりを教えてあげてください(笑)
自己決定の大切さ
モチベーションに関する研究の1つに「自己決定理論」があります。
人間が幸福な生き方をするために必要な3つの要素があるとしています。
「自律性」「有能感」「関係性」
言い換えれば
「自分で決められる」「自分はできる・価値がある」「信頼できる人間関係がある」
https://www.teamspirit.co.jp/workforcesuccess/productivity/post-11.html
先に紹介した
①「〇〇してくれると嬉しいなあ」メソッド
②「ちょっと教えてくれる?」メソッド
は、この3つを満たします。
自分で行動するかどうかを決め(自律性)、「ありがとう」と言われ(有能感+関係性)ています。
しかも、自分より年上の人間にものを教えて感謝されるというのは、自分が価値ある存在と思わせてくれる強烈な効果があります。
このときの行動と感じた嬉しさが結び付けられて記憶されてモチベーションを高めていきます。
③「どっちがいい?」メソッド
は、一応自律性を保っています。
こどもが「自律性」を保てるように
こどもが「有能感」を感じられるように
こどもが「自分は信頼されている」と感じられるように
この3つを行動の指針にしてみてください。
一番大事なことは、こどもを深~く信頼していること
いろいろありますが、結局のところこれさえあれば、あとはOK!というおおもとの根っこがあります。それが「信頼」。
「心理的安全性」も「自律性」もひっくるめて、「こどもを深く信頼する」ことができていれば自然と確保できていると思います。口だけじゃなくて心の底からの深い信頼があれば。
はっきり言ってこれだけでも本当にできれば、お子さんの「自己肯定感」は相当に高くなるはずです。
信頼していても、お子さんに全然伝わっていない場合もあるので、深~く信頼しているよ、と示すことは重要です。
逆に言えば、心底からは信頼できてないからこどものことを心配してしまうのかもしれませんね。
これについてはぜひこちらの動画、26分40秒~30分25秒までをぜひご覧ください。ウェルビーイング研究の石川善樹氏、登山家の栗城史多氏、日本陸上界のレジェンド為末大氏という各界の第一人者による超豪華対談ですが、興味を持たれたらぜひ全編聞いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=kbENudY5D6Y&t=1601s
親は、こどもに対して「愛」はあっても、「信頼」とか「敬意」が意外と疎かになりがちかもしれませんね。
※稀に他者からどんなに認められても決して自分を認めようとしない頑固者もいることはいます。その場合は、本人がいずれどこかで気づくのを待つ以外にないのかなと思います。
まとめ
モチベーションを高める以前の大前提として「心理的安全性」と「自律性」が大切
指示は、伝え方次第で「やらされ」から「自律性(自己決定)」に、さらには「自己肯定感アップ」にも変えられる。
3つの伝え方テクニック
①「〇〇してくれると嬉しいな~」
②「ちょっと教えてくれる?」
③「どっちがいい?」
「自律性」「有能感」「信頼の関係性」の3原則。
すべての根っこは「こどもを深~く信頼している」こと。
お読みいただきありがとうございました!
そろばん教室やってます。